第7話 パーマネント フラワー

この島の奥の方に行くと、少しずつ上り坂になっているんだ。

島のほぼ真ん中に役場がある。吉田のばーちゃんの息子さんが働いている役場だ。

役場の周りには、公民館や交番があるんだ。

小さいけれど、お髭先生の診療所も。

あと、何かあった時にのために消防署もあるんだ。とても小さいけどね。


みんなのお家から集まりやすい様に、島の真ん中に色んな所が集まっているんだ。



この島で1番のおしゃべり好きが集まる場所のひとつに裕子さんのお店がある。

裕子さんのお店は美容室でお店の名前は

『パーマネント フラワー』

裕子さんのお父さんとお母さんがやっていたお店だったけど、裕子さんが美容師さんになってお店をついだんだって。

お店の名前を変えたいそうなんだけど、看板が今ではレトロで逆に(おしゃれ)だからって、そのままにしてるみたい。


とにかく、裕子さんはお話が大好きなんだ。

『あ、クリリン、こんにちわ!』

ボクのここでの名前は(クリリン)

やっぱり、しっぽから付けられた名前だ。

『にゃーーーん。』

ボクも挨拶をする。

『クリリンおいでー!』って呼ばれた。

(ん?何やら美味しそうな匂いがするぞ。)

『クリリン、さつまいもだよ!』

『にゃ~ん!』

裕子さんはお野菜を柔らかく茹でたものを時々くれるんだ。

(んまー!ボクはさつまいもの柔らかいやつが大好きなんだ!)

『にゃ~。』

『あらー、美味しいね!喉につまらないように、ゆっくり食べようねー!』

『にゃん!』

(美味しいから、ゆっくりと言われてもムズカシイんだけど。)


『今日はまだ、誰も来てないから。クリリン、しばらくゆっくりしていってよ。』

(裕子さん、退屈なのか?)

おやつを貰ったあと、裕子さんは猫用のブラシを持ってきて、ボクの体をブラッシングしてくれるんだ。

頭のてっぺんから、首の周りをブラッシングしてもらうと、すっごく気持ちがいいんだよ?みんな知ってるのかなぁ。

ボクは思わず、裕子さんが手に持っているブラシに首を擦り付けちゃうくらい、とーっても気持ちがいいんだ。


人間もよく、裕子さんに髪の毛を切って貰ったり、パーマをしてもらったりしてるもんね。やっぱり気持ちいいのか。

その間、裕子さんもお客さんも笑顔でずーっと色々お話してる。とても楽しい時間みたいだ。


たまにお客さんが来ても、ボクは人間が気持ち良さそうにして貰っているのを眺めてるんだ。

たまに変な丸いのを頭にたっくさん巻いてる人がいてね、面白いの!

(チーン!)って音がする時があるから、びっくりしちゃうんだけど。


今日はのんびりと全身のブラッシングを綺麗にして貰ったよ。

(あー気持ち良かった~)

ボクはう~~んっと伸びをして、外の空気を吸うために外に出て歩きだした。

『クリリン、またおいでねー!』

『にゃーん!』

ボクは挨拶をして歩き出した。

 

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