第6話第二試験までの一時
第二試験が行われるまでの数時間の間に客室には食事が運ばれてくる。
「バイキングとかじゃないんですね」
何となしに僕が口を開くと不知火が対応をする。
「白桜院雲母様御一行は特別ですから。すべての対応が通常の乗客とは異なりますがご理解ご了承くださいませ」
それに頷いて応えると水色は呑気に食事をしながら話に割って入る。
「良いじゃない。VIPみたいで。こんな事滅多に無いんだからありがたく頂戴しましょ」
「水色さん…ここに来てからずっと呑気ですね…」
「ん?そう?巻き込まれた時点で楽園って場所に行くんだろうなって想像していたし。ここに来て知ったのは死ぬかもしれないって話。元いた世界に戻れないという点では同じことじゃない。だからどうでもいいっていうか…最期の時に葵くんと一緒に居られるならそれでいいと言うか…上手く言えないけど…なるようになれって感じかな」
水色は食事を進めながらあっけらかんとプロポーズじみたことを言う。
「そうですか…」
何とも言えない返事を口にすると光は試験についての話を不知火に振った。
「試験は一人一回までですか?」
「左様です。この後に第二試験、第三試験が行われます。第三試験までクリアした場合、次の工程であるギフトをプレゼントするターンがやってきます。ギフトを受け取った後に最終試験に向かいます。それにクリアされた者のみが楽園へ向うことが出来ます。他に質問はございますか?」
不知火の話を最後まで聞いた雲母は質問をする。
「楽園とはなんですか?文字通り天国のことですか?」
その質問に対して不知火は首を左右に振る。
「その質問にはお応えかねます」
「わかりました…」
雲母は仕方なく頷いて応えると僕らは食事の手を早めた。
「一時間経過しましたら第二試験開始です。次の試験は嘘を見抜くゲームです。どちら様が挑戦致しますか?」
僕らは顔を見合うと先程ゲームなどの勝負事は得意ではないと言っていたはずの水色が手を挙げる。
「水色さんが行くんですか…」
不安そうに僕が口を開くと水色は軽く笑う。
「ゲームは不得意だけど嘘を見抜くのは得意だから」
それに頷くと第二試験は水色が挑戦することが決定した。
「水色さん。気合い入れてやってきてくださいよ?」
光は水色に発破をかけていて彼女もそれに頷く。
「大丈夫。がんばるがんばる」
それに対して水色はあまりにも気軽な返事をして僕らを不安にさせていた。
「ちょっと水色さん…」
光に追随するように僕も口を開くのだが水色はゆっくりと首を左右に振った。
「本当に大丈夫。ちゃんと分かってるから」
そう言うと水色はベッドで横になり第二試験が始まる5分前まで仮眠を取っていた。
そして水色が挑戦する第二試験が幕を開けようとしているのであった。
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