第32話 ボクのしっぽ

野原さんちで遊んでいたんだ。

ヒラヒラと風に揺れているカーテンにぴょいって爪を引っ掛けて登っていた。


『あらら、ぷち。危ない危ない!』

って、野原さんは言うんだけれど。


『にゃぁーん。』

(これが楽しいんだよぉー。)

って遊ばせてもらっている。


おかげで野原さんちのカーテンも、お髭先生

のお家のカーテンも、山本のじーちゃんのお家のカーテンも。


ボク達のら猫達の爪に引っ掛かってしまった糸が、カーテンからビローンって出ちゃってるんだ。


そのビローンってなった糸をまた爪でちょいちょいと触ってみたり、よじ登ったりして楽しく遊ばせて貰っている。


ただ、時々困った事が起きてしまうんだ。


ボクのこのくねっと曲がったカギしっぽは、そのカーテンから出た糸に時々引っ掛かってしまうんだ。


他にも扇風機のコードだとか、何かの紐だとか、よくボクのしっぽにくっついてきちゃうんだ。



『にゃぁーん。にゃぁーん。』

(ねぇ、ちょっと、ちょっとだけ。ボクを抱っこしておろして下さい。)


『ほらー、ぷち。だから危ないって言ってるでしょぉに。』

と、また野原さんに怒られてしまった。

ボクのカギしっぽにカーテンの糸が引っ掛かって、降りれなくなっちゃったんだ。


『にゃん。』

(ごめんなさい。)


野原さんは優しくボクを抱っこしておろしてくれたんだ。

『ほら、ぷち。違う所で遊ぶんだべ。』

って。


『にゃあ。』

(ありがとう。)

と言って、ボクは別の部屋に移動した。



今度はボクの後ろを何かがついてきている。


(パサッ。パサッ。パサッ。)

振り返ると、何だか白っぽいものが見えたり見えなかったりする。


『にゃん。』

(何これ?)


『アハハ!』

野原さんが大きな声で笑い始めた。

『ぷち。ビニール袋ぶら下げて、どこにお買い物行くんさぁ。アハハ!』


『にゃぁーん。』

(あのー、笑ってないで早く取ってぇー。)


もっと良いものが引っ掛かってくれるといいのだけれど。

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