第2話 転生した

(……なにも……見えない)


「✻✻✻✻✻✻✻✻✻。✻✻✻✻✻✻✻!」


(……僕はどうやら水の中にいるようだ)


「✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻」


(僕はアステラに間違いなく転生したのだろう。ということは、ここは母のお腹の中で、この水は羊水、そういうことだろう。

つまりこの声は両親の声なのか?)


(だとすると…俺はもう一度言語を覚え直さいといけないのか)


海那は外の声に耳をすます。

「✻!✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻!」


「✻✻✻✻✻✻✻?✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻」


(……くっ!音の差が分からない!

……これは苦労しそうだ)


(どうしようか。このまま時間を無駄にするのは嫌だからな。何か出来ること……

そういえば神は俺にステータス機能をくれると言っていたな。使ってみるか。

…………どうやって使ったらいいんだ?)


海那は今まで読んできた異世界転生ものの小説を思い出す。


(ステータス!…無理か。

ということは実際に口に出さないとダメか)


(こういう時は……あれか、魔力を鍛えるか。

魔力と言ったら丹田か?………無いな。

うーーーん、ん?これか!)


[魔力感知を入手したよ]


(うわびっくりした!

てか神の声かこれ。…何やってんだあの神。

じゃあさっきのが魔力であっているのか)


(どうやら魔力というのは全身を回り続けているんだな。分かりにくすぎる)


時間などは分からないため、海那は延々と魔力について調べていた。


(おそらく魔力は、血管を通っている。

とすると、循環しているのだろう。

その動きをいじってみれば魔力が増えるかもしれないな)


[魔力操作を入手したよ]


海那が試行錯誤した結果気づいたのは、

魔力はどうやら強く念じれば好きな速度にできるということ、また速度を変えることで負荷がかかり、魔力が増えるらしいということだった。


(まずは魔力をできるだけ増やしてみるか)


こうして海那は魔力を弄って魔力を増やすことに専念した。


ちなみにアステラでは、若い時ほど魔力を

使えば使うほど増えるので、貴族などは、

自我ができてすぐに魔力トレーニングを習う。

つまり、母親のお腹の中で魔力トレーニングな励んでいる上、辺境伯家の子である海那は、今後、とんでもない魔力を持つことになるのだ。


さて、当然だが、同じことをし続ければ飽きる。他にすることがないので、海那は他のことをしようと考えた。


(そうだな……魔力を体の外に出すことってできるかな?やってみるか)


[魔力放出を入手したよ]


(意外と簡単に出来たな。

もっと広げて…………っ! )


この時海那は、本能的な危機感を感じ、魔力の放出を止めた。

海那は知らないことなのだが、

海那は今母のお腹の中にいる。ということは、母の魔力の中にいるということでもある。

つまり、海那がこれ以上魔力を放出すると、母の体内の魔力を突き破ってしまう。

これが自然の中で起きないように、体内の子が本能で危険を感じるようになっているのだ。


(あー……マジでびっくりした。

なんでだろ?

魔力を放出するのはできるのに……。

まあいいや。

仕方ないから魔力の循環でもしとこ)


こうして海那は魔力トレーニングをし続けたのだった。

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