第43話 勇者の孫 義妹たちの入浴
大理石のような石が敷き詰められた広い浴室。奥には白い石で造られた人が10人は入れそうな浴槽があり、その中央には口からお湯を絶え間なく放出しているドラゴンの頭部を模した像が置かれている。
そんな広い浴槽の端に、二人の美少女が浸かっていた。
一人は身長160センチ半ばほどで、凛とした雰囲気の黒髪のショートカットの女性。
もう一人は同じ背丈で長い黒髪の正統派の美少女と言った印象の女性。
二人とも整った顔立ちと豊満な乳房の持ち主で、それでいて腰はくびれお尻も大きめだ。
そんなパーフェクトとも言えるべき顔と身体の持ち主こそ、玲と楓の双子姉妹である。
「ふぅ……それにしても広い風呂だな」
浴槽の縁に背を預け、足を伸ばしながら玲は高い天井を見上げそうつぶやいた。水面には白くて張りのある彼女の大きな乳房が浮かんでいる。
「そうだね〜広すぎだよね〜」
そんな玲の隣で楓も浴槽の縁に背を預け、天井を見上げながら姉のつぶやきに賛同する。彼女の胸もとにも、姉よりも若干大きくて柔らかそうな乳房が浮かんでいた。
「貴族のテントだと言っていたな。テント……テントか」
「ぷっ、どう見てもお金持ちのお屋敷だよね。寝室も広くて天蓋付きベッドに高そうな家具ばかり置いてあったし」
首を傾げながら口にした玲の言葉が面白かったのか、楓は笑いながら答える。
「そうだな、ベッドもシーツも信じられないくらいフカフカでなめらかだった。まるでお姫様にでもなった気分だったよ」
「実際に貴族令嬢が使う部屋を参考にしたのかもね。兄さんもなかなかやるよね」
「ふふっ、そうだったな。ユウトが全部用意したと言っていたな。なかなか女心がわかっているじゃないか」
「確かに。エッチなくせに照れ屋の兄さんが、あんな乙女心をくすぐるような部屋を用意しただなんて意外だよね」
実際はいくらお金が掛かってもいいから女の子が喜ぶ部屋をと言って全て業者に丸投げをしていたのだが、思わぬ形でユウトの株が上がっているようだ。それだけ二人は部屋を気に入ったのだろう。
「もしかしたらカミラさんが手配したのかもな」
「あ、それなら納得かも。貴族の家で長年メイドをしてたって言ってたもんね。きっとそうだよ。それにしてもカミラさんは凄く綺麗だったよね。それでいて凄く強そうだった」
「ああ、この世の美を集約させたよう美しさだったし、底知れぬ怖さがあったな」
ドラゴンやシャドウウルフと違い美しい人の姿をしたカミラであったが、楓と玲は彼女から強者の雰囲気を感じ取ったようだ。
「やっぱり魔族なんだよね」
楓が再び天井を見上げそう呟く。
「見た目は絶世の美女だがな」
「魔族ってなんなんだろうね」
「魔王と共に魔界から来た知能の高い魔物だとユウトは言ってたな。それ以上はわからん」
玲は以前、稽古の休憩時にユウトから聞いた話を思い返していた。
「魔王かぁ、日本にも来たりするのかな?」
「それは無いと言っていたな。日本には異世界にあるような高ランクのダンジョンが無いかららしい。魔王はその高ランクのダンジョンと魔界を繋いでやってくるそうだ」
「へぇ、高ランクのダンジョンから出てくるんだ。じゃあ大丈夫だね」
「そうだな。まあ、たとえやって来てもユウトが倒すんじゃないか?」
「あはは、確かに兄さんならドラゴンに乗って倒しそう。なんたって勇者の孫だもんね」
実際はたとえユウトであってもたった一人で倒せる相手ではないのだが、二人はとんでもなく強いドラゴンを使役している彼なら倒せそうだと思っているようだ。
「それを言ったら私たちも勇者の一族になるな」
「ぷっ、私たちみたいな
「今は弱いがいずれはな。魔王はともかくデスナイトは確実に倒せるようにはならなくては」
「そうだね。でもこのまま兄さんに鍛えてもらったら、きっとすぐに倒せるようになるよ」
「確かにそうだな……本当に容赦がないからなユウトは」
玲は何時間も走りながら戦わさせられ、疲れたら精霊魔法で回復し魔力が切れたら魔力回復ポーションを飲まされまた走り戦わさせられる。といった今日行われた地獄の実戦訓練を思い出しため息を吐いた。
「体力はともかく精神的にキツかったよね……でもさ、今日半日でアリサと紫乃たちと四人であんなに苦戦していた一つ目狼を、お姉ちゃんと二人で三匹も倒せるようになったんだよね」
「ああ、それは私もびっくりしている。あの防具のおかげで思いっきり戦えたのが大きいと思っている」
「あれ凄いよね、露出している部分も魔力障壁で守られるんだから」
「私も最初は驚いた。ユウトに防具に魔力を流すように言われて流したら、本当に魔力障壁が張られたのだからな」
ユウトが二人に与えた魔法防具は英雄級だ。当然肌が露出している部分も守れるよう、魔法障壁が張られるようになっている。
「流す魔力量が増えれば相応に障壁も強くなるって言っていたけど、私たちくらいの魔力でもあれだけ耐久性があるんだから凄い防具だよね」
「露出が激しくて恥ずかいがな。だが、恥ずかしいからとあれほどの性能の防具を装備しないのも愚かだろう」
「兄さんからの視線をお尻と胸にこれでもかって感じるけどね。本当にエッチなんだから兄さんは」
楓は仕方ないなといった表情でそう口にする。
ユウトが後ろから二人を視姦していたことは気付かれていたようだ。
「そうだったのか? 私は全然気が付かなかったな。まあ、ユウトのおかげで短時間で強くなれたし、ダンジョンの中でこうして風呂にも入れるわけだ。夜も温かいベッドで安心して眠れる。こっそり見られるそれくらいはな……前にも言ったが家族なのだし、気にしないことだな」
「それはそうなんだけどね……じゃあそんな気にしないお姉ちゃんが、デスナイトを倒せたあかつきには兄さんにお礼をしないとね。この胸で!」
ユウトの視線をまったく気にしないと言う姉に、楓はならばと言わんばかりに玲の乳房を両手で鷲掴みにした。
「こ、こら揉むな! なぜ私が胸でユウトにお礼をしないといけないのだ!」
「え〜、兄さん喜ぶと思うよ? この揉みがいのある胸を揉ませてあげたり、挟んだりしてあげたら」
「は、挟むって何を挟むというのだ」
「何ってナニをだよ。ここにこうして……」
赤面する玲に楓はニヤリと笑い、人差し指を玲の胸の間に挟んで上下に動かす。
楓も相当な耳年増である。
「〜〜〜!?」
ユウトのを胸で挟むことを想像したのか、玲の顔は真っ赤だ。
「あはは、冗談だよ。それにしてもお姉ちゃんのおっぱいは張りが凄いよね。さすが小さい頃から剣を振ってただけあるね」
そんな姉の姿にこの辺にしておかないと怒られると思った楓は、指を抜き優しく揉みあげながら今度は姉の胸を褒め始めた。
「だ、だから揉みしだくなと言ってるだろう……そういう楓だって双子なのに私より大きくて柔らかいじゃないか」
しつこく胸を揉む妹に、玲はお返しとばかりに手を伸ばし楓の乳房を揉みしだいた。
「あんっ、くすぐったいよお姉ちゃん。わかったから、もう揉まないから……今はいいんだけどね、将来は垂れそうで怖いよ。私も剣を振ろうかな」
やり返されたことで玲の乳房から手を離し、玲も楓の乳房から手を離した。そして楓は自分の乳房を下から持ち上げつつ、将来垂れそうなことを心配している。
「楓が今さら剣を? 魔法少女アイスムーンの氷華になりたいんじゃなかったのか?」
そんな楓に玲はニヤリと笑ったあと、幼い頃に彼女が好きだったアニメに出てくる氷の魔法を使う主人公の少女の名前を口にする。
「もうっ! それは小さい頃の話でしょ。お婆ちゃんといい、いつまでも昔のことを持ち出さないで欲しいな」
姉もそうだが以前ユウトの前でも祖母に言われたことを思い出し、楓は腕を組み怒り出す。
「フフッ、悪かった。幼い頃に毎日にようにアイスムーンごっこに付き合わされたからな。アイスランスとか言いながら真冬にツララを投げていたあの時の楓が懐かしいな」
膨れる楓に玲が謝りつつも追い打ちをかける。
「あーまたそんな昔のことを! そんな意地悪なお姉ちゃんには……こうだ!」
「ちょ、そんなに激しく揉むな! このっ!」
「あひゃっ……ち、乳首を摘むのはズルいよ! なら私も!」
「あくっ……んんっ……ま、負けないぞ」
それから5分以上、二人はお互いの乳首を摘み合ってじゃれ合うのだった。
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