ドリーム・オン・ザ・ステージ


    ポップな曲とともに明転


親衛隊達 「ハイ!ハイ!!フッフフー!!!」

タケル  「ハイ!ハイ!!フッフフー!!!」

キノセ 「今日はワタクシの素晴らしいステージに来て頂き誠に感謝感激雨霰ですわ。皆さんの気持ちに応える為にも最後までワタクシについて来てくださいな ミュージックスタート!」

親衛隊達 「ハイ!ハイ!!フッフフー!!!」

タケル  「ハイ!ハイ!!フッフフー!!!天空そらから地上に舞い降りたキラキラ笑顔のフームちゃァァァァんアイッダアアァァァァァ!?(後頭部を引っ叩かれる)」

マル  「何ナチュラルに混じってるんですか」

タケル 「なんだ、マルちゃんかぁ急に叩くなんてビックリしたよ。おや?よく知った顔と知らない顔がいるね」

アオイ 「アカネこの子は?」

アカネ 「わたしたちの同じ学校でクラスメイトのタケルだよ」

マル  「タケル、こちらの女性がアマミくんのお姉さんのアオイさんでその隣でペットみたいに縄で縛られている人が今回の事件の主犯の『ま』ったく『こ』まった『と』らぶるさんことマコトさんです」

マコト 「さっきからひどい云いようだな…俺に恨みでもあるのか?」

マル  「手短に云うとカクカクシカジカです」

マコト 「さっきからそれで通じてるのか?」

タケル 「なるほど、だからさっきから変なのを見かけるんだね~」

マコト 「なんで通じてるんだ?」

アオイ 「変なの?」

親衛隊達 「ハイハイ!フッフフー!」

タケル 「ハネが付いた魚が空を飛んでたり手足の生えたりんごの妖怪に追いかけられたんだ~」

アカネ・マル 「…(目を逸らす)」

クウタ 「何それコワイ」

マコト 「何言ってるんだ?」

親衛隊達 「ハーイハーイ!ロ・マ・ン・ス!!」

タケル 「そうなんだよ~めちゃくちゃ怖くてさぁ夢に出てきそうだよ」

マル  「今が夢の中ですけどね」

親衛隊達 「ソレソレソレソレ!ハイ!ハイ!」

マコト 「うるさいな!さっきから」

マル  「そうですね、さっきから視界の端が気になってしょうがないです」

クウタ 「アレも夢の影響なのかな?」

アオイ 「マコト、あの光る棒を振り回している人達はあの子の『夢』が造り出したものってことでいいんだよね?」

マコト 「ああ、そうだな」

アカネ 「え?どういうこと?」

マル  「つまりはキノセさんに今の状況を『夢』と気付いてもらって目を覚ましてもらわないといけないってことです」

アカネ 「なんだそれならカンタンだね。おーいフウム」

マル  「あっアカネ不用意に近づいては」

親衛隊1 「なにやつ」

親衛隊2 「我らのアイドルフームちゃんに気安く近づくとは」

親衛隊3 「我々が許さない」

クウタ 「いろのさんが光る集団に囲まれちゃった」

アオイ 「ネーミングがダサいね」

マコト 「いってる場合か!取りあえず助け…」

キノセ 「(マコトの言葉を遮るように)親衛隊の方々お待ちのなってくださいな」

親衛隊1 「でゅふ、フームちゃんがオデに話掛けてくれた」

親衛隊2 「何云っているでごわすかオダだ」

親衛隊3 「否、それがしで候」

親衛隊達 (親衛隊達揉めている)

キノセ 「アカネさん達ではありませんの、もしかしてワタクシのステージを観に来てくれましたの?」

アカネ 「あ、えっとねフウム今のこの状況は夢でねフウムに目を覚ましてほしいんだ」

キノセ 「なにを意味の分からないことを言っていますの?」

アカネ 「え?」

キノセ 「もしかして、ワタクシのステージの邪魔をしに来られたんですわね」

アカネ 「いや、ちが…(勢いよく遮られる)」

キノセ 「親友だからってワタクシの今までの努力を否定するなんて許しませんわ!覚悟してくださいな!」

親衛隊1 「フームちゃんの邪魔だてをする奴は容赦しない」

親衛隊2 「我らのチカラを魅せる瞬間とき

親衛隊3 「そう我らが名は」

親衛隊達 「フーム親衛隊!(キメポーズ)」

一同  「………」

タケル 「ぼくも混ざっていいかな?」

マル  「ややこしくなるのでやめてください」

アオイ 「これは困ったね。聞く耳持たずだね」

マコト 「相手がそのつもりならこちら側も受けて立つだけだ」

アオイ 「え?」

マコト 「相手はたかが筋肉ダルマ三人だ。それに比べ俺たちは六人だ(意気揚々と前に立つ)」

マル  「もしやこの人は女性に喧嘩に参戦しろという気ですかね?意気地無にも程がありますね」

マコト 「………よしなら、まだ男が三人いる問題ない(拳を構える)」

クウタ 「すみません、ぼくはケンカ弱いので遠慮します」

タケル 「ぼくも物騒なことはあまり好きじゃないからエンリョーしとくよー」

マコト 「フッ三対一か面白い…(戦闘態勢に入りしばらく様子をうかがう)………一旦出直そう(アカネたちのもとに走ってもどる)」

マル  「なにしにいったんですか?」

マコト 「フッ…命拾いしたな(威勢よく指をさす)」

アオイ 「キミがね」

クウタ 「どうしますか?」

タケル 「ぼくにいい考えがあるよ」

アカネ 「え?なに?」

タケル 「まず、お兄さんに3人を相手にしてもらってぼくたちでキノセちゃんをちゃちゃっと抑えればいいんだよ」

マコト 「面白い冗談はさておき作戦とやらを聞こうか」

マル  「タケルくんいい作戦ですね」

マコト 「よし、お前は頭を冷やせ」

アオイ 「頼んだよマコト、しっかり足止めしてよ」

マコト 「なんだ?お前等俺に恨みでもあるのか?」

アオイ 「この状況は誰のせいかな?」

マコト 「ここは俺にまかせていけ」

アオイ 「よし、まかせた」


 マコトは3人の男に立ち向かっていく。その隙に5人はキノセのもとに向かう。


キノセ 「皆さんいったいなんなんですの?そんなにワタクシの邪魔をしたいんですの?」

アカネ 「違うよ!わたしはフウムに目を覚ましてほしいだけで」

キノセ 「夢をみるなっていいたいんですの?」

アカネ 「いや、そういうわけじゃ…でも、夢から覚めてほしくて…」

マル  「難しいですね。説得しようとすると言葉に矛盾が発生してしまいます」

キノセ 「ワタクシの夢を否定しないで!」

一同  「!?」

キノセ 「ワタクシはキラキラと輝いていて人々を笑顔にできるアイドルに憧れているんですの、だから、今度はワタクシがみんなを笑顔にできるアイドルになるっていう夢があるんですの!」

アカネ 「…ど…どうしよう…」

タケル 「まあ、夢から覚ます。つまり、現実に引き戻すってことだからある意味残酷なことをしているのかもね」

アオイ 「だけど、このままこの中にいるわけにもいかないし…」

マル  「せめて話ができればいいのですが」

クウタ 「もしかして、物知りなレイタくんならできるかも」

一同  「!?」

クウタ 「きっとレイタくんなら説得できるよ」

キノセ 「…レイタですって?なんでその名前がでてくるんですの?」

マル  「…?反応しましたね」

クウタ 「ほら、キノセさんとレイタくんっていつも口喧嘩して仲がいいからきっと話してくれるよ」

アオイ 「それって仲がいいの?」

マル  「喧嘩するほどなんちゃらです」

アカネ 「でも、レイタは今この場所にはいないよ」

レイタ 「呼んだかい?」

アカネ 「え?」


 一同声のした方に振り返るとそこにはレイタの姿があった。


キノセ 「な!?なぜメガネがここにいるんですの!?」

レイタ 「いちゃ悪いかい?ていうかキミはいったい何をしているんだい?」

キノセ 「観て解りませんの?ワタクシのステージですわ」

レイタ 「………はあ…くだらないね」

キノセ 「!?」

レイタ 「こんな《夢》に浸っているなんて呆れて言葉もでないよ」

キノセ 「どういう意味ですの!?」

クウタ 「レイタくんそんな言い方はちょっと…」

マル  「…妙ですね」

クウタ 「え?」

アカネ 「妙って?」

マル  「もう少し様子をみましょう」

レイタ 「この状況が現実ではないことぐらいキミなら気づいているんじゃないかい?」

キノセ 「デタラメを言うなですわ!それに、アナタには関係ありませんわ!」

レイタ 「確かに関係ないが夢なんかに囚われている哀れなキミをみていると口を出さずにはいられなくてね」

キノセ 「なんですって!?」

マル  「なぜメガネくんはこの状況を把握しているんでしょうか?」

クウタ 「いわれてみれば確かにそうだね」

マル  「私達は先程あちらでムキムキの3人にボコられているお兄さんに説明されるまでこの状況を理解出来ませんでした。それなのになぜメガネくんは一発でキノセさんの状況を夢だと分かったのでしょうか?」

アカネ 「それは、レイタが物知りだから?」

アオイ 「それはそれで知り過ぎてるね」

クウタ 「あの…そろそろお兄さんを助けたほうがいいですかね?」

アオイ 「気にしなくていいよ」

レイタ 「だいたいなんだい後ろの台は?」

キノセ 「これはワタクシのステージですわ!」

レイタ 「ふん、くだらない」


 ステージがポンッと消える。


アカネ 「え!?ステージが消えたよ!?」

レイタ 「それにあのムキムキの3人は誰だい?」

キノセ 「あの方達はワタクシの親衛隊ですわ」

レイタ 「親衛隊ねぇ…ちなみにキミは彼らの名前を言えるのかい?」

キノセ 「………ムキタ…ムキロウ…ムキタロウ」

レイタ 「今考えただろう…」

キノセ 「うっ…」


 ムキムキの3人がポンッと消え地面に倒れていたマコトは何事もなかったように静かに立ち上がる。


マコト 「フッ造作もない」

アオイ 「キミってバカだよね」

レイタ 「こんなこともぼくに指摘されないと分からないのかい?ホントキミって奴は哀れだね」

キノセ 「キイイイイイイ!なんでメガネなんかにこんなにいわれなきゃいけないんですの!?わかったわよ!わかった!これは《夢》!!夢ならさっさと覚めやがれですわ!そして、覚めたらメガネ!アナタを殴らせろ!ですわ!!」



 一瞬暗転の後キノセとレイタの姿がなくなっている。


アカネ 「ええ!?フウムとレイタが消えちゃったよ!?」

マル  「やはりそうでしたか」

アカネ 「え?」

アオイ 「どういうこと?」

マル  「あのメガネくんはキノセさんが作り出した幻だったということです。だから、本来なら知るはずのないことを知っていたんですね」

クウタ 「でも、キノセさんはどこにいっちゃったのかな?」

マコト 「恐らくだがここが夢だと気がついて『現実世界』に帰ったと考えるべきだろうな」

タケル 「それならなぜぼくたちは戻れないのかなぁ?

マコト 「お前、もしかしてだがコレを持ってないか(ポケットから星の形をした飾りを取り出す)」

タケル 「あ!?それって(ポケットから同じモノを取り出す)」

マル  「それってもしや箱についていた星型の飾りですか?」

マコト 「ああ、そいつを持っていれば夢箱が開いても夢に囚われずにすむと書いてあった」

マル  「タケルくんそれをどこで?」

タケル 「昨日学校のグラウンドの近くに落ちてたんだ」

アカネ 「あ!?もしかしてあの時落としたんだね」

アオイ 「あれ?わたしたちは持ってないよ?」

マコト 「夢箱が開いたのを見た人物も影響を受けないらしい

マル  「なるほどお兄さんとタケルくんは箱についていた飾りを持っていたからそして、私とアカネとアオイさんは箱が開く瞬間をみたから夢箱の影響を受けなかったということですね。………あれ?では、そうなると」

クウタ 「ぼくはなぜ影響を受けてないんでしょうか?」

マコト 「なに?」

クウタ 「えっーと、タケルくんのもっている飾りをもってなければ箱の開く瞬間をぼくはみてません」

マコト 「それは知らん」

アオイ 「即答だね」

マコト 「いや、このメモに書いてないからわからんものはわからん」

マル  「せめてそれっぽい理由をちゃんと考えてください」

マコト 「そうだな…夢がないってことじゃないか?」

アオイ 「失礼だね」

クウタ 「もしかしてかもしれないですけど、他のみんなの夢を覚ましたら覚めるってことですかね?」

アカネ 「それってどういうこと?」

クウタ 「たぶんだけど夢に囚われている人達を目覚めさせたらみんな外に出られるってことですよね?」

マコト 「ああ、そうだな。夢をみている人を目覚めさせれば俺達は現実世界に帰れるらしい」

クウタ 「じゃあ、たぶんですけどぼくも同じ条件なんじゃないですか?」

マコト 「まあ、そう考えられるかもな」

クウタ 「それかぼくが無意識に夢をみているんだとしたら後回しにしてみんなを先に目覚めさせたほうがいいと思います」

マル  「そちらの可能性もありますね。ですが、クウタくんの云う通り他の人を目覚めさせたほうが効率がいいかもしれませんね」

アオイ 「じゃあ、そうと決まれば今この世界に誰がいるかの確認をしたほうがいいかもね」

アカネ 「うん、そうだね」

マコト 「この世界にいるのは箱を触ったモノらしい」

アカネ 「えーっと、箱を触ったのがたしか、わたし、マル、フウム、クウタ、ミズキ、トウマ、タケル」

マル  「?」

クウタ 「?」

マル  「後、ハヤシ先輩、とアオイさんだったはずです」

アオイ 「さっき目覚めたフウムちゃんとわたしたちを除くと後はミズキ、トウマくんそして、ハヤシ先輩だね」

マコト 「3人か…なら手分けして探したほうが効率がいいな」

マル  「それがいいですね」

クウタ 「どうやって決めますか?」

タケル 「グーチョキパーでいいんじゃない?」

アカネ 「うん、そうしよう!」

アオイ 「じゃあ、みんないい?せーの」


 アオイのかけ声でみんな同時に出す。

 アカネとクウタがグー

 マルとタケルがチョキ

 アオイとマコトがパーをだす。


マル  「キレイに分かれましたね」

タケル 「やったーマルちゃんとデートだね」

マコト 「フッお前とかやはり俺とお前は切れない縁で繋がっているみたいだな」

アオイ 「気持ち悪いこと云わないでくれる?」

アカネ 「がんばろうねクウタ」

クウタ 「うん」

アオイ 「じゃあ、みんな気をつけてね」

マル  「ご武運を」

アカネ 「みんなもがんばってね」


 3組に分かれて暗転


 明転 語り手S再び登場


語り手S 「3手に分かれて行動をはじめたアカネ達。さて、彼女達はいったいどんな《夢》と遭遇するのでしょうか?続きを見る前にわたしのことが気になるって?それは、まだいえないかな。おっと、誰が来たみたいだね。じゃあまた後で」


 暗転

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る