第67話 勇者の孫 卒業する
魔導術施術5日目
今日も朝から目を充血させた玲と楓と共にユウトは朝食を摂っていた。
どこか落ち着かない様子の楓と、目を合わせる度に赤面する玲にユウトが首を傾げていると、楓が狩りに行きたいと言い出した。
「ゴブリンを狩りにか……」
「うん、3日前よりも魔力もだいぶ増えたみたいだし、この辺で身体を慣れさせないといけないと思うんだ。どうかな?」
「うーん、まあ魔石は順調に成長してきているし、安定もしてきたしなぁ。そろそろいいかな」
3日前。施術をして2日目の時に狩りに行きたいと楓が言った時は、玲と楓の体内の魔石が成長を始めたばかりということもあり大事を取ることにした。しかし5日目となり二人の魔石は順調に成長をしている。それにずっと室内に閉じこもっているのも精神衛生上良くないかもと思ったユウトは、ゴブリン狩りに行くことを了承した。
「やったぁ! 狩って狩って狩りまくってやるんだ! ね! お姉ちゃん!」
「あ、ああ……そうだな。得た魔力がどれほどのものか試すのも必要だな」
目を充血させながらハイテンション気味に喜ぶ楓に、玲は若干引きつつも同意する。
「じゃ、じゃあご飯食べたらさっそく行こうか。10階層まで戻るのも面倒だし、18階層でアーチャーとウィザードを俺が処理すればいいだろう。それなら10階層とそう変わらないはずだ」
11階層以降からはゴブリンアーチャーが、16階層からはウィザードが出現する。そのアーチャーとウィザードをユウトが処理することで、10階層と同様の環境にするつもりのようだ。
ゴブリンの持つ武器も違ってくるのだが、そのくらいはユウトは誤差だと思っているのだろう。
「でも数が……あ、兄さんがいればどの階層でも変わらないか」
「ははっ、まあね。その辺も上手く調整するよ」
「まあ緑狼よりは動きは遅いから、ウィザードとアーチャーさえいないなら私たちだけでもなんとかできるかな。ね、お姉ちゃん」
「え? あ、ああそうだな。ただのゴブリンならなんとかなりそうだ」
「お姉ちゃん大丈夫? さっきから兄さんとカミラさんのことをチラチラ見ているみたいだけど、何かあったの?」
「そ、そんなことはないぞ。たまたま視線が向いていただけだ。さて、では私は装備に着替えてくる。カミラさん、ご馳走様でした」
玲はそう言ってカミラと目を合わすこと無く部屋へと戻っていった。
「どうしたんだろお姉ちゃん……」
玲の後ろ姿を心配そうに目で追う楓。
「どうしたんだろうな? 楓も大丈夫か? 今日も寝不足なように見えるけど」
「大丈夫だよ。それよりも今は暴れたい気分なんだ。きっと魔力が増えて興奮しているんだと思う。みんな凍らせてやるんだから!」
「そ、そうか……ほどほどにな」
寝不足と欲求不満から好戦的になっている楓なのだが、そんなことにはユウトは気付かず、楓ってこんなに好戦的だったかなと首を傾げていた。
♢
「玲、大振りし過ぎだ。多数を相手にする時はもっとコンパクトに振るように教えただろ」
「す、すまない。くっ……ちょこまかと!」
朝食を食べた終え装備に着替えたユウトたちは、8匹のゴブリンと戦っていた。
「お姉ちゃん下がって! そんなに突っ込まれたら魔法を打てないよ!」
ユウトに続いて楓からも玲へ苦言が飛ぶ。どうも今日の玲は集中力に欠けているようだ。
「しまった! 誘い込まれていたのか!」
楓の言葉に玲はゴブリンたちに乱戦になるよう誘い込まれていたことに気付き、下がろうとするが剣を持ったゴブリン2匹に背後に回り込まれてしまう。
「前方100メートル先の角から追加で10匹来るぞ」
「ああもうっ! お姉ちゃん魔銃を出して! とりあえずここにいるのを片付けちゃうよ!」
楓はこのままでは魔法が撃てないと判断し、収納の指輪からユウトからもらった拳銃の2倍の大きさはある魔銃を取り出した。そして魔銃を片手で持ちながら玲のいる場所へと走り寄り、至近距離からゴブリンを撃った。
《ギャッ》
魔銃から放たれた魔力の塊はゴブリンの背をあっさり貫通し、撃たれたゴブリンは剣を落としその場に倒れる。
「凄い! これとんでもない威力だよ! お姉ちゃんも早く!」
楓はユウトから魔銃をもらってから、小部屋の中で数回射撃練習をしただけで魔物を実際に撃ったのは今回が初めてということになる。そのため魔銃の威力に驚いているようだ。
「わ、わかった! うわっ! あっ!」
楓に急かされ慌てて収納の指輪から魔銃を取り出した玲。しかし相対していたゴブリンたちがその隙を見逃すはずもなく、一斉に斬りかかってくる。玲は慌てて剣を握り直すが、その際に魔銃を取り落としてしまう。
「お姉ちゃん!」
「くっ、しまった!」
魔銃を落としつつもゴブリンを迎え撃とうと剣を構えた玲だが、すでに間合いを詰められておりゴブリンへの対応が後手に回ってしまった。そして上段から振り下ろされた剣を受け止めたところで、短剣を持ったゴブリンに懐に入り込まれてしまった。
刺される!
そう思った時だった。
『
背後からユウトの声が聞こえたと思ったら、周囲にいたゴブリンの足もとから無数の黒い槍が飛び出し一匹残らず串刺しにした。
しかも周囲にいたゴブリンだけではなく、前方から向かってきていた新手の10匹のゴブリンも同じように串刺しになっていた。
「あ……」
「す、凄い……」
一瞬で自分たちが戦っていた6匹と、新手の10匹を串刺しにしたユウトの精霊魔法に玲と楓は目を見開いて驚く。
しかしそんな二人にユウトが口を開く。
「今日はもうこの辺にしておこう。玲、体調が悪いんだろ?」
「……ああ。申し訳ない」
玲は昨晩のユウトとカミラの行為を見て以降、ずっとその光景が頭から離れず自分が戦いに集中できていないことがわかっていた。だから素直にユウトへと謝った。
ユウトが諸悪の根源なのだが。
そんな玲にユウトは気にしなくていいよと手を振り、影狼を呼び出しテントを展開している小部屋へと戻るのだった。
テントに戻ってからは玲は部屋へと引きこもったが、昼食の時間にはちゃんと顔を出し皆と食事を採った。
楓は魔銃の威力を気に入ったのか、影狼を護衛につけ小部屋にユウトが設置した的に向けて射撃練習をしていた。どうやら魔銃を撃つことでストレス発散ができることに気が付いたようだ。将来が不安である。
そしてその日の夜。
夕食後に玲は魔導術を受けるためにユウトの部屋へと向かった。
その顔はなにやら思い詰めているようにも見える。
玲がユウトの部屋をノックしドアを開けるとユウトはソファーで漫画を読んでいたが、玲に気付き笑顔で彼女を迎え電気を消した。そして玲はいつものようにTシャツを着たままブラジャーを外し、ユウトのベッドへと横向きになって寝そべった。
ユウトも着ていたワイシャツを脱ぎ、上半身裸になってから玲の背後に寝そべり彼女のシャツをめくり賢者の石を挟んで胸を押し付ける。そして玲の耳元で始めるよと言ってから魔力を流し始めた。
玲の身体に流れてくるユウトの魔力の量は昨日より多い。そのため玲の身体はすぐに火照り始め、乳首は固くなりショーツは一気に湿り気を帯びていく。
思わず声が出そうになるが、玲は目の前に回されているユウトの腕で口をふさぐことで耐えた。
(ああ……ユウトの腕……この腕が昨夜カミラさんの腰を掴み後ろから激しく……気持ちよさそうだった……普段表情が変わらないカミラさんが、あんな
昨夜のユウトとカミラの行為を思い出した玲は、自然とユウトの腕を舐めショートパンツの中に手を伸ばしていた。
魔導術の施術に集中していたユウトだがさすがに腕を舐められて気が付かないはずはなく、彼女の頭越しにシーツの中を覗き込む。
すると玲が蕩けきった表情で自分の腕を舐めながら、股間に手を伸ばしている玲の姿が目に入った。
その光景にユウトは歓喜と興奮に心を踊らせた。
(オイオイ、未経験の子がここまで欲情するとかやばくねえか? 三つ星探索者って全員がこうってことだよな? 凄え……日本って天国だったんだ!)
ユウトは魔力が増えると未経験の子でさえここまで欲情することに驚き、そして心の中で快哉を叫んだ。ユウトの催淫の魔法のせいなのだが。
そんなユウトの視線に気付いたのだろう。玲はハッと我に返り、ユウトの腕を舐めていた事とショートパンツの中にいつの間にか手を伸ばしていたことに驚きつつ慌ててそれらの行為を中止する。
「ユ、ユウト……これはその……ま、魔力が増えたことで敏感になってしまって」
「大丈夫だ玲。わかっているから。生理現象みたいなもんなんだろ?」
顔を真っ赤にして自分がしていたことの弁明をする玲に、ユウトは彼女の頭を優しく抱きかかえながら撫でた。
玲の頭をロックしたユウトからは、ここで逃がす訳にはいかないという強い意志を感じる。
「し、知っていたのか……そうなんだ。魔力が増えた影響で欲求不満になって」
「異世界の女性はそんなことはなかったんだけどな。地球の女性はまだ魔素に順応できてないんだろう。それで色々な副作用が出ているんだと思う。恥ずかしいことじゃないよ玲、強くなるためには乗り越えなきゃならないことなんだと俺は思ってる」
ユウトは恥ずかしがっている玲に、まず欲情するのは恥ずかしいことではないと認識させようとする。
「そ、そうだな……母さんも苦労したと言っていた。学園でも色々とその……処理の仕方を教えてもらったのだが、ユウトに抱きしめられるとどうしても抑えきれなくて」
玲はユウトの助け舟とも思える言葉に乗り、正直に気持ちを打ち明けた。
「大丈夫だ玲。そういったことも含めて俺は二人のポーターになるって決めたんだ」
そこでユウトは遠回しに二人の性処理をすることも考えていたと口にする。勝負に出た形だ。
「え? そ、それって……その……私たちのせ、性処理をするということか?」
「ああ、他の男に二人を触れさせたくないかったからな」
「そ、それは義兄として……か?」
「いや、一人の男としてだ。一目惚れなんだろうな。初めて二人の写真を見た時に惚れちゃったんだと思う」
ユウトは少し恥ずかしがりつつも正直に自分の気持を口にする。
やり方は詐欺師のそれだがユウトの言葉は本心だ。惚れっぽい性格なので一目惚れをした数は数え切れないほどあるし、ちゃっかり玲だけではなく楓にも惚れたとか言っているが。
「そ、そうだったのか……ユウトも私のことを」
玲はユウトが自分に惚れていたという事を知り嬉しくて仕方ないのか、楓にも惚れているというユウトの言葉が耳に入っていないようだ。
「だから玲、遠慮はいらない。俺が手伝うから」
ユウトはそう言って玲に回していた腕を彼女の胸の位置へと下げ、乳首を刺激する。
「あっ……ユウト……私……私もユウトが……好き……だ。だから処理とかじゃなくて……その……」
「ああ、恋人同士普通に愛し合おう」
振り返りながら潤んだ瞳で上目遣いで告白してきた玲に、ユウトは優しく微笑みかけ彼女へキスをした。
内心ではやった! 初彼女ゲット! そして素人童貞卒業! と、叫んでいるが。
それからユウトは玲のシャツをすべて脱がし、彼女のロケットおっぱいに顔を埋めながら器用にショートパンツも脱がしていく。そして再びキスをしながら最後の一枚も脱がし、恥ずかしがる玲の顔を見つめながら命の精霊魔法を掛けつつ一つとなるのだった。
その光景をカミラが入口の影から上半身を出し見つめていた。その表情はまるで世話の焼ける子供を見るような、そんな表情だった。
そしてカミラは最後の仕上げとをするべく、再び影の中へと身を潜めて行くのだった。
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