第20話 公爵令嬢は画策したい
ー翌日。
父と私とアンソワ家の騎士長で机を囲み、作戦会議をしていた。
「ポーションは何本、準備できたか」
「ポーションが100本、魔法陣500枚、剣・槍・盾ともに人数分を用意しました」
「50人の騎士で行くとして、一人2本では心許ないないな。もっと用意は出来なかったのか」
「町の近くに生えている薬草は全てとりつくし、材料がないそうです」
たしかに私が依頼を受けた時、近場に薬草は全く見当たらなかった。依頼も隣町でと書かれていたな。そして魔法陣の依頼もまさかアンソワ家とは。500枚は多すぎではないだろうか。そんなに中級魔法や上級魔法が使える者がいるとは思えない。
「お父様、ポーションが足りない分は私の光魔法で補います。ご安心を」
「フィナリーヌ様がいてくれると本当に心強いです」
アンソワ家の騎士長ディーン・アマーリエが嬉しい言葉をかけてくれる。
「頼むぞ、フィナリーヌ」
父と騎士長が色々な意見を言いながら作戦を立てていく。船上での実践経験が全くないので聞き専にまわっていた。
「中級魔法、ウッドウォールを利用して、海上で足場をつくり、その足場を利用して剣使い、槍使いが攻撃するのはどうでしょう」
「水の国の報告からも足場が悪いと力が出せないとあったからな。足場要員の魔法使い、攻撃要員の魔法使いと班をわけよう。足場要員は魔力の持久力がある者や火属性・水属性の魔法使いを選んでくれ」
「承知しました。攻撃要員の魔法使いは水・火属性以外の上級魔法が使える者で構成します」
「剣使いと槍使いの配置は、魔水竜攻撃班、魔魚攻撃班、船を守る班と分けてくれ。船を守るのはリーチが長い槍使いを中心に構成せよ。また非戦闘員の船員にも槍か剣を一つずつ用意しておけ」
「それではカリブデスは倒せんぞ」
光の精霊が丸い光となって現れ、言葉を発するとすぐさまお父様とディーン騎士長がひざまづいた。お父様に怒られそうなので、念のため私もひざまづいた。
「精霊様。おそれながら、カリブデスを倒す方法をご存知であれば教えてください」
「そちはフィーナと違い分別があるようじゃの。特別に教えてやろう。カリブデスは風魔法に弱いのじゃ」
「し、しかし風魔法は補助魔法とされていて、攻撃力はありません」
「鈍いやつじゃの。風魔法と他属性の複合魔法を使えということだ。あとは水がある限り回復することができるからな。水から離すと良いぞ」
そういって光の精霊はまた姿を消した。正確に表現すると私の契約紋に戻った。
「独り言を話していたと報告を受けていたが、やはり光の精霊と話すことができるようになったのだな。さすがだフィーナ」
独り言まで報告しているのか……。アンソワ家、恐ろしい子。
「魔水竜を海から離すのは至難の技ですね。どうしましょう」
ディーン騎士長が話を元に戻す。
「出来ないことよりも、出来ることを。風との複合魔法を使える者の人数の確認と魔法陣の準備を。魔法使いの攻撃班は、複合魔法が使える者で構成し、剣使い・槍使い・大盾使いの攻撃班は魔水竜の注意をそらす陽動要員に」
アドバイスを貰って、お父様が作戦を決めていく。
騎士長が部下に複合魔法が使える人数の確認と、魔法陣の依頼をするよう指示をした。アリアが当日締め切りの仕事をすることになるのだろう。昨日の今日で、、、。可哀想に。
作戦を立てた後、自室に戻り複合魔法の準備をした。
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