第43話 甘い、甘いぞ〜!
「ワールドクエストって。どうするエクスさん。エクスさん?」
うわなんか顔怖っ。どういう顔してんだ?
「ふふっ。ようやくこの時が来た。あると信じて探し回っていたメインストーリーの情報。今から楽しみで仕方がないよ。」
「あわあわあわあわ。どうしよどうしよう。エクスさんが壊れちゃった。一体私は何をすればいいんだ。」
「ふむ、少し落ち着こうか。」
「ぐふっ。」
「ぐっ。」
うげげげげ、お、おっも!なにこれぜんっぜん動けないんだけど!あちょ、HPがすごい勢いで減ってる。死、死んじゃう~!
「はあ、ヴィーロ様。氣が漏れ出ていますよ。」
「ふっ、ちょっとした戯れよ。今のを見るに男も女も実力のほうは全然だな。しかし潜在能力に関して言えばとんでもない逸材といえるだろう。よし、ジェード。エクスのほうはお前が稽古をつけろ。同じ聖騎士流なら更なる高みへと昇れるだろう。リブラのほうは我が指導しよう。それでよいな。」
「かしこまりました。エクスよ。あちらで話をしよう。それでは失礼します。ヴィーロ様。」
「失礼します。それじゃあリブラさん。また後でね。」
「あ、じゃ~ね。いや~わくわくするな~。できれば簡単なのがいいな。」
「ああ、ちゃんと簡単なものにしてやるさ。ついてこい。」
「わっかりました~!」
何するんだろうな~。おらわくわくすっぞ。……なんかこの廊下長くない?
「ここだ。入れ。」
「うわ~すっご!」
剣に槍に杖になんかよくわからんもんまでとんでもない量の武器だ~。しかも全部キラキラだ。売ったらとんでもない金になるぞグへへ。
「まずは貴様の戦い方から把握したい。武器をとれ。ここにあるのでも自前のものでも好きなものを使え。」
「好きな武器、やっぱり
信じるは己の拳のみ!いざ、尋常に勝負!おじいちゃんだからって容赦せんで~!
*****
「ば、ばたんきゅ~。」
手も足もどころか爪の先も出なかったんだけど!
「ふむ、ここまでレベルが低いとはな。むしろここまでこの戦法で勝てたのが不思議なくらいだ。」
「グフッ。」
「貴様の戦い方は明らかに格下か同レベルのやつらにしか通用せん戦い方だ。唯一格上に通用するであろうだまし討ちも程度が低すぎる。」
「グフグフッ。」
「まずは戦い方からどうにかせんとな。そもそも貴様は特殊魔法を使えるのにあまりにも扱いが雑すぎる。本質を理解しろ。」
「本質?」
「そうだ。貴様のその力はただ眠らせるだけのカスみたいなものではない。」
「か、かすぅ~~?」
「睡魔流も同様に、だ。短期間、一度きりではあるが貴様には本質の理解を深めさせる。武器をとれリブラ。」
「は、はい!」
「睡魔流の足さばきは細かい動作から相手を思うがままに誘うものだ。構えろリブラ。10手、たった10手だ。俺が振るう剣を避けて見せよ。」
「たった10回避けるだけ?そんなのよゆ……。」
「1手目。」
「はやっ!」
足ならジャンプして……。
「2手目。」
「ぐはっ!」
「すぐ空中に逃げる癖を治せ。まぐれで避けることができても3手目で同じ結果になるぞ。」
「じゃあどうやって避けるんですか?」
「それは自分で考えろ。次だ。構えろ。」
「押忍!」
初手は下初手は下……
「馬鹿者。何度も同じ手を使うと思うな。」
「ぐへっ!」
「次だ。」
「押忍!」
「次だ。」
「押忍!」
「次。」
「押忍!」
「次。」
「お、押忍。」
これで777回目!いやほんとは大体50回くらいだけど。コツはちゃんとつかんできたぞ!
「1手目。」
ここで右足をちょっとずらす。そうしたら攻撃は右から来るから左斜め後ろに移動!
「ふむ、いい動きだ。2手目。」
次は肩に振り下ろし!これは左足を後ろに下げて体ごと避ける!
「……。」
そのままの流れで振り上げるからあえて近づく!
「む?」
近づけば簡単に剣を振ることはできない。だったら次はどう来るか。
「左手で殴り掛かってきても読んでるよ!これで4手目!」
「ふむ。最初と比べて成長したな。ここからはさらに本気で挑もう。貴様も我に一撃入れてみよ。」
「お、押忍!」
「5手目。」
「うおっ!」
一気に早くなった!ちょっと体勢が崩れたけど、さっきと同じようにすれば!
「6手目。」
危ねぇ!直前で反対方向に体をねじったおかげで何とか……
「今回は惜しかったぞ。この調子だな。」
「ここ!」
壁を蹴って再び接近!どーよ!名付けて『ピンチはチャンス作戦』こうすればまた左手、いや今度は右手か!
「頭を下げればぶつかりませんってね!隙あり!『強打』!」
「ふん、今回は及第点というところだな。手を抜いていたとはいえ我に一撃を食らわせたのは大したものだ。まだまだではあるがこの短時間でここまでできたのなら上出来だろう。今回はここまでだ。今日のことはゆめゆめ忘れぬようにな。」
「は、はい!ありがとうございました!」
「魔法に関しては我よりも優れた者を呼ぶことにしよう。変な奴だが奴が貴様に興味を持てばそのカスみたいな魔法も少しはマシになるだろう。と言ってる間に奴の使い魔が現れたぞ。あの魔女め。城の監視をやめろと何度言えばわかるのだ。まあ良い。ほれ、この紙を持て。」
「ん?ありがとうございます。」
「じゃあ元気でな。貴様の成長を楽しみにしておこう。」
「うわっ眩しっ!って雲の上えええええ!?」
さっきまで日の光がない密室にいたのに、まさか瞬間移動!?
「君の思っている通りだよリブラ。僕の名前はコントーラ。よろしくね。」
「えっと、よろしくお願いします。コントーラさん。」
男の子?いやでもさっきの王様は魔女って言ってたし女の子?どっちだ?
「僕のことが気になるみたいだけど僕も君のことが気になっているから雑談がてら君の魔法について講義をしてあげよう。」
「わーい。ありがとうございまーす。」
……頑張って寝ないようにしないと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます