木「親方!空から……が!」中編
僕は目の前に落ちてきた謎の白い物体を見据えていた。
その白い物体......、いや。生き物は少し赤い部分はあるが、透き通るような綺麗な羽で覆われていた。
スラリとした手足に、キリッとした顔(人じゃないから比較できないけど)をしたドラゴンだった。
うん。なんでこんなところにドラゴンが?それになんでドラゴンみたいな強い生き物が傷だらけで落ちてきたんだ?
っと、思考にふけっていたら、広げていた魔力になんか生き物があたった感触がした。
その瞬間背筋?幹?にゾクっとえもいわれぬ感覚が走った。
やばい!!なんだかわからないけどやばい!!
何が起きていのかわからないため、混乱と焦りで思考が塗りつぶされていく中、何かスキルが発動したような気がした瞬間、一瞬にして思考がクリアになり対抗策が頭の中を駆け巡っていく。
すぐにでもここから動かないといけない、そんな気がする。だけど、僕は木だから動くことができない。ならばどうする?
そう、とにかく魔法をブッパなつ!!!
残っている魔力を全部放出し、巨大な風の球と火の球を作り出し、二つの球を合成していく。
しかし、複合魔法の今の所成功率は30回中2回の約6%ほどだ。そのため、急いで合成していくのだが、もし失敗すれば大爆発を引き起こし、下手すれば自分の魔法で死んでしまう。
しかも、感覚的に大きくなればなるほど難しくなっていってる。
だったらやることは明白。早く丁寧にだっ!!
両手で針に糸を通すような作業を高速で行って行く。
〝ゴォォオオオーー!!″
複合魔法が完成するのと同時に風と共にソイツは現れた。
鋼色の体で、体長は25m程で体に風を纏ったドラゴンだった。
明らかに強そうな見た目で、ゲームに出てくるのだとしたら終盤のエリアに一体しか湧かないエリアボスのような見た目だった。
そして、特筆すべき点が一つあった。2対で体長の2倍近くある翼だ。
その大きな翼を動かした時の風がすごく、近くにある木は少し傾いてるし、花は何本か飛んでいったり、花びらが散っていった。
その場にとどまるだけで辺りに被害を出す。その様はまるで暴風の化身のようであった
<鑑定>
・ーーーーーーーーーーーーーー・
種族:風鋼竜
Lv:120/200
HP:510
攻撃:640
防御:800
魔力:924
・ーーーーーーーーーーーーーー・
えぇ?つっよ!!!
なんか予想の2倍くらい強いんだけど!??
頼みの綱である魔法ですら、倒し切れるのかわからないくらいの防御力。
さらには、魔法を避けられる可能性だってある。
……だから、絶対に魔法を当てられるってタイミングを見極めるため、ちょっとした動きすら見逃さないように死ぬ気で相手を見据える。
…見つめ合うこと約1分、両者共に動きがなかった。
理由は多分だけど、僕の魔法だ。
風鋼竜は何度も僕の魔法の方に目線を向けているし顔を見たってドラゴンの顔から心情を察せるわけではないけどなんか怖がってる気がした。
30秒ほど見つめあった頃ぐらいに、なんで攻撃してこないんだろうと思って、ちょくちょく魔法の方を見ていたから、魔法を上下左右に動かしてみたんだけど。
そうしたら、風鋼竜は飛ぶ高さとかは変わってなかったんだけど、尻尾がちょっとずつ動いて、股の間に来ていた。
それからは、魔法が怖くなってどっか逃げていってくれないかなぁ?と思い、ちょくちょく魔法を上下左右に動かしながら風鋼竜と対峙していた。
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