第9話休日を過ごしていく

後日の休日のこと。

溜まっていた家事を進めていると突然インターホンが鳴った。

玄関に向うと外の廊下には、お隣のストーカー白桜院雲母が立っていた。

ガチャリと玄関のドアを掛けると雲母は嬉しそうに微笑む。

「おはようございます。今ちょっと良いですか?」

「ん?今家事してるんだ。手短に頼む」

「家事ですか?じゃあ手伝います!」

「いや、遠慮しておく…」

そう伝えるのだが雲母は僕を押しのけて部屋の中に入ってくる。

「じゃあ私は洗濯物しますね」

「なんか嫌なんだけど…」

「何でですか?」

「ストーカーに下着触られたくないな…」

その言葉で何かに閃いた雲母は僕を脱衣所から追い出した。

「早く出ていってください!私にはやることがあるんです!」

雲母は暴走モードと言った様子で目を爛々と血走らせていた。

「ちょ…」

女性である雲母にも力負けすると脱衣所から追い出される。

少し時間を置いてから脱衣所のドアを静かに開けると…。

「何してる…?」

その光景を目にして僕は絶句する。

雲母は僕の下着の匂いを嗅いでいた。

「怖いからそういうのやめなよ…?」

雲母はそれを無視して僕の下着をキレイに畳むとポケットにしまおうとする。

「それはまずい!それは越えてはならない一線だよ!」

僕の言葉でどうにか正気に戻った雲母は仕方なく頷くと洗濯を開始した。

そこから僕も家事を進めていきしばらくの時が過ぎた。


ガチャリと家の鍵を開ける音が聞こえてきて玄関に向うと水色が部屋に入ってくる。

「水色さん…」

これはまずいと思ったのだが雲母は水色を目にするとキレイにお辞儀をして僕に別れを告げる。

「それじゃあまた」

雲母は静かに部屋を後にするとそのまま自分の部屋に戻っていく。

「彼女は?」

水色さんは意味不明と言った感じで質問をしてくる。

「お隣さん。家事を手伝ってくれて…」

正直に答えると水色は軽く肩を竦める。

「家事ぐらい私がやるからいつでも呼んで?」

それに頷いて応えると水色はそこから料理を始める。

手早く料理を進めた彼女は鍋の蓋を閉めてこちらにやって来る。

「結局煮込み時間の間にこれがしたいのよね♡」

などと言うと僕をソファに押し倒して行為を始める。

そこから小一時間の行為を終わらせた水色は満足そうにシャワーを浴びに向う。

僕も今回は悪くないような感覚を覚えると何処か満足する。

………こういうのも悪くない。

………必要とされている。

………嬉しい。

そんな事を軽く感じながら休日の間は水色と恋人っぽい二人の雰囲気のまま時間を過ごしていくのであった。

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