弟の夢と姉の気持ち


マコト 「おい、アオイお前は今どこにむかっているんだ?」

アオイ 「どこってミズキのところだよ」

マコト 「ミズキってあのやるきのない目をしてなにを考えているのか分からなくてうすのろなお前の弟のことか?」

アオイ 「それ以外にだれがいるの?しかも、姉の前で弟の悪口をいうなんていい度胸してるね。もう一度縛られたい?」

マコト 「ふん、やれるもんならやってみろ。このガラクタ製造機」

アオイ 「ほう、キミはそうとう死にたいようだね」 

マコト 「!?(なにかに気づく)おいアオイ、あれを見ろ」

アオイ 「なに?その手には引っかからないよ」

マコト 「そんな小賢しい手は使わん」

アオイ 「そうやってわたしを…!?」


 後ろからなにかのエンジン音が聞こえる。


アオイ 「え!?こんなところに飛行機!?しかも。こっちにむかってきてる!?」

マコト 「とりあえず避けるぞ!」


 二人は飛行機を避けると飛行機が目の前に止まりそこから一人の少年が出てくる。


ミズキ 「…ねえ、なにやってるの?」 

アオイ 「ミズキ!」

マコト 「この飛行機はなんだ?」

ミズキ 「…自家用の飛行機 」

マコト 「ほう、大層なものだな」

アオイ 「そうだ、ミズキいきなりでわるいんだけどこれは夢でね。ミズキに覚めてもらいたいんだ」

ミズキ 「…夢?」

アオイ 「そう、だからこの飛行機もキミの創りだした幻想なんだ」

ミズキ 「…そうか、ザンネンだ」

アオイ 「それにこのままだとアカネちゃんやクウタくんが困まっちゃうからさ」

ミズキ 「…そうなのか?」

アオイ 「え?」

ミズキ 「…ここにいたらアカネやクウタが困るのか?」

アオイ 「そうだね。ミズキを含めてみんな夢から出られなくなっちゃうんだ」

ミズキ 「…そうか、アカネやクウタが困るなら仕方ない」


 ミズキはヘルメットを取るとどこかに行こうとする。


マコト 「おい、どこに行く?」

ミズキ 「…帰る」

マコト 「は?」

ミズキ 「…みんなの為にここから帰る」

マコト 「ずいぶんといさぎいいな」

ミズキ 「…夢ならいつでもみれる」

マコト 「そ、そうか…こちらとしてはありがたいがあっさりすぎるな」

アオイ 「…」


 アオイ、ミズキの背中を見つめる。


アオイ 「ねえ、ミズキ」

ミズキ 「…なに?」

マコト 「?」

アオイ 「ミズキの《夢》ってなにかな?」

ミズキ 「?」

アオイ 「よかったら聞かせてくれないかな?」

ミズキ 「………」


 ミズキしばらく考えた後飛行機に近づく。


ミズキ 「…いつかじぶんの飛行機で世界中の空を飛ぶ」

マコト 「…世界中」

ミズキ 「…そして、青い海を空から眺める」

アオイ 「教えてくれてありがとう。ミズキのその夢おねえちゃんいっぱい応援するよ」

ミズキ 「…ありがとう」

 

 ミズキ消える。


マコト 「ずいぶんとあっさりだったな」

アオイ 「なに?もしかして、飛行機に縛って宙吊りで飛ばされたかった?」

マコト 「いや、遠慮しておく」

アオイ 「じゃあ、終わったしいこうか」

マコト 「ああ」


語り手S 「こちらは意外とあっさり片付いたみたいだね。おや?あちらはそうはいかないみたいだ」

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