第9話はじまりの始まり
「___と、いうことがあったの」
私は一息ついて、皆を見回した。
十年たった今、皆はそれぞれ違う立場にいる。大学に通ったり、バイトをしたり、結婚したり、仕事をしたり。そして私もまた。
「めっちゃ、酷くない!?特にアイラ!!!」
「私も前にマナから聞いてて、そう思った〜〜」
ラナとアイラがそう笑い合っている。他の子達も次々に驚いた様子だった。
だけど、私は疑問に思っていた。
「なんで、皆、私の話信じてるの?」
キョトンと不思議そうに言う私に対して、そばかすの消えたウォンはあっけらかんと言ってくれた。
「お前が言ったからだよ」
と。意味がわからないが、なんとなく、この子達の軸では私は名前を当てる魔法使いだからかなと思いを馳せた。しかしボブが私の前を横切りこう言った。
「マナ、が言ったからだよ。皆、お前のこと信じてるんだよ」
その言葉を聞いて、私はロイのことを思い出していた。
タイムリープしたその日、ロイと初めて会った私はタイムリープのことを打ち明けた。ロイは初め驚いてはいたけど、すぐに嬉しそうな顔をしてこう言ってくれた。
「もし、僕とお別れして未来に行くんだったらさ、約束して欲しいんだ。
未来で皆が大人になった時に皆にタイムリープのことを伝えるって。
僕を未来へ連れてってよマナ、僕が生きた証としてさ」
何度もタイムリープしなかったら、ロイに合わなかったら、きっと今の私はいなかった。私、ロイを未来へ連れて行けたかな。
「んで、全部わかったけど、他に言うことがあるんだろ?」
ケビンは私がボブとサリーに抱きついているのを制止し、あ。そうだ。と思い出したように私は重大発表を言い始める。
「私、日本に帰るんだ!」
「えーーーーー!!!!!!!」
その日の食事会は終わり、私は最後にお別れをいう人物に会いに行った。
それはもちろんロイで、ロイのお墓に向かった時だった。
「先生?」
ロイのお墓の前には小学校の時の担任だったデイヴィス先生がいた。
「ロイのこと、知っていたんですか?」
「もちろん、先生のクラスの子だからね」
私はその言葉を聞いて、デイヴィス先生に日本へ帰ることを伝えた。
「そうですか、それは良かったですね」
にっこりと優しく微笑む先生はやはり悪い先生とは思えなくて、私は、なぜあの時、皆の学芸会を否定したんですか?と聞いてしまった。それはデイヴィス先生が言いやすい雰囲気を作ってくれたからだろう。
「貴方もクラスの一員だからですよ」
そう聞いて、私は微笑んだ。
「先生も、クラスの一員ですよー!!!」
そして私は日本へ帰る為、飛行機に乗った。
見送りに来る人もいれば来ない人もいたけど、あの同窓会でもうお別れは告げたから。いや、別れじゃないよね。
この物語は私がこれから歩んでいく、始まったばかりの人生だ。
終
海外に行って虐められた私がタイムリープして人生変えた話 微乳姉さん @binyu
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