第3話 名前の由来?
「ふん、ふふん……」
次の日の朝、一緒に登校する茜はなぜか上機嫌だった。
柄にもなく鼻歌なんて歌っている。
「今日も一緒に行こうよ、あの青い池に」
恥ずかしそうに向けてくる上目遣い。それで僕は理解した。
茜はなにか勘違いしてる。
まあ、あんなニアミスがあったわけだから仕方がないことだと思うけど……。
「わかった」
僕は僕で別のことを考えていた。
もしかしたら、またアオが出現するんじゃないかと。
「じゃあ、放課後に昇降口でね。そういえばあそこで私、変なこと思い出したんだよね」
「それって?」
「自分の名前の由来を両親から聞いた時のこと。そして透の名前を初めて覚えた時のこと。なんでだろうね?」
なんでだろうって、そりゃ、あの時だよ。
確かアオは昨日、茜の脳内から二人の名前を探り当てていた。
もしかしたらそれが思い出した出来事として茜の意識に刻まれたんじゃないだろうか。茜には言えないけど。
「なんか授業でそんなことやったんじゃない? 現代文か歴史とかで名前に関する話があったとか?」
適当に答えてみる。
茜とはクラスが違う。彼女がどんな授業を聞いたなんて分からないから適当なことなら何でも言える。
すると茜は「うーん、そうかもね」と頷いた。
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