第34話 キャプテン·スカトゥス3

「はっ!」


シャドウによそ見をしている間にグレーブの機関銃がプラズマ弾を撒くと、見もせずにくるっと転がって避けて見えた。


「な、なかなか早いじゃん!?」

「その程度の弾幕で俺様の動きを止めるつもりなら…死を免れないぞ!」


片手ではプラズマ小銃を発射してグレーブを退かせ、再び暗襲を試みていたシャドウを鞭を広くかき混ぜて近づけないようにしてしまった。


トップランクの請負業者2人が息を合わせて攻撃してきたのに全く押されるどころか制圧するほどのフィジカル。


「やっぱりプロフェッサーの言うとおりじゃない…!」

「くっ…!」

「そろそろ終わりだ!」


鞭を取るかと思ったら瞬間的に体を傾けてシャドウにプラズマ弾を撃って厳廃させた。


「こっちが空いてるし!」

「いや、これが俺様の作戦だ。」

「何?!」


射撃を始めたばかりと同時に、彼がまっすぐ正面に駆けつけて体をぐっと下げてスライディングをしてくる!


「うっ?!」

「ひっかかった!」


足を蹴飛ばして立ち往生させ立ち止まり、機関銃を下に向けようとする彼女の手をつかんで無理やり持ち上げてしまう。


力なら今までなかなかの男性にも押されたことのないグレイブが慌てたように目が大きくなった。


「き、きっさま…!」


反対側の機関銃で腹部に当ててみたが、ほぼ同時にライフル銃の銃口をグレーブの額に当てた。


「私ができないと思う…? あんたのお腹を雑巾にしてあげるくらいは簡単だから…」

「…それで俺様が死ななければ、貴様は犬死になるはずだが?」


一見対等な状況だったが、実状は全く違っていた。

グレイブは片手を力で彼につかまっていた。


その隙に乗ったシャドウが彼の影を通じて急襲を試みてみたが、今回も気づいているかのように後ろに蹴り飛ばすおかげで阻止された。


「くぅ!」

「才能がそれだけなのか、女!もっと新しい才を見せてくれないか? テンションが冷めそうだぞ!」

「よくもー!」


憤慨したシャドウが腕の中から手裏剣を両手いっぱい取り出した。


「ほう…手裏剣か。 面白い、やってみろ。」

「喜んで…!双鳥雲無手裏剣!」


瞬く間に24個に増えた手裏剣の波にスカトゥスも驚いたように目が大きくなった。

しかし…


「軽率な判断だ!」

「何?!」


握っていた手を振り回し、グレーブを強制的に手裏剣の前に投げ捨てたのだ。


「くあっ!」

「あれ、お姉さん?!」

「次は貴様だー!」


瞬く間に刈り取っておいた鞭を素早く抜き、影に潜むために姿勢を取っていたシャドウの体を巻きつけてスパークを起こし、彼女の裂ける悲鳴を上げた。


「さあ、それでは…どっちの首から切り取った方がいいか悩むな…」


勝利を確信したスカトゥスがゆっくり小銃を回収し、エナジーブレードを取り出した。

手裏剣を体から取り出し、何とか立ち上がろうとするグレーブの方へ一歩歩いた瞬間、


プアン!


「……!」


二人から距離が離れることを狙っていたかのように舞い込むプロフェッサーの弾丸。

さっきのように鞭や持っている剣で受け取れば、おそらく極小範囲ではあるが核爆発を起こすことが明らかだった。


なので、スカトゥスは老練にもエネルギーブレードの剣面に手を当てて斜めに持ち上げながら弾丸を弾き出してしまった。


「くぅ…!プロフェッサー…!」


外れた弾丸がすぐ隣の商店街の建物の手すりに当たって爆発を起こす音を聞きながら、素早くグレイブに近づいた。


かろうじて立ち上がったグレイブは機関銃を持って態勢を整えようとしていた。


「へへ…なかなか面白い狩りになったじゃないか…? 少しハードだけど…!」

「そこまでだ、グレイブって言ったっけ? その腕力と根性には敬意を表してくれる、しかし…」


ちょうどエネルギーブレードで彼女の首を切るために打ち上げた。


「くそ…やろ…!」

「心配するな、あなたの首はプロフェッサーにちゃんと届けてくれる…」


パアン!


突然、全く違う方向から飛んできた大邱軽弾が、エネルギーブレードの剣面を正確に叩き、『ドン』という音とともにブレードを破壊してしまった。


衝撃で剣を逃して後ろに退いたスカトゥスが慌てて鞭を広げて防御態勢を取った。


「今度はまたどんなやつだ!」


2ブロック離れた建物の上でポンチョコートをはためいている男性。

ウェストウッドだった。


「ええと、君がその…何だっけ?」

「…キャプテン·スカトゥスだ。 これはまた変わったやつだね。」

「お互いさまだ、よね?」


カチャカチャという音とともにレバーアクション・ライフルを装填して持ち上げると、スカトゥスはくすくす笑いながら鞭を回し始めた。


「通じそうか! 愚か者!」

「そう、確かに簡単には通じないようだね…」


ウェストウッドの笑顔に何か釈然としないと感じたスカトゥスが鞭の回転を強くした瞬間、


「…君、一つ大事なことを忘れているようだが、たとえば…あのビルの上に誰がいるのか…とか。」

「…!!」


ウェストウッドの狙いがビルで狙撃を狙っているプロフェッサーに背中を見せることに気づいたスカトゥスが慌てて鞭の方向を変えてみたが、


タアン!


「クアアッ!」


幸いにも体をひねったせいか、右側の脛を半分ほど切り離して通り過ぎた弾丸が屋上の床で爆発し、スカトゥスの体を屋上の手すりの近くまで吹き飛ばした。


すねから感じられる恐ろしい痛みと耳元に響くガイガー計数器アラームにスカトゥスは歯ぎしりしながら姿勢を再び起こした。


「くそ…どもが…!」

「おい!こっちも忘れるなよ!」


急いで小銃を持ち上げて対応しようとするが、すでに狙っていたのかウェストウッドの小銃弾が飛んできて小銃のバッテリー部位を正確に撃って銃を爆発させた。


「クアアッ∼!」

「ナイス・ショット!」


よろめいたスカトゥスは周りを見回して、何か戦況を変えるものがないか調べ始めた。

このままではプロフェッサーに対面する前に自分がやられるかもしれない。


ちょうどショックの衝撃で気絶していたシャドウを発見した彼が慌てて彼女の体を鞭で巻いて持ち上げた。


「おい!そこの別種! 動くな!」

「…人質劇だなんて、あんたもまあ…」


首を横に振りながら情けないように見る姿にかっとなるスカトゥスだったが、現在急を要するのはプロフェッサーを殺すことだった。


直属の部下を殺したということもあったが、どうやって知ったのかは分からないが、プロフェッサーは彼の数少ない弱点を正確に指摘していた。


彼を確実に処断しておかないと、これからの戦闘で長く危険になるはずだ。


「おとなしく退け!プロフェッサーを殺した後に相手してやる!」

「…ほう、どうしてそんなに彼に執着する? 狙撃って気持ち悪いのは共感するけど…君ぐらいのフィジカルなら…」

「黙れ!退けと言った! それとも…!」


手袋の鋭い先端を彼女の目の近くに近づけて脅した.


「ふむ…」

「分かるか?!プロフェッサー奴を殺した後に相手してやると言った。 貴様も休憩時間を持つのは悪くない条件だと思うけど!?」


ウェストウッドは悩みに陥った。

彼はこのような人質事件の状況も非常に多く経験したベテランユーザー。

その気になればいつでも奴の眉間に3発ぐらいは打ち込むことができた。


しかし、人質劇を繰り広げる奴の身体能力は尋常ではなかった。

間違えると、撃つ前に事を起こすこともあり得る状況。


「…まあ、しょうがない、待ってやるよ。行って来いって。」


小銃を回収し、手をすくめて見せる彼の姿にスカトゥスは笑みを浮かべ、シャドウを巻いた鞭を締めながら商店街の建物を蹴って飛び上がった。


「プロフェッサー!貴様が見る前でこの女をバラバラにしてやる!期待しろー!」


バックパックのビーム砲が展開され、ブースター形態に変形しながら飛び上がった。

ある程度高度が上がると、ぼんやりとビルの屋上にきらめくのが見えた。


「そこにあるんだな…!」


これ見よがしに鞭に巻かれているシャドウを持ち上げて見せようとした瞬間、


すーっ。


「うん?!」

「…油断しすぎだよ、あなた。」

「……?!」


気絶したと思った彼女はすでに目覚めており、自分のエネルギー脇差の出力を精一杯に高めてこっそり鞭を切断してしまったのだ。


「何、何だと?!」

「これで攻撃を防ぐ手段はシールドだけでしょう?」

「…ふん、それがどうしたんだ!」

「そりゃ、シールドも使えなくするから。」


言葉が終わるやいなや鞭を切断した剣をそのままベルトの横に付いているシールドモジュールに見えるものに向かって押し下げるシャドウ。


「よくも!」


焦ったスカトゥスが彼女を空中から押し出した.


「ハハ!そのまま墜落して死んでしまえ!」

「え?!」

「さようならだ…!」


どうせ落ちて落死すると思い、彼女から関心を集めた瞬間になってようやく新しい事実に気づいた。

今自分のそばに、プロフェッサーの味方がいないという事実を。


「まさか…私は飛行中だと…! 合わせられるはずが…」


タアン!


今回も予想できなかった、後ろから飛んできた弾丸が片方のブースターを撃って半壊させた。


「ううぐっ?!」


慌てて後ろを振り向くと、シャドウが墜落すると速に再びライフルを持って彼を狙っているウェストウッドの姿が見えた。


「き、きっさまー!」

「あ~、あのね? 人質のために待つことにしたんだから…今の約束はなかった事で?」

「いいいっ…!」


ブースターを切って着地したスカトゥスが素早くウェストウッドの前に対峙した。


「しょうがない…優先順位を少し変えてみようか。」

「…やっとやる気になったのか。」

「不本意だが、な…!」


太もものホルスターからダブルピストルを取り出したスカトゥスが歯を食いしばった。

さっきからすねの方の傷から出血が止まらなかった。


「チッ…!」


他の弾丸だったら、とっくに再生されていたはずの傷だった。

よりによってどうやって知ったのか、彼の弱点の一つが放射能攻撃であることを、プロフェッサーは知っているようだった。


「何を考えている? こちらはもう準備完了だぞ!」


ライフルを投げ込み,ダブルピストルを持ったホルスターに手を差し伸べ,ウェストウッドは笑っていた。


-つつく-

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