第11話 白黒のメイド

啓史はすぐに振り返った。するとそこには白黒のメイド服を着た可愛らしい少女が立っていた。目つきは鋭く、どこかロボットのような雰囲気が感じられた。百舌鳥の毛並みのようなアーモンド色のショートヘアーは顔の半分を覆い、ミステリアスな空気を醸し出していた。

彼女は手に白い精巧なティーポットを持っていた。啓史がそのティーポットをよく見てみると、なにか細かな灰色の気体がティーポットに流れ込んでいるように見えた気がした。しかし、その気体の色はかなり薄かったため啓史は気のせいと思うことにした。

彼女の顔を見て最初に啓史に思い浮かんだのは「お、これはメイドロボットか?異世界には何でもあるなあ」というような感想だった。すると、そのメイドはアイナの裾をひき、啓史から引き離した。

(これはどういう状況だ?多分、危険な状況ではないと思うが……)

啓史はそう思っていた。

「貴様のような汚い手で姫様に触れるな」

その見知らぬメイドはそう言い放った。その声は可愛らしかったが、啓史にはどうしてもその声が少し冷たく、無関心な声に感じられた。しかし啓史は、おそらく彼女は人間でロボットではないのだろうという感覚を覚えた。

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