めざす夢とその先の目標
アカネとクウタは呆然と立っている。
アカネ 「…ねえ、クウタ」
クウタ 「なにかな?いろのさん」
アカネ 「ちょっと聞いてもいいかな?」
クウタ 「いいよ。でも、ぼくに答えられるかな」
アカネ 「大丈夫、状況確認も交えてるから…」
クウタ 「わかった…なにかな?」
アカネ 「ここって学校の野球グラウンドだよね?」
クウタ 「そうだね、たぶん」
アカネ 「なんで畑になってるのかな?」
クウタ 「なんでだろうね?あのなすおいしそうだね」
アカネ 「うん、おいしそうだね…あれ?あそこにいるのって?」
アカネの目の先に手足の生えたリンゴが畑を走っている。
アカネ 「まだ、走ってたんだ」
クウタ 「あれってなにかな?」
アカネ 「あれはね、止まることなく走り続ける『走るリンゴくん』だよ」
クウタ 「なにそれこわい」
ハヤシ 「なんだ!お前!新種の外来種か!?」
アカネ クウタ 「!?」
ハヤシが走って現れ走るリンゴくんをしばく。
クウタ 「ああ…走るリンゴくんが無残な姿に…」
アカネ 「マルには黙っておこう…」
ハヤシ 「おや?キミは確か昨日の」
アカネ 「あ、ハヤシ先輩この畑はなに?」
ハヤシ 「これはぼくが耕した自慢の畑だよ」
アカネ 「え?これがハヤシ先輩の夢?」
クウタ 「ハヤシ先輩ってプロ野球選手を目指してるものと思ってました」
ハヤシ 「目指してるよ」
クウタ 「え?」
ハヤシ 「もちろんプロも目指してるけど、ぼくは、《その先》をみてるのさ」
アカネ 「その先?」
ハヤシ 「うん、プロになって有名になれば親のつくる野菜が沢山売れて沢山つくれるようにしてあげるのがぼくの夢の先なんだ」
クウタ 「すごい、立派です。ぼくも人の為になることがしたいんですけどまだなにをしたいか自分でもわからなくて」
ハヤシ 「夢をみつけるのに早い遅いなんてないからじっくりと考えればいいさ」
アカネ 「そうだ、ハヤシ先輩いいにくいんだけど今ハヤシ先輩は夢をみていて目を覚ましてほしいんだ」
クウタ 「そ、そうだった」
ハヤシ 「?この畑はぼくの夢ってことかい?」
クウタ 「はい、いいづらいですがそうです」
ハヤシ 「あの手足の生えたリンゴもかい?」
クウタ 「はい、それはいいづらくないのでいいますが夢です」
ハヤシ 「そうか、なら目を覚ますとするかな」
アカネ 「え?いいの?夢をじゃましにきたわたしたちをバットでメッタメタにしなくていいの?」
ハヤシ 「そんなことしたら野球選手の風上にもおけないね。それに夢は叶えてこその夢さ」
アカネ 「?」
ハヤシ 「こんな面白い夢をみれたのもなにかの縁だからね。心の中に留めておくとするよ」
クウタ 「ぼくも先輩のような立派な夢みつけてみせます」
ハヤシ 「ああ、がんばってね」
ハヤシ消える。
クウタ 「ぼくの夢か」
アカネ 「いつかクウタにもすごいのがみつかるよ」
クウタ 「うん、そうだね」
語り手S 「こちらも見事解決出来たようだね。この後はみんな集まるはずだけどもうすこし様子をみてみようか」
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