第68話 勇者の孫 誘惑される



 玲が初体験をしている頃。楓は部屋で玲が呼びに来るのを待っていた。


「遅いなぁ、いつもならもうとっくに終わってるはずなのに」


 楓はいつまで経っても呼びに来ない姉に、何かあったのだろうかと首を傾げる。


 コンコン


 すると部屋のドアがノックされる音が楓の耳に入った。


「あ、来た。遅いよお姉ちゃ……ん? あれ?」


 楓はドアを開け呼びに来た姉に文句を言おうとしたが、廊下にはいるはずの姉の姿は無かった。


「部屋の戻っちゃったのかな? まあ気持ちはわからなくもないけど」


 楓は玲がノックだけして自室に戻ったと思ったようだ。


 そしてそれも仕方ないと。魔力が増えてきたせいか、ここ数日エッチな気持ちになっているのは自分だけではないことを楓は知っていた。それは毎晩呼びに来る姉の表情と、朝の寝不足気味な姿を見ればわかるというものだ。そして間違いなく姉もユウトのことが好きだろう。それなら自分と同じように、好きな男に抱きしめられて正気でいられるはずがないと。そう考えていた。


「これはお姉ちゃんと話し合いが必要かな。まさかまた同じ男の子を好きになるなんてね。双子だからかなぁ? でも兄さんは強くてカッコよくて包容力があるし、私たちの好みといえば好みなんだよね。えっちなのは……まあ私も人のこと言えないし」


 楓はここのところ毎晩、ユウトを想いながら自分の身体を慰めていた事を思い出し頬を赤らめる。


「ふぅ、今日は気をしっかり持たないとだね。うん、がんばるぞ!」


 楓はユウトに抱きしめられてもえっちな気分にならないよう耐えようと、右腕をあげて気合を入れユウトの部屋へと向かうのだった。



 ユウトの部屋の前に着くとドアが少し開いていることに楓は気付いた。


 それでも一応ノックをしようと、軽く拳を握って腕を伸ばそうとしたその時だった。


《んっ、ふっ、あっ……ユウト……気持ちいい……初めてなのに……あっ》


「!?」


 部屋の中から女性の喘ぎ声のような声が聞こえ、そしてそれは自分のよく知る人間。姉の声に似ていたことに楓は目を見開いて驚きその場で固まった。


(え? お姉ちゃんの声? で、でもお姉ちゃんはさっき自分の部屋に……)


 なぜ姉がまだユウトの部屋にいるのか? そしてなぜエッチな声を出してユウトの名を呼んでいるのか? これではまるでセックスをしているみたいではないか。そう楓は考え混乱していた。


(た、確かめなきゃ……この目でちゃんと……)


 楓は落ち着かせるように胸に手を当てながら自分にそう言い聞かせ、少しだけかがんでそっと室内を覗き込んだ。


 部屋の中は暗かった。しかしベッドの横にあるベッドサイドランプが点いており、その淡い光がベッドの上で抱き合っている玲とユウトを照らしていた。


《あっ、あっ、ユウト……こんな……獣のような格好で……恥ずかしい》


《玲、すごく綺麗なお尻だ。最高だよ玲》


《そ、そんな……嬉しい……あっ、は、激しい》



(う……そ……そんな……)


 楓は四つん這いになり、後ろからユウトに激しく突かれて気持ちよさそうにしている姉の姿を見てその場にぺたりと座り込んでしまった。


(お姉ちゃんと兄さんがまさかこんな……私だって兄さんが好きなのに……お姉ちゃんから? ううん、そんなことあのお姉ちゃんんいできるわけない。だったら兄さんがお姉ちゃんに……私には何もしないくせに)


 楓はユウトと姉が肉体関係であることと、自分にはユウトは迫ってこないのに姉には迫ったことにショックを受けていた。別に迫られるのを期待していたわけではない。しかし双子なのに姉に迫って自分に迫らなかったという現実に女としてのプライドが傷ついたのだ。


 やがてユウトが玲の中で果て、二人はベッドに横たわった。そして抱き合いキスをし始めたところで楓はそっとドアを閉め、肩を落としながらトボトボと自分の部屋へと戻っていった。


 自室に戻った楓は、姉とユウトの行為を見てびしょ濡れになってしまったショーツを脱ぎ、新しい下着に履き替えた。そしてそれまで着ていたキュロットとTシャツではなく、ブラウスと短めの白のスカートに着替えベッドの上で姉が呼びに来るのをじっと待っていた。


 それから10分ほどしてドアがノックされ、ドアを開けるとそこには顔を赤くした玲が立っていた。


「お姉ちゃん遅かったね。すごく待ったよ」


 楓は姉へと文句を言うが、その顔には笑みが浮かんでおり声も明るい。


「あ、すまない。ユウトと少し話し込んでしまってな」


 楓が怒ってないことにホッとした玲は、小さな嘘をつく。


「ふーん、そうなんだ」


「遅くなって悪かった。それじゃあユウトが呼んでいるから魔導術を受けに行ってくれ」


「うん、おやすみお姉ちゃん」


「ああ、おやすみ」


 玲は妹へそう返した後に背を向け自分の部屋へと向かっていく。


 その後ろ姿を楓はジッと見つめている。その顔からは先ほどまで浮かべていた笑みは消えており、まるで能面のように感情を感じさせない表情に変わっていた。


 そして玲が部屋に入ったのを見届けた楓は、ユウトの部屋へと歩いていく。


 ユウトの部屋の前に着くと、楓はドアをノックし中へと入る。


 部屋に入ると短パンに上半身裸のユウトがベッドの上に座っており、楓に気付くとベッド横のライトを消して立ち上がった。


「いらっしゃい楓。待たせちゃってごめんな」


「ううん、別にそんなに待ってないから平気だよ」


 謝るユウトに楓は笑顔で答える。そんな楓にホッとしたユウトは、彼女の服装がいつものTシャツにショートパンツではなく外出するような服装であることに気付く。


 あんな短いスカートでベッドで横になったらめくれ上がっちゃうんじゃないかとユウトは思ったが、もちろんそのことは口にしない。着替えに戻られでもしたらせっかくのラッキースケベが無くなってしまうからだ。


「じゃ、じゃあいつものように下着を取ってベッドに横になってくれ」


「うん」


 楓は頷きブラウスのボタンをいくつか外しブラのフロントホックを外したあと、ブラウスの隙間から抜き取る。そしてベッドに横になり、すべてのボタンを外した。


(うおっ! 横乳! 横乳が見える!)


 ユウトは楓の後ろに横向きになりながら、ボタンが全て外れ乳首の部分だけ隠されている楓の乳房を見て興奮していた。


「兄さん?」


「あ、ああ。今シーツを掛けるから」


 楓に声を掛けられたユウトは、断腸の思いで彼女にシーツを掛ける。そして賢者の石を楓の背に当て、自分の胸で挟む。


「それじゃあ始めるよ。今日はいつもより多めに流すから」


「うん」


 楓が頷いたのを確認したユウトは魔力を流し始める。



 楓はユウトから流れてくる魔力にいつも以上に身を震わせていた。


(あ……すごい……昨日よりずっと多い……んっ……また身体が熱く……乳首もあっという間に勃って……こんなに敏感なのはやっぱり私の魔力量が増えたせい? それとも兄さんに抱きしめられているから? ああ……兄さん……悔しい……お姉ちゃんに取られたくない……好き……兄さん……私もお姉ちゃんと同じように)


 楓は姉に先を越された悔しさと、このままではユウトを取られるのではないかという不安から肩から鎖骨へと回されているユウトの腕を掴んだ。


 そしてユウトの手を掴み、自分の乳房へと誘導する。


「か、楓!?」


 ユウトはいきなり手を掴まれおっぱいの上に置かれたことに驚き、魔導術を中断して身を起こそうとした。


 その時だった。


「あふっ!」


 おっぱいを揉んだことではち切れんばかりに元気になっていた勇者のひ孫を、短パン越しにガシッと掴まれる。


 誰に? 楓にだ。


 そして力が抜けた所で楓が振り向き、そのままユウトを押し倒し馬乗りになる。


「え? か、楓……」


 ユウトはいきなり楓が馬乗りになってきたことに混乱し楓を見上げると、彼女の顔はまるで熱に浮かされたように上気していた。


 さらに視線を下へ向けると、そこにはメロンのように大きくそれでいてとても柔らかいおっぱいが鎮座していた。


 ゴクリと、ユウトはおっぱいを見ながら生唾を飲み込む。そんなユウトに楓は薄っすらと笑みを浮かべながら口を開いた。


「兄さん、さっきお姉ちゃんとえっちしてたでしょ。私見ちゃったんだ。それなのに私にもここをこんなにして……兄さんって本当にえっちなんだから」


「うっ……あ、いや……ご、ごめん」


 ユウトは馬乗りになりながら、再び息子を握りしめる楓に謝るしかなかった。息子を人質に取られているというのもあるが、笑みを浮かべながら見下ろす楓の目が怖かったからだ。


 普段清楚な雰囲気の楓が、まさかこれほど嗜虐的しぎゃくてきな目をするとはユウトは想像していなかった。そのギャップにユウトは呑まれつつも興奮した。


「ねえ、なんでここをこんなに硬くしているの? 私とシタいの?」


「あ……いや」


 内心ではしたくてしたくてたまらないのだが、玲としたことを知られている状態でさすがのユウトも楓ともしたいとは言えなかった。


「私は……したい……お姉ちゃんに取られたくないから。だから同じようにして欲しい……兄さんが好きなんだ……だから……入れてもいいよね?」


 楓の告白にユウトは驚きつつも首がちぎれるんじゃないかってくらい縦にブンブン振る。その目は期待に満ち溢れていた。


「ふふっ、兄さん可愛い……いじめたくなっちゃう。ねえ、見てて」


 楓は素直なユウトにフッと目もとを緩め、スカートの中に手を伸ばしショーツをズラした。そしてユウトの短パンを下に下ろし、飛び出した勇者のひ孫を再び握りその上に移動してゆっくりと腰を落としていく。


「痛っ」


「あ、命の精霊よ」


 痛みに顔を歪める楓にユウトは急いで精霊魔法を発動する。


「ありがとう兄さん。そっか、だからお姉ちゃんはあんなに気持ちよさそうだったんだね。私もそうなるのかな?」


 ユウトは血走った目で首をブンブンと縦に振る。もう辛抱たまらんという感じだ。


「うふふ、可愛い……じゃあ……気持ちよくしてね、兄さん♡」


 そして楓は再び腰を落とし、ユウトと一つとなるのだった。 


 その日は朝までユウトの部屋から楓の嬌声が止むことなかった。



 こうして二人の穢れを知らない少女が、力の対価として淫魔の生贄となったのだった。


 そして少女に限らず、悪魔淫魔に力を求める者は同じ道を歩むことになる。


 魅了魔導術催淫淫魔の魔力によって。



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