第4話 吉田のばーちゃん
吉田のばーちゃんは娘さん達の家族と暮らしている。
島のスーパーでみっちゃんと
『あれだよ!』
の言葉だけで見事に買い物を終えたばーちゃんだ。
『あんれ、ネコネコでねぇの!散歩か?』
ここでのボクの名前は(ネコネコ)。
吉田のばーちゃんよ、もう少し可愛らしい名前で呼んでほしいんだが。。。
ま、吉田のばーちゃんはご近所でも可愛いばーちゃんで有名だから、許すとしよう。
ボクは退屈であくびをする。
『ほれ、ネコネコ。おめぇ、暇なのかぁ?』
ボクはいつでも暇だけど。
もう一度あくびをして、耳の後ろを掻いた。
『なんだ、痒いのか?』
吉田のばーちゃんはボクの耳の後ろを手で掻いてくれる。
(ぬぉ~、そこそこ!痒いんですよ!)
『にゃぁ。』
『なぁー、痒いんかぁ。いーなぁ、ネコネコは。痒い所掻いて貰えて。』
(ボクには見えているぞー。吉田のばーちゃんは痒いところを孫の手を使って掻いている!)
吉田のばーちゃんの娘さんはヘルパーの仕事をしていて忙しい。島には年寄りがたくさんいるから忙しいんだ。旦那さんは島の真ん中にある役場で働いている。
だいたい定時で帰ってくるが、家事を手伝ってくれるので忙しそうなんだと。
孫が二人いるが、ばーちゃんの相手はあまりしてくれないようだ。
『ほれ、ネコネコ、こっさおいで!』
『にゃん』
ボクは吉田のばーちゃんの横に座った。
『なー、キレイな景色だー。』
吉田のばーちゃんの家は少し坂を上った所にあり、庭から海が見える。
『ネコネコ、お腹空いてないか?』
『にゃーーーん』
(そういえば、今日はあんまりご飯を貰ってないな)
『にゃぁーーん。』
『なんか食べるか?』
吉田のばーちゃんがお皿に何やらいれて持ってきてくれた。
(クンクンクンクン)
『昼ごはんの残りもんだけどな。ネコネコ、ほれ、お食べ!』
『にゃーーーん。』
焼きシャケの皮と少しの身。
『ほれ、お水もおいてるからね。』
(吉田のばーちゃん、ありがたいが。次から塩してないシャケにしてくれよぉ。しょっぱいんだわ!!!)
『にゃ~』
ボクはあまりのしょっぱさに、水をたくさん飲んだ。。。
吉田のばーちゃんの家のご飯は要注意だな。
わかってはいるんだけど、冬場はよくここに来る。
(さて、今日はここで寝よう。)
ボクは決めていた。吉田のばーちゃんの家はストーブがついていて、のら猫のボク達もたまに泊まれるんだ。
今日は寒いので、ここで眠らせてね。
『にゃん!』
吉田のばーちゃんが寝たあとは、仕事に疲れた娘さんと学校から帰ってきた由紀ちゃんに遊んでもらって、暖かい部屋で今日は眠った。
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