第35話 友美さん 2

公園のベンチに座っている友美さんを見つけた。

どうしてわかるのかって?


ボクが好きなふわふわのボールに似ている飾りを髪の毛につけているから。

ボクはあれを見ると、チョイチョイって触りたくなっちゃうんだ。



『にゃん。』

(見ーつけた。)

『ん?あれ、君どこにいたの?』

友美さんはボクにびっくりしている。


いつもはボクがびっくりしちゃうんだけど。


『にゃん。』

(その飾りで遊びたいんだよぉ。)


『おいで。』

って、友美さんはボクの事を優しく抱っこしてくれたんだ。

友美さんはふんわりと優しい匂いがしたんだ。

『にゃぉ。』

(遊んでいいの?)


ボクは友美さんの肩に手を乗せて、ひょいと体に登ろうとしたんだけれど。

『あらあら、ダメだよ。君、いたずらっ子だねー。』

って、お膝の上に下ろされたゃったんだ。


『にゃぉ。』

(あれで、遊びたいのにぃ。)

ボクは少し甘えてみたけれど、友美さんは遊ばせてくれなかったんだ。


『うふふっ。この飾りはね、君のオモチャじゃありません。』

友美さんは優しく微笑みながら、ボクに話をしてくれたんだ。


『にゃぁーぉ。』

(つまんないのっ。)

と思ったけれど。

今は我慢しておこう。


友美さんはお膝の上に丸くなったボクの頭をクシュクシュと指先で撫でてくれる。

お耳の後ろなんて、そりゃーもう最高にきもちがいいんだ。

『にゃぉ。』

(んー、そこそこ。)


『あら、君はここが気持ちがいいのかな。』

ボクの顔を覗き込みながら、いろんなところをクシュクシュしてくれるんだ。


友美さんの腕はとても細くて白くて綺麗なんだ。

そしてクシュクシュとしてくれる指はとっても優しくて、ボクは大好きなんだ。


友美さんは最初に島に帰ってきた時よりも少し元気になったみたいだ。

前はほとんど会えなかったけれど、最近はよくこの公園で座っている。


『にゃん。』

(ねー友美さん。)

『ん?君はとっても可愛いいよ。』

『にゃん。』

(ありがとう。いつもそうやってボクを撫でたなくれるよね。)


『ホントに君は可愛いっ。』

友美さんが笑っている。

『にゃぁーぉ。』

(やったぁ、嬉しいな。)

友美さんが笑ってくれたから、ボクはまた肩に登ろうとしてみたんだ。


『だから、いたずらしちゃだめでしょ。』

また、お膝に戻されちゃった。



『にゃん。』

(あー、残念。)


それでも友美さんは優しく笑いかけてくれている。



いつかそのふわふわのボールで遊ばせてね。


ボクは友美さんにクシュクシュされながら、しばらくお膝の上でのんびりと過ごしたんだ。

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