第6話 衣類生産への道②
それからまた1年近くが過ぎた。
綿花の栽培も順調でかなりの生産量を見込めそうだ。
ただ問題があったのはその後の工程だ。
なにが問題かというと、生産効率が非常に悪いのである。
具体的には糸を紡ぐのも布を織るのも服を作るのも全部人による手作業なのだ。しかもそれらの全工程をそれぞれの家庭内で頑張るのが普通らしい。これでは効率も悪い上に品質もばらばら、売りに出かけるのもそれぞれで時間の浪費だ。
機械がないのは仕方がないが分業もしてないのかよと思わず頭を抱えた。
しばらく頭を悩ませてたがここは一肌脱ぐしかないと思い、総督と町長に許可をとりコットンタウンに「工場」を建てることにした。
工場とはいってもこの世界にはまだ自動機械なんてないので結局は手作業だ。
ただ糸を紡ぐ、布を織る、服を作るといった工程ごとに人員を分けて、工場内で分業するようにしたので効率が段違いで上がった。
あと糸車などの生産道具も最新式を本国から輸入して皆に貸与した。
町民たちは最初少し戸惑っていたが、生産品は出来高払制でギルドで一括で買い上げてニューヨークへの輸送も行うと伝えたらそれは儲かるし楽だと喜んでいた。
もともと総督からの依頼で冒険者ギルドがコットンタウンへの食料輸送なども請け負っていたから、帰りに商品を乗せるだけなのでその点でもお得である。
本国でやったら既存の商人ギルドなどに睨まれそうだがまだ新大陸にはないので大丈夫だろう。まだまだここは内需も満たせてない発展途上だしね。
でもあとから本国の商人ギルドがやってきて冒険者ギルドがなんで商売を仕切ってんだと言われても面倒だ。なので関係者と調整の後、商人ギルドをニューヨークに新造することになった。
とはいっても代表は僕だし職員は冒険者ギルドの経理ができる人材(シャーロットとその部下が兼任)が当てられた。事務所もドアと看板は冒険者ギルドと商人ギルドそれぞれついてるが中はつながっていて共用である。
これ実質冒険者ギルドでは、と思ったがリューリクが「よくやった。うまく現地の商売を管理できれば将来的にかなり儲かるぞ」と手紙で言ってたので大丈夫らしい。
経理ができる人材も追加で送ると言われた。
リューリク曰く冒険者ギルドは国営だが、商人ギルドは民営らしく法的にも問題ないらしい。国家公務員の副業禁止もないらしいし(貴族が大半だから副業もってる人がもともと多いっぽい)。そもそも冒険者ギルドも薬草や魔物の素材とかの売買などもしてるから商売に詳しい。
総督も細かいことは気にしてないらしく「商売はよくわからんが許可するからがんばれ」とか言われた。適当すぎる。
これは新大陸利権……、と思うところはあったがまあいいやどうにでもなれ。
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