第10話具合の悪い日は余計なことを考える

ブレスレットを着けていくべきかネックレスを着けていくべきか…。

単純に悩んでしまう。

どちらも着けるのは何か違う気がする。

どうするべきか悩んだ結果、本日は何も着けずに職場へ向う。

そんな事を無意味にも考え込んでしまう。

何故かは自分でもわからないのだが…。


「おはようございます」

簡単に挨拶を交わすとデスクに向う。

隣の席では光が僕のことを眺めていた。

「今日はどっち着けてきたの?」

それに何とも言えずに首を左右に振ると光は一つ嘆息した。

「どっちも着けないって逃げじゃない?」

それに一つ頷いて応えると光は軽く微笑んだ。

「仕方ないけどね」

光の言葉に甘えるように頷くと感謝の礼を口にする。

「ありがとう。見逃してくれて」

その言葉に光は軽く笑って誤魔化してくれる。

しかしながら、その光景を目にしていた水色は僕のもとを訪れると着いてくるように手招きをした。

水色の後をついていくとそのまま休憩室へ向う。

彼女は自販機でコーヒーと水を買うと水を僕に渡した。

「どうしたの?気分悪い?」

水色は僕の顔を覗き込むと心配そうに言葉を投げかけてけてくる。

「え…?そんなことは…」

「いや、多分調子悪いんじゃないかな?熱あるんじゃない?」

水色はそう言うと自分のおでこを僕の額につける。

「うん。やっぱり熱あるね。早退したら?」

「え…?熱なんて…」

自分の額を触ってみるとたしかに熱っぽかった。

「あれ…本当に熱っぽい…」

「そうでしょ?会社に入ってきたときから顔色変だったよ」

「そうでしたか…ありがとうございます」

水色に感謝を告げると僕は上司に早退の申し出をして帰路に着くのであった。


帰宅時にコンビニでスポーツドリンクと栄養剤を何本か買うと大人しく帰宅する。

いつもより早く帰宅してきた事に気付いた隣の白桜院雲母は心配そうに玄関から顔を出した。

「どうしたんですか?もうお仕事終わったんですか?」

雲母は玄関から出てくると僕の部屋の前までやって来る。

「ちょっと具合悪くてね。大丈夫だから心配しないで」

「食べるものあるんですか?」

「うん。あるある」

それだけ告げると雲母に別れを告げて部屋に入っていく。

そのまま着替えを済ませると栄養剤とスポーツドリンクを飲んでベッドの中に潜り込む。

そこから数時間眠りにつくとスマホには通知が届いていた。

「よく眠れてる?栄養のあるもの食べた?」

通知をくれたのは水色だった。

僕は彼女に何故か弱音を吐いてしまう。

「お腹すきました…おかゆ食べたいです…」

その通知を目にしたであろう水色は直ぐに返事をくれる。

「仕事が終わったら行くから。今はゆっくり眠ってて」

それにスタンプで返事をすると水色が家に来るまでもう一眠りするのであった。

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