第6話 池ちゃん
黒田さんの家から、そのまま道に沿って歩いて行く。しばらく歩くと、池ちゃん夫婦の家にたどり着く。
途中で、時々長い草がピょ~~んって、ボクの視界に入ってきちゃうから、ついつい匂いを嗅いでしまう。。。
そして必ず鼻がムズムズしてクシャミが出ちゃうんだ。何だろ、あれ。
すると、畑に行く準備をしている池ちゃん夫婦に出会った。
『あら、くるりでねぇの。今日は何処いくのかい?』
ここでのボクの名前は(くるり)。
ちょっと響きが可愛いだろ?もちろん、しっぽから付けられた名前だ。
池ちゃん夫婦は二人で畑をしている。
お家の前の道を渡った反対側にある、大きな大きな畑だ。
池ちゃん夫婦は仲良しで、おっとりと会話をしながら作業をしている。
池ちゃん夫婦は、小さい頃からこの島で一緒に過ごして大人になったんだって。そのままふたりで結婚して、ここで畑をしながら生活をしているそうだ。
ずーっと一緒にいるからかなぁ。
池ちゃん達の顔は、とてもよく似ているんだ。旦那さんに髭がポチポチ生えてるくらいで、優しい目や笑ってくれる顔はそっくりなんだ。池ちゃん夫婦の心の声で、たま~に奥さんが旦那さんの愚痴を言ってるけど(笑)。
旦那さんが、焼いたスルメの美味しいところばかり先に食べちゃうんだって。奥さんもたまには美味しいところ食べたいんだ。
『にゃーーーん。』
(今度、旦那さんに伝えてみるよ!)
ボクはよく、ふたりの作業をのんびり見ているんだ。
今は白い大根と、大きな白菜を収穫しているんだって。
『おーい、くるり。忙しいからたまには手伝ってくれねーかなぁー(笑)』
『アハハ、そんなもん!くるりはネコだから自由に遊んでたいさなぁー?くるり?』
まったく、その通りだよ。ボクは自由でありたい。
『ネコの手でも借りたいってゆーべ?くるりなら手伝ってくれるんでねーかなぁ(笑)』
『くるりー。とーちゃん、あんな事言ってるよぉー(笑)』
ボクの手を借りたいって何だ?
気が向いたら、葉っぱのハジッコかじってみたりはするけど?
モショモショするから、ボクはあまり好きじゃないかなぁー。
池ちゃん夫婦が畑にいる間は、池ちゃんとこのお家の前でごろんとしておくよ!
時々、黒田のおばさんが玄関を開けて
『池ちゃーん!』って呼んでるから。
その時は『にゃーーーん。』って声を出して教えてあげるよ。
池ちゃんのお家は大きくて、隠れる所がいっぱいあって楽しいんだ。
時々、他ののら猫達と一緒に遊んだり、のんびりしたりするのにもちょうどいいんだ。
今日は、お漬け物を作る大きなバケツが干してあるから、その辺りでひと眠りすることにした。
畑の土の匂いと枯れ草の匂いを嗅ぎながらしっぽをふりふりふりとしてごろんと寝転んだ。
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