第5話 衣類生産への道①
迂闊な発言はするもんじゃない。
ファンタジー世界に爆誕した何がニューでヨークなのかわからない新大陸第一都市ニューヨークの冒険者ギルド事務所にて頭を抱えていた。
百歩譲ってニューはいいとしてヨークはどっから出てきたんだ、せめてそこは総督の名前とか王国の地域の名前とかじゃないのか云々もやもやと考えていたが決まってしまったものはしょうがない。
総督曰く意味は知らんが語感が気に入ったとのこと。
ちなみに総督の名前や名字をもじることも提案したが(たしかヨークはヨーク公みたいな貴族の名前だったはず)、恥ずかしいし本国になにを思われるかわからんからと却下された。
とりあえず仮で受け入れられなかったら変えればいいなどとも言われたが、入植者のみんなもわりと適当なのでなんやかんやで定着しそうな気がしてならない。
それはそれとして、総督からの話の続きがあった。
どうやら本国としては継続的な衣類の調達も輸送も大変なのでそちらも現地で生産できるようにしてほしいらしい。
なので第二陣の入植者たちが住む街は材料となる羊毛や綿花の生産が主になる。
特に綿花については第一陣の入植者たちが少量栽培してテストした結果、土地としても問題なさそうなため大規模化することを計画している。将来的には今とは逆に本国へ輸出できるぐらいが望ましいとのこと。
前回の農地の開墾作業と同様に今回も協力してほしい、と総督。
人手不足のためギルドが総督の下請け何でも屋になりつつあるが、まあ予算がつくならいいか。リューリクにもっと人を送るように手紙を出そう。
紡績産業は産業革命的にもたしか大事だったらしいし下地の整備をしておこう。
◇
半年後、入植者の第二陣がやってきた。
ニューヨークでささやかな歓迎会の祭りをやったあと、事前にある程度整備済みの第二都市コットンタウン(実際には音は違うが意味的には同様)へ移送した。
総督はニューヨークで入植者受け入れに関わる大量の事務仕事があるらしいので、コットンタウンの当面の監督を頼まれた。
まぁギルドの事務仕事や決済はほぼシャーロットとその部下がやってくれているので自分は現場に出ずっぱりでも問題はない。あまり遠くもないしたまに帰ればいいだろう。
ということで部下数名を連れてコットンタウンに駐在することになった。
どのみちギルドの支部もここに用意しなくちゃいけないしちょうどいい。
その後はコットンタウンの町長になる方と支部設立のための手続きを行ったり、綿花の栽培用農地の開墾を精霊術で手伝ったりしてしばらく忙しく過ごした。
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