第35話 キャプテン·スカトゥス4

ビルの上。

プロフェッサーは歯ぎしりをしていた。

悪い状況に乱入してくれたことまではありがたかったが…


デュアル・キングの性格上、プロフェッサーが過度に介入することは望まないはずだった。

しかし、相手は常識外れの、人間の仮面をかぶった怪人だった。


「あれではそのうち死ぬかも…」


プロフェッサーはまれにいらいらしていた.

それもそのはず、今、彼がスカトゥスを捕まえるために使用する飽和プルトニウム炸裂弾頭は、作ることも難しく、途方もなく高価なものだった。


一般的な対物狙撃銃の徹甲弾が高くても現実のお金で2白円前後なら、今彼が撃っている物はなんと3千円を呼び値する狂った特殊弾頭だった。


しかも使用する銃が銃なので独自規格品で完全なキューティクルの手作り品でもあったので、今回持ってきたのも6発が全てだった。


しかもそのうち2発はすでに使用済み。


今後3発、最悪の場合でも4発以内に解決しなければならなかった。

しかし、デュエル·キングの乱入によって状況は複雑になった。


スコープ越しにグレーブがどのような状態なのかから確認した。

幸いにも備えておいた応急治療キットを取り出して自ら治療していた。


彼女の影の方には墜落した瞬間、素早く影の移動でグレイブの横に移動したシャドウも一緒に治療をしていた。


「よかったならよかったかな。」


二人がもう少し持ちこたえてくれると思っていたが、相手が予想以上のフィジカルを保有していた。

いくらデュアル・キングだとしても、あれをクラシックな大口径マグナム弾丸だけでは制圧できないはず。


「さあ、来い!」

「言わなくても!」


双拳銃をぱっと持ち上げて撃つスカトゥスに合わせるように閃光のような速度で銃を取り出すと同時に銃口を前に押し込み、3発を相次いで撃発した。


「うっ!あっ!」


あれだけ速く抜いて撃つのに、幽霊のようにスカトゥスの胸元と額を突き破る大口径弾丸。

すぐによろめいたスカトゥスがそのまま床に伏せるように崩れた。


「ふぅ…ギリギリだったね。」


満足して銃を入れたデュエル・キングの帽子の上に穴が開いていた。

銃を抜きながら姿勢を下げるのが少しでも遅れたら、おそらくデュアル・キングの頭にも穴が開いているはずだ。


「いいデュエルだった。 それにしてもレディーたちは…」


倒れたスカトゥスを放っておいて、ちょうどプロフェッサーの一行の世話をしようと首を回した。


そのようにデュエル·キングが緊張をほぐしている頃、倒れたスカトゥスの手がうごめきながら体がゆっくりと動いていた。


「レディース!大丈夫かな?」

「あ、はい…なんとか。」

「あなた、勝手に割り込んでさ…」

「ハハハ!ピンチじゃなかったかな?」


笑いながら帽子を脱ごうとした瞬間、ピュンというプラズマ弾の音と共にデュアル・キングの腹部に穴が開いた。


「…ワッ、ダー…?!」

「デュアル・キング!?」

「何だ?!」


胸と額に開いた穴から鉛の塊がさっと抜け出てきて、席をはたいて起きたスカトゥスが首を折りながらプラズマ拳銃を持って立っていた。


「…今回のは…なかなか痛いな。 普通人間のくせに俺様に匹敵する反応速度を見せるとは…敬意を表する。」

「こほくっ…!?何がどうなって…?!」

「ああ、君たちはまだ知らないようだね。 この体は『覚醒者』といって、よほどの銃撃や斬撃を受けてもすぐ再生し、死んでも5分ほど待つと復活してしまう…そんな超人なんだ。」


自分の正体を説明して卑劣な微笑みを浮かべたスカトゥスが再び拳銃でデュアル・キングを撃とうとすると、グレイブが慌てて彼を抱いて建物の下の路地に飛び降りた。


「作戦上後退! シャドウ!」

「知っています!」


直ちに雲霧手裏剣を撒き、スカトゥスを妨害しながら逃走した。

スカトゥスは飛んできた手裏剣を素早く腕の鎧で適当に打ち破り,ビルの方を見つめた。


「…やっぱりか。」


待っていたかのように飛んでくる核弾丸を見ながら、スカトゥスは歯を食いしばった。

奴だけ…奴だけ殺せばいい。

奴さえ殺してしまえば今の戦場で彼の弱点を知っている人間はいないはずだ。


「小悪魔め…!」


近づく前に短槍ほどの弾頭をプラズマ拳銃を乱射し、途中で爆発させてしまったスカトゥスが再びバックパックのブースターをつけてみたが、大口径鉛弾の衝撃で故障したようにスパークが飛び出し反応がなかった。


「ちくしょうが…!」


これでプロフェッサーに近づくには、正直に走ってあのビルを登らざるを得なくなった。

2人の女性が路地を通って逃げたのも、彼と合流するためだろう。


「…奴が逃げる前に…!」


そろそろ奴も狙撃位置を変えようとするかもしれない。

すぐ屋上の床を蹴って路地に向かって飛び降りた。

着地と同時に猛烈な勢いでビルに向かって一直線に走り出した。


*


スコープでスカトゥスの動きを確認したプロフェッサーは、目を閉じて頭を冷やした。


失敗だ。

もともと練っていた最上の作戦が完全に崩れた。

残りはプランB。

プロフェッサー自身があの怪物と正面から立ち向かう方法だけだった。

ウィングスーツや他の手段を利用して狙撃位置を再びつかもうとしても、あいつの運動能力なら必ず狙撃をまともにする前に追いついたり避けてしまうはずだった。


しかも残りの弾丸は3発。

それも長距離射撃でなければ使いにくい危険な特製弾頭だった。

覚悟をしなければ、プロフェッサー自身が死ぬことになるだろう。


「しょうがない…!」


ギターケースを開けて、本当に万が一のために入れておいた56口径狙撃小銃の突撃砲バージョンの短い銃列を取り出して交換した。


がっくり。


銃列が短くなったボルトアクション突撃砲となった自分の銃を背中にしっかりと担ぎ、胸の中から起爆スイッチを取り出した。


奴がエレベーターに乗ってくる場合、あらかじめエレベーターの出入り口の前に設置しておいたC4を起爆するつもりだった。


「まあ、これで死んではくれないけど…」


もしC4に当たってくれれば、その道でウィングスーツを利用して距離を再び広げる時間を稼ぐことができた。


しかし、このようなプロフェッサーの作戦をあざ笑うかのように…

奴は全く別の方法を選んだ。


「……?」


ビルの下側からガラスが割れる音が相次いで聞こえてくるので、プロフェッサーがもしかしたらと思って下側を見下ろすと…


「さあ…あと少しだ!」

「……!」

「プロフェッサーアアアア!!」


スカトゥスは商店街の屋上から飛び上がり、そのままビルのガラス外壁を鋭い指をスパイクにして獣のように四足で這い上がっていた!


「このいかれやろうが!」

「ハハハハ!」


あっという間にもう半分ぐらい上がっていた。

いくらなんでもここまでは予想できなかったプロフェッサーだったが、すぐ歯を食いしばって背負っていた突撃砲を取り出して照準した。


「お前もずいぶん無謀だな!」

「ふん!撃ってみろ! そんな特殊な弾丸、そんなにたくさん持っているのは大変だろう!」

「……!」

「あと何発残っているかは分からないが、当たらなければ何の意味もないことだ!」


プアン!!


ものすごい砲声とともに核弾丸が一直線にスカトゥスに向かって突き刺さった。

スカトゥスは這い上がり続け、ほぼ殴られると思った瞬間に這い上がる軌跡を一瞬にして横に曲がってしまった。


「ハハハハ!」

「…チッ!」


もう一度撃っても必ずあのように避けるので、歯ぎしりしながら突撃砲を入れ、手榴弾を両手に握って親指でピンを抜いた。


「うん!?」

「とりあえず…そこから離れてもらおうか!」


上がってくるやつの腕に向かって手榴弾を投げた。

確かに困ったように目つきが鋭くなったスカトゥスが慌てて大きく横に跳び上がった。


「よく来た!」

「…?!」


いつのまにか突撃砲を再び取り出し、正確にスカトゥスが避けて飛び上がった地点に銃口を狙っているプロフェッサー。


「き、きっさま…!」

「フッ。」


プアン!


「くおおおおおおおお!」

「……?!」


スカトゥスの左腕部分の鎧と衣装が破れて破れた後、彼の腕がでこぼこな怪獣のものに変異し、直撃するはずだった核弾丸をそのまま殴り飛ばして横に飛ばしてしまった!


「くうぅ…うぉぉぉぉ!」

「くそ…始まってしまったのか!」


支配力が弱まり、奴の体内に植えられた生体兵器が暴走していた。

突撃砲の弾倉をちらりと見て冷や汗が流れた。


残弾1発。

もう本当に後がなかった。

これまでプロフェッサーがデュエル·キングとのデュエルの他に、これほど集まったことがあったのか。


「チッ…とりあえず…!」


起爆スイッチを握ったまま慌てて背を向けて走った。

作戦を変えて自分がエレベーターに乗って下りながら、奴が駆けつける時、C4で一発食わせようとした。

正常な方法では掴めそうなので、ちょっとあれだけどユーザー連合のあるところに引き込んでまた機会を作るしかない。


彼がエレベーターに半分近づいた頃、ビルの上に黒い物体が飛び上がった。


「プロ…フェッサーアアアアア!!」

「……!」


傷跡のあった顔が半分溶けて奇怪な形になったスカトゥスが執拗に彼に向かって飛んでいた!


「ふん!」


すぐに起爆スイッチを持っていない手でさっと奴に向かって何かを投げた。


"グアアアアアアア!!"


咆哮し、自分のシャツまで破ってはみだし、唇がなく、醜く伸びた尖った歯でそれをかみしめてしまうスカトゥス。


次の瞬間、閃光とともに爆音が鳴り響いた。


「グエエエエエ?!」


彼が噛んだのは閃光弾だった。

驚いて床に投げ込まれて目をこすりながら苦しんでいる間、エレベーターの前に到着した彼がボタンを押した。


「1階だって…?!」


さっきまでは確かに最上階に置いたままだったのに。

まさか合流するつもりでグレイヴ一行が使っているのか。

プロフェッサーは歯ぎしりしながらゆっくりと背を向けた。

これで退路は切れた。


「しょうがない…命がけのギャンブルなんて…好きじゃないけど。」


ゆっくり両手を伸ばしてエレベーターの出入り口に貼っておいたC4をはがし、手に持ったまま、ゆっくりと立ち上がる怪物体になっていくスカトゥスと対峙した。


「さあ…来い、スカトゥス…」

「クウウウウウ…! プロフェッサーアアアア…!」


すぐに口を開けて猛烈に駆けつけるスカトゥス。

プロフェッサーは右手に2つのC4爆弾を重ねて貼り付け、そのまま右腕目で奴の口の中に押し込んだ。


「グウウウウウ!」


ぎゅっ!


恐ろしい音とともに右腕が噛みちぎられた。

しかし、プロフェッサーは瞬きもせず左手に起爆スイッチを押した。


鈍い爆音とともに、奴のお腹がいっぱい膨らみ、血を吐き出して落ちた。


「クエエエエエエ!」

「ふぅ…」


肘の上に噛みちぎられて消えて血をだらだら流す自分の右腕を無味乾燥な態度で見下ろしたプロフェッサーがため息をつきながら突撃砲を左腕でやっと取り出した。


「右腕は大丈夫、右腕は…」

「キャアアアアアアン!!」


その間、再生をしたのか再び血を吐き出しながらも口を開けて飛びかかる彼に向かって、プロフェッサーは突撃砲を力強く口の中に半分突っ込んだ。


「ゴオツ!?」

「…義手なんだ。」


囁くように自分の真実を告白すると同時に、彼は左手の人差し指で引き金を引いた。


-つつく-

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