第21話 近藤さん

島田さんと仲良しの近藤さん。

家もお隣なんだ。

近藤さんのお家の横には畑があるんだ。


畑ではお野菜を作っている。

近藤さんの旦那さんが一生懸命土を作って野菜を育てているんだ。


キャベツや大根、じゃがいもやさつま芋。

ボクは時々、その畑の中にある真っ直ぐな道を歩いて散歩をするんだ。


近藤さんの旦那さんが、おにぎりとたくあんをアルミホイルに包んで畑の横に座って休憩をしている。


『おー、ホクロ!お散歩かぁー?』

とボクは話しかけられた。


ここでのボクの名前は(ホクロ)。

『ゃぁお。』

(そうだよー、ちょっとお邪魔してるよー)

ボクは畑の中の道をゆっくりと歩いて行く。


畑の土は、少しふかふかで柔らかいんだ。

お野菜が植えてある所を、ボクはピョンっと跳びはねて踏まないように気を付けている。


『おー、ホクロ。ちゃーんと野菜を避けて通ってくれるのかぁー。偉いなぁ。食べ物は粗末にしたらだめだもんなぁ。』

と、なぜか近藤さんの旦那さんはボクの事をいつも褒めてくれるんだ。


『にぁー。』

(よくわからないけど、嬉しいよ。)

ボクはとなりにある道に、またピョンって跳びはねて歩く。

長く伸びた葉っぱが、またいつものようにボクの鼻先に当たってクシュクシュする。


『ぶしっっ』

クシャミが出で、体をブルブルっと揺らした。

『ぬははははは!ホクロ、葉っぱが痒いかーー!ぬははははは!』

近藤さんの旦那さんはポリポリとたくあんを食べながら笑った。


その笑い声が聞こえたのか、家の中から近藤さんが出てきた。

『あんたの笑い声がご近所さんによー聞こえとるわぁー。』

『ほんなこたないべゃ。』

『なぁ?ホクロ?』


『ゃぁ。』

(ボクに助けを求めないでよ。本当に大きな声で笑ってるんだからー。)


ボクは畑の真ん中にある道で寝転がった。

お天気も良くて、土も温かい。

ボクは思わず背中をスリスリとして遊んだ。


『あらぁー、ホクロがあんな事して遊んどるわ。』

『あらま、畑の土で汚れてしまうがなぁ。』

『まぁ、楽しそうやからええわぁ。』


近藤さんと旦那さんの楽しそうな声が聞こえてくる。

『あら、あんたまた、ここでおにぎり食べてるのん?』

『んぁー、家の中より気持ちがいいからなぁー。』


しばらくすると、旦那さんが言った。

『なぁー、お茶入れてくれや。』

『なぁにぃ、すぐ目の前なんだから家さ入って飲んだらいいさぁー。』

『ぃやぁ、ここで飲みたいんだぁ。』

『んもー、すぐそこだがねぇ。』


と、近藤さんはお茶を入れに部屋に入った。

縁側から顔を出して言った。

『ほら、あんたー、取りにきてぇ。』

『あぃよ!』


(結局取りに行くなら、家に飲みに行けばいいのにね。)

とボクは思いながら、そのまま少し眠ることにした。

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