4月9日

 手紙を一通り読み終えて私はベッドから身を起こした。

 窓の外を春風で飛ばされた桜の花びらがひらひらと舞っている。

 彼女はいつも優しい。外に出られない私の為にこうして旅に出ては手紙を送ってくれるし、帰ってきたら旅先で撮った写真を見せてくれる。

 私は彼女の話と、彼女の嬉しそうな顔を見るのが楽しみなのだ。

 

 ガチャと玄関の開く音が聞こえる。

 彼女はどんな顔をしてこの部屋に入ってくるのだろう。どんな写真を見せてくれるのだろう。

 私はそれを考えることが楽しみだった。

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