第25話 小島さん

島の診療所に時々やってくる小島さん。

スーツを着て、黒い大きな鞄をもって、黒渕のメガネをかけているんだ。


時々お髭先生とお薬のお話をしたり、何気ない会話をして楽しそうだ。


ボクはお髭先生のお部屋でお昼寝をしていると、お髭先生と小島さんが入ってきた。


『おー、チビコロ!来てたかぁー!』

とお髭先生がボクを見つけ話かけてくれた。

『にゃん。』

(こんにちわ!)

とボクは挨拶をして、寝転がっていた座布団をはなれた。


『あー、この猫ちゃん!この前歩いていた所を見ましたよー!くねっと曲がったしっぽが可愛くて、よく覚えてます!』

と、小島さんはボクの方に手を出してきた。

『にゃん。』

(ボクも時々見てるよー!)


ボクは小島さんのズボンの裾の匂いをクンクンと嗅いだ。

ツーンとする匂いが鼻を擽る。

ボクは少し顔をブルッとさせて離れて座った。


(小島さんの足は、なんかおつまみで嗅いだことがあるような匂いがする。。。)


『あー、小島さん。お昼ごはんも一緒に食べれるどぉ?インスタントのラーメンだけんどぉ。』

と、お髭先生はお茶を入れながら小島さんに話かける。


『あ、あのー、は、はい。』

『んー、なんか違うものがいいかぁ?ほんなら魚でも焼くか!』

『い、いや、先生!お気になさらずに。僕は大丈夫ですよ!』

と、小島さんはお髭先生に伝えたんだけど。


遅かったようだ。

お髭先生はお魚をもう焼きはじめていた。

『まぁー、ゆっくりとしようやぁ!久しぶりやし。チビコロもおるで、なぁ?チビコロも魚食べるだろ?』

『にゃーん。』

(もちろん!お髭先生の焼いてくれたお魚は大好きだもん!)

とボクは耳を掻いて、お魚が焼けるのを待った。


『アハハ!そうかぁ。』

『いやぁー、ホントにびっくりしましたよぉー。』

なんて、お髭先生と小島さんのお話は続いている。


そして、お魚の焼けたいい匂いがボクのところまでやってきた。

『にゃーぉ。』

(そろそろかなぁ。。。)

ボクは少しお髭先生の座っている場所に近づいて行った。


『ほら、できたど!』

とお髭先生はテーブルに小島さんの分のご飯を並べた。


『いただきます!』

と、小島さんは顔の前で手を合わせる。

ふーっと小さく息を吐いて食べ始めた。


『にゃん。』

(いただきます!)

と、ボクはお魚をペロペロと食べ始めた。


『どうだ?うまいべー!』

と、お髭先生はいつもより嬉そうだった。

(やっぱり誰かいると食事も楽しいなぁ。)

とお髭先生の心の声が聞こえてきた。


(はぁー、島についてすぐに食堂で山盛りご飯を食べたんだけどなぁーーー。)

と小島さんの心の声も聞こえてきた。


『にゃん。』

(フフッ)

って、笑っちゃった。


だから、小島さんのお腹は大きくてパンパンなんだねぇーー。


(今度から先に診療所に来よう。。。)

小島さん、その方がいいね!

ボクはあっという間に食べ終えて、毛繕いを始めた。

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