第63話 勇者の孫 魔導術を施術する
一方、玲を自分の部屋に引き込んだユウトはというと
「じゃあベッドでお互いに横向きになって施術するから、Tシャツを脱いでブラを取ってくれるかな。大丈夫、電気は消してあるし真っ暗で見えないから」
ユウトは真っ暗な部屋の中央で、Tシャツにキュロットを履いている玲に服を脱ぐように指示をしていた。
確かに施術に服と下着は邪魔であるが、ベッドのシーツにくるまってから脱いでも問題はない。しかしユウトは玲のおっぱいが見たいがために、さも当たり前のようにベッドに入る前に玲に脱ぐように告げた。
ちなみに魔族の血が流れており、闇の精霊と契約しているユウトには玲の姿が昼間のようにハッキリと見えている。
エロ知恵だけは働く男である。
「あ、ああ……ん? いや、それならば下着だけ取り、ベッドに入ってから背中側だけシャツを捲って施術を受けても問題ないのでは?」
「あ、ああそうだね。それでもいい……かな」
しかし素直ではあるが馬鹿ではない玲には、ユウトの浅知恵は通用しなかった。
「わかった」
玲は頷きTシャツを着たままブラのフロントホックを外し器用に脱いでいく。そしてTシャツの袖から脱いだブラを引き抜きたたんだあと、恥ずかしそうに立ち尽くす。
(うほっ! ブラを外したのにまったく形が変わってない。ツンと上向いていて見事なロケットおっぱいだ。それに先端の部分もハッキリ見える。揉み甲斐がありそうなおっぱいだなぁ。あーたまんねぇ!)
そんな玲の姿を、ユウトは元気になった勇者のひ孫を手で押さえながら横からガン見していた。
「ユ、ユウト。次はベッドに横になればいいんだな?」
「あ、うん。こっちだよ」
玲の言葉にハッとしたユウトは、彼女の手を引きベッドへと誘導し玲を横向きに寝かせる。
そしてユウトも着ていたシャツを脱ぎ、玲と自分にシーツを掛けながら彼女の後ろへと回り横になる。
(むはっ! いい匂い!)
「ユ、ユウト。本当に賢者の石を間に挟むだけなのだろうな? その……変な所を触ったりしないだろうな?」
ユウトが玲の短い髪をクンカクンカしていると、玲が不安そうに尋ねてくる。
「しないって。施術にはかなり集中力が必要なんだ、いくら玲が綺麗でもそれどころじゃないって」
「き、綺麗って……」
ユウトの言葉に玲は黙り込む。どうやら恥ずかしがっているようだ。
(あ〜玲ってこういう所が可愛いよな。普段はキリッとしているけど、褒められるとすぐ赤面するし。こういうのをギャップ萌えって言うんだっけ? たまんねぇな。さて、それじゃあ賢者の石を挟んで抱きつくとするかね)
「じゃあシャツをまくるぞ?」
ユウトはそう言って玲の背中側のシャツをめくりあげ、手に持っていた賢者の石を一つ、玲の左背中に当てそれを自分の左胸で挟んだ。そして玲を抱きしめるかのように左腕を回す。
「あ……か、硬い」
「賢者の石を挟んでいるからな」
「ち、違う……その……私のお尻に……あ、当たっている」
「え? あっ! こ、これは……玲があまりにも魅力的だからに反応しちゃって……あはは」
ユウトは元気いっぱいの勇者のひ孫が当たっていることを言っているのだと気付き、サッと腰を引いて笑って誤魔化した。
「み、魅力的って……あ、あまりそうやってからかわないでくれ」
「からかってなんかないよ。玲は綺麗でスタイルも良くて魅力的な子だと思ってるよ」
「!? も、もういいから! は、早く施術してくれ!」
ユウトの本心とも思える飾らない言葉に、玲は高鳴る胸の鼓動を抑えることに精一杯でつい声を荒らげて早く施術するように促してしまう。
「え? あ、ああ。わかった。それじゃあ力を抜いてくれ、慣らしの時と同じ感じでいいから」
ユウトはなぜ玲が怒っているのか分からず、しかしこれ以上刺激するのは良くないと思い急いで施術を始めることにした。
そして意識を集中し、自身の魔石と玲の魔石を同調させるかのように少しずつ魔力を流していく。
(くっ……思っていた以上に小さくて脆いな……前に施術した従姉妹たちとは大違いだ。これは慣らしの時よりも苦労しそうだ)
しかし玲の魔石を至近距離で感じることができたことで、その小ささと脆さにユウトは気を引き締める。玲の身体をもう少し堪能したい気持ちはあるが、流す魔力量の調整を誤って魔石を壊してしまったら玲は全ての魔力を失ってしまう。そんなことになれば、間違いなく玲を泣かせることになるだろう。
それだけは嫌だ……そうユウトは反抗期真っ只中の荒ぶるの下半身に言い聞かせ、魔導術に集中するのだった。
♢
玲は先ほどユウトが言った言葉に胸の鼓動が収まらず困惑していた。
(私のことを綺麗で魅力的だなど……同級生の男子には言われ慣れている言葉だというのに、なぜユウトに言われるとこんなにもドキドキするのだ? 憧れている相手だから? わからない)
玲はなぜユウトの言葉にこんなにも動揺しているのかわからないようだ。いや、本当はわかっているのに、目を背けていると言ったほうが正しいか。
(きっと背中に当たるユウトの筋肉に興奮しているのだ。ああ……本当に凄い……なんて逞しい胸板だ。私は今、いつも目にしているユウトのあの胸板に抱きしめられている。できればこの手で触ってみたい……顔を埋めてみたい)
玲は筋肉フェチである。だが、ただ筋肉が付いているだけの男には興味はない。剣術や格闘術など実戦で鍛えられた野性的な筋肉が好きなのである。そんな彼女から見て、ユウトの筋肉は今までネットの画像や動画で見てきた中で最高の筋肉であった。その筋肉に後ろから抱きしめられているというこのシチュエーションは、彼女にとってご褒美以外何者でもなかった。
(あ……ユウトの魔力が流れてくる……慣らしの時とは違ってユウトの胸板から直接注がれるのがわかる……やっぱりユウトの魔力は温かくて力強い……筋肉と同じでなんて逞しい魔力なんだ。ああ……ユウトの魔力に全身が満たされ、身体が少しずつ熱くなっていく)
「あっ……」
玲は全身を満たしていくユウトの魔力に思わず声が出てしまう。
「大丈夫、魔石が壊れたりはしないから。俺を信じて」
「……うん」
耳元でユウトが優しく囁くように言った言葉に、玲は思わず出てしまった声を聞かれたことに恥ずかしくなり目の前にあるユウトの腕に顔を埋めた。
それから15分ほどした頃。
(あっ……なんだか身体が火照ってきているような……頭がボーッとする……これも魔導術の影響なのか? ああ……ユウトの腕が目の前に……太い……この腕で正面から思いっきり抱きしめられたい。でもそうなったら私はもう抵抗できない……そしてさっきお尻に当たったユウトのモノで私は……でもきっとユウトなら私を優しく抱いて……あれ? さっきから私はなにを考えているのだ? なぜユウトに抱いて欲しいだなどと)
徐々に流れてくる魔力が増えている影響なのだろうか? 玲の頭がボーッとし始め身体はじわじわと火照り、エッチな妄想を自然とするようになっていた。
(集中しろ。ユウトが一生懸命施術してくれているんだぞ)
玲は体内に流れ込んでくる魔力の量を、ユウトが細かく調整していることを感じている。それはとても繊細な動きで、慣らしの時以上にユウトが集中しているのがわかった。それなのに自分はなんと破廉恥なことを考えているのだと、玲は自身を厳しく律した。
そして徐々に熱くなっていく身体と、気を抜けばエッチなことを考えてしまう自分を律しながらさらに30分ほどが経過する。
「ふぅ……今日はこんなもんかな。玲の魔石をかなり刺激したから、あとは寝ている時や魔素の濃いこのダンジョンで普通に生活していれば体内の魔石は大きくなると思う。そんでまた明日の夜に施術してを繰り返す感じかな」
魔導術を終えたユウトは、玲から離れ額の汗を拭いながらそう告げる。
「あ、ああ……ありがとうユウト」
「ん? どうした? もしかしてキツかったか? 施術される側に負担はないはずなんだけど、どこか具合が悪くなったのか?」
玲の様子がおかしいことに気付いたユウトは、地球の人族はリルとは違うのかもと内心で焦る。
「い、いや身体は大丈夫だ。その……ずっとユウトに抱きしめられていたから……緊張しただけだ」
「あはは、俺もだよ……と言いたいところだけど、施術に集中していてそれどころじゃなかったんだけどね」
「そ、そうか……ありがとうユウト。で、では私は楓を呼んでくる」
玲はベッドから起き上がり、捲れていたシャツを直しながら恥ずかしそうに小走りで部屋の外へと出て行った。
「うへへ、恥じらう子っていいなぁ。やっぱ日本人は最高だわ」
そんな玲の姿をユウトはニマニマした表情で見送っていた。そして次は楓だと。今度は施術前にもう少し堪能しようと、そう心に決めるのだった。
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