沢山の夢とひとりの友達
明転 マルとタケルが登場
マル 「?(少し周りを見回す)」
タケル 「マルちゃんとのデート楽しみだなぁ~」
マル 「これはデートではなくて夢から出る為に一緒に行動をしているだけです」
タケル 「もぉーわかってるよ~ノリわるいな~」
マル 「分かっているなら探してくださいよ」
タケル 「誰がこようがちゃちゃっと片付けちゃうよ~」
マル 「まあ、おおよそ誰がくるか分かってますけどね」
タケル 「え?どういうこと?」
マル 「彼のもとへ向かっているが正しいですね」
タケル 「それがこの森ってこと?」
マル 「はい、彼はウォッチングつまり自然観察が好きで休みの日はよくここにくるといっていました。なので、ここにいる確率が極めて高いです」
タケル 「へー周りをよくみてるね~」
マル 「みてるというか単にみんなの趣味に興味があるってだけですけどね」
タケル 「ふーん、あれ?あそこにいるのって」
マル 「噂をすればなんとやらですね」
彼に近づくと彼は二人に気づき振り返る。
トウマ 「おや?マルちゃんにタケルくんじゃないかどうしたの?」
マル 「ウォッチングを楽しんでいるところすみませんね」
タケル 「ぼくたちキミを探してたんだよね~」
トウマ 「ぼくを?」
マル 「はい。少し説明が難しいのですが実は…」
トウマ? 「おや?マルちゃんにタケルくんじゃないかどうしたの?」
マル トウマ 「!?」
突然もう一人トウマが現れ二人は驚く。そのトウマは双眼鏡ではなくけん玉を首にかけている。
マル 「………なるほど、理解しました」
タケル 「やっぱりそうだよね?」
マル 「トウマくんは双子だったと」
タケル 「たぶん違うね」
マル 「決めつけはよくありませんあれはきっとトウマくんに似た双子の弟ユウマくんです」
トウマ 「あっトウマけん玉の練習はどうだい?」
トウマ2 「ああ、順調だよ。トウマこそウォッチングはかどってるかい?」
タケル 「おかしな会話だね~軽くホラーだよ」
マル 「ですが、元を正せばつまり夢と気づかせればいいだけです。トウマくん…」
トウマ3 「おや?マルちゃんにタケルくんじゃないかどうしたの?」
腰にカードケースをかけたトウマ登場。
マル 「………なるほど、トウマくんは三つ子だったと」
タケル 「現実逃避しないで」
トウマ4・5・6・7 「おや?マルちゃんにタケルくんじゃないかどうしたの?」
さらに4人のトウマが出てくる。(4サッカーボールでリフティングしながら5ステッキから花をだしながら6スケートボードで滑りながら7バク転しながら)
タケル 「………七つ子だったとはね~」
マル 「何言ってるんですか?現実をみてください。普通に考えて夢箱の影響に決まってるじゃないですか?ちゃんと考えて発言してください」
タケル 「あれ?なんでそんなに辛辣なのかな? 」
七人のトウマは互いに話出す。
マル 「しかし、これは困りましたね」
タケル 「なんでトウマが七人もいるのかな~?」
マル 「恐らくですが、夢が沢山あるということだと思います」
タケル 「夢が沢山?」
マル 「トウマくんは基本的に色々なことをそつなくこなせます。なのでその分、《夢》も多いいのだと思います。今はまだやってみたいことや趣味に近いものだと思いますがそれが顕著に現れたんです」
タケル 「ふーん、でも、夢を持つってそういうことでもあると思うけどな~」
マル 「まあ、そうですね。では、試しに…」
タケル 「?」
マル 「おーい、トウマくん!」
トウマ達 「なに?」
タケル 「うわっ!クラスに同じ苗字を呼ばれた人の反応だ~」
マル 「トウマくんは確かテニスや剣道もやりたいって云ってなかったですか?」
トウマ2 「そういえばそうだったね」
トウマ3 「なら」
トウマ4 「増やしちゃおっか」
そういうとテニスラケットを持ったトウマと面と胴を付け竹刀を持ったトウマが現れる。
トウマ8 「これで」
トウマ9 「問題ないね」
タケル 「大ありだね~マルちゃんなんで増やしちゃったの?もしかして、楽しんでる?」
マル 「思いのほか楽しいですね」
タケル 「楽しいって認めちゃうんだね~」
トウマ5 「これならぼくの好きなことを沢山出来るね」
トウマ6 「もし、足りなくなったらまた増やせばいいし」
トウマ7 「そうそうこれで《夢も叶えられるね》」
マル 「それはどうでしょうか?」
トウマ 「え?」
マル 「けん玉、カードゲーム、サッカー、マジック、スケボー、ダンス…沢山、《夢》があるのは理解しました。ですが、夢はそれで終わりでしょうか?トウマくんは確か他にも水泳、楽器、読書など沢山やりたいことがあると云っていましたよね?やりたいことが100個に増えたら100人に増えますか?先程のように人数を増やしてそれは夢を叶えたというのでしょうか?」
トウマ 「そ、それは」
トウマ2 「夢ややりたいことは増えるから」
トウマ3 「しょうがないんじゃないかな?」
マル 「そうです。夢ややりたいことは無限に増えていくんです。だから、人数を増やしたところで根本的な解決にはなってません」
トウマ 「…」
マル 「それと正直私は増えたトウマくんをみて寂しいと思ってしまいました」
トウマ 「寂しい?」
マル 「トウマくんが私達のことを忘れているいうな気がして」
トウマ4 「忘れるなんてそんな」
トウマ5 「マルちゃんとタケルくんのことはしーっかりと覚えてるよ」
トウマ6 「忘れるわけないよ」
マル 「私達の《友達のトウマくんは一人だけ》ですよ」
トウマ達 「!?」
マル 「私とタケルくんは一人なんです。これから私達はどのトウマくんと遊んだり話したりすればいいのでしょうか?」
トウマ 「そ、それは…」
マル 「それとも、私達と遊ぶトウマくんを増やしますか?それじゃあ、残りのトウマくんとどう接しればいいんですか?」
トウマ 「…マルちゃん」
マル 「もう一度いいます。私達は一人ずつだし私達の友達のトウマくんは《一人しかいない》んです。だから、私達のことを忘れてこんなに増えてもらっちゃ困ります」
トウマ7 「…そっか」
トウマ8 「…そうだね」
トウマ9 「自分のことに夢中で」
トウマ 「マルちゃん達のこと忘れてたよ」
一人ずつトウマは消えていって最後に本物のトウマだけが残る。
トウマ 「マルちゃんぼくは先に目を覚ますね。ありがとう。また、今度ね」
マル 「はい。また」
最後の一人も消える。
タケル 「すごいよマルちゃん、トウマの目を覚ますことが出来たよ」
マル 「…なぜだか上手くいきました」
タケル 「え?」
マル 「私は思ったことを言っただけなんですけどね」
タケル 「きっと、マルちゃんの気持ちが伝わったってことだよ」
マル 「なら、よかったです」
タケル 「よーし、次いくよ~」
マル 「あまり走り過ぎると転びますよ」
語り手S 「トウマを目覚めさせることが出来たマルとタケル。さて、次はこっちをみてみようか」
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