第5話 窮地

城内は混乱していた



難攻不落と言われたエアウィング城に魔物の群れが攻め込んで来たからだ



城内のあちらこちらから悲鳴が聞こえた



ロヴェルトは最悪の事態を避ける為にミネルヴァにこう告げた



「子供達を連れて逃げてくれ!魔物達の狙いは双子の王子と王女らしい…その子達はこの世界の希望だ!」



それを聞いたミネルヴァはロヴェルトに問いかけた



「そうだけど…貴方はどうするの?」



ロヴェルトはしばらく目を閉じて考えていた



「…俺は王だ…この国を守らねばならない…この場から逃げ出す訳にはいかないのだ…頼む…分かってくれ…」



「嫌よ!一緒に逃げましょうロヴェルト…私は…貴方が死ぬのなんて考えられないわ!」



ミネルヴァはロヴェルトに抱きついてそう言った



「…ミネルヴァ…気持ちは嬉しいが時間が無い…その子達を逃がさないと大変な事になるんだ…頼む…君なら…ドラゴニール族である君なら子供達を連れて逃げる事が出来るはずだ…」



「…早く行くんだ!お願いだ…子供達を頼む!」



ロヴェルトがそう告げた次の瞬間後方から声がした



「ミネルヴァ様…私も一緒に行きます!もうすぐそこまで魔物達が…!」


声をかけてきたのはディオンの5つ上の姉であるローズマリィだった


「一階の暖炉の裏に隠し扉がある…そこから隠し通路に入れば裏山まで行けるようになっている…もう時間が無い…早く行くんだ!」



そう告げたロヴェルトはミネルヴァ達に子供達を託し部屋の外へ出て行った



「ミネルヴァ様…さぁ行きましょう…」



ローズマリィに諭されたミネルヴァは子供達を連れて一階の暖炉の奥の隠し扉へ向かうのだった

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