第4話第一試験開始間近

与えられた客室で暫く休むとやっと第一試験の知らせがやって来る。

「第一試験に挑めるのは三名様です。試験内容はギャンブル。運試しですね。ノアールに乗れただけでも幸運ですが…楽園に行くにはそれぐらいでは足りません。ですのでグループの過半数の三人が豪運ならば試験合格。一蓮托生。グループの全員が楽園へ行く資格があると認めましょう。三名様をお選びください」

先程の船員と思しき男性が部屋を訪れると恭しく挨拶をする。

僕らは顔を合わせると一番に紫苑が手を上げた。

「ギャンブルと言えば私だな。一人は確定だ」

僕はそれに頷くと次に雲母が手を挙げる。

「何かあった時に対処できるように紫苑さんには私が付き添います」

となるとあと一人なのだが…。

水色は首を左右に振る。

「ギャンブルは得意じゃないの。今まで勝った試しがない。ゲームに然り。私は勝負事が得意じゃないの。だからパス」

「じゃあ僕が…」

そこまで口を開いたところで光が割って入る。

「私が行くわ。葵くんと水色さんをふたりきりにするのは本意じゃないけれど…。私が水色さんと部屋でふたりきりっていうのも…なんか変だから…ここは仕方なく私が行く」

光の言葉で全員が納得すると船員と思しき男性が口を開く。

「ではこれから第一試験会場へ向かいます。白桜院雲母様御一行の案内をしますは、ノアール船特別案内係、不知火が務めます。どうぞお見知りおきを」

船員の男性は不知火と名乗る。

とその前に…。

「特別案内係ってなんですか?」

つい引っかかりを覚えてことを口に出してみると不知火はニヒルな笑みを浮かべる。

「紫苑を名乗る女性と白桜院家のご令嬢。このお二人がなにかの偶然で同じグループに居るのです。ノアールにとっても初めての異常事態です。大提督はこんな日が必ず来ると私に役職を与えてくださりました。それが特別案内係です。他の乗客とは対応も異なるというわけです」

再び引っかかりを覚えると質問をしてみる。

「他にも乗客がいるんですか?」

不知火はそれに頷くと、

「もう質問はよろしいですか?早いこと第一試験を終わらせたいので」

そう言うと不知火は紫苑と雲母と光の三人を連れて部屋の外に出ていく。

水色とふたりきりになると彼女はベッドに腰掛けていた僕をそのまま押し倒す。

「雲母に言われたこと覚えてる?」

「どの言葉?」

「ここで死ぬかもしれないって話」

それに頷いて応えると水色は美しく微笑んだ。

「じゃあやれる時にたくさんしておきましょ♡」

水色は僕に了承を得ることもなくそのまま貪るように僕と身体を重ねるのであった。


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