第28話 デュアル·キング1
訪ねてきた客はとても独特な身なりをしていた。
頭からつま先まで、昔の時代に流行したカウボーイ映画から飛び出したばかりのカウボーイの服装にポンチョコートを羽織った姿。
帽子のつばを少しひねって金髪に青い目を見せた彼は、満面の笑みを浮かべていた。
「ヨア-プロフェッサー! 久しぶり!」
「…なぜ来た、デュアル·キング。」
デュアル·キング。
ゲーム内の代表的な1:1決闘コンテンツである『デュアル』だけを執拗に掘り下げて、ついに『キング』という呼称まで手に入れた男。
また、彼は未来の戦場であるにもかかわらず、リボルバーやレバー・アクション、ボルト・アクションのようなクラシック銃器だけにこだわる職人ユーザーとしても有名だった。
「その呼び方は我慢してくれ、ミスター·プロフェッサー。」
「…じゃあ、俺のヘルメットを二度も割ったくそやろの方がいいのか?」
プロフェッサーの発言に女性陣の表情が凍りついた。
ゲーム内でプロフェッサーのヘルメットが壊れたのはたった3回だと言っていた。
そのうち2番を一人のユーザーがしたという事実が彼女たちを驚かせた。
「ハハハハ!でもね、そうしたのに君の依頼完遂を防げなかったんじゃないか。」
「……」
「だから、デュエル戦績を離れて、ミーは君に勝ったことがないんだ。」
「デュアル·キングがデュアルの勝敗を気にしないなんて呆れる話だな。」
プロフェッサーは彼が気まずいように視線を合わせることも避けていた。
しかし、彼はプロフェッサーと出会うのが楽しいようだった。
「他人とのデュエルなら気を使うだろうが、君とデュエルをした目的は、そもそも君のフランチャイズを攻略することにあったからだ。」
女性陣はなぜプロフェッサーが彼をいじめるのか分かるようだった。
プロフェッサーが命より大切にするフランチャイズを、彼はデュエルを通じて何度か壊すところだったようだ。
「よくもそんな気持ち悪いことを面前にしてくれる。」
「フフ、敵としてのあなたはミーの最高の獲物だから。」
「……」
「ただ、今日は残念ながらそんなことで来たのではない。 気分をほぐしてほしいんだけど。」
彼はプロフェッサーの向かいに座った。
プロフェッサーは舌打ちをして首をかしげた。
「さあ, そうしないで, せっかくミーが直接依頼に来たんだぞ?」
「…デュアルなら断る。」
「ハハハハ!だからそうじゃないんだって!」
思う存分笑った彼が突然表情を変えて真剣な顔を見せた。
「アメリカ·フロンティアからプロフェッサーに普及品の輸送支援を依頼する。」
「何…!」
「到着地は知っているだろう?」
「レーザー・ライン…!」
やはりメリカ·フロンティアだった。
レーザー・ラインで起きた状況をキャッチするばかりに、圧倒的な資金力を武器に直ちに後発隊のための普及を先制的に運送しようとしているようだった。
「さすがプロフェッサー、よく知っているね。」
「……」
「本来なら私たちの人材だけでも解決できるだろうが、後発隊に入れる人材を最大限に絞っているんだ。」
「万が一の輸送過程でのコスモ·スポンの襲撃に対する防備…か。」
「まさにそれだ。」
プロフェッサーはしばらく物思いにふけっているように静かになった。
するとデュエル·キングはすぐにさっと立ち上がり、女性陣の方に近づいた。
「ふむー。貴方があのシャドー? リアル忍者だなんて、このゲームではミーも初めて見るね。」
「あ、その…はい。」
「そしてシスター・グレーブ…噂通りすごい腕だね?”
「何、何?! 不満あるの?!」
「いや!素晴らしいと思う!」
「うっ…?!」
そのように彼が盛んに女性陣と対面する間、プロフェッサーは決定を下したかのように席から立ち上がり、背後から彼の名前を呼んだ。
「…ミスター·ウェストウッド。」
「…ああ。」
彼女たちはさっきまでのヘラヘラする表情が一瞬10年以上戦場を切り抜けたような真剣な顔に急変するのを見てぎょっとした。
この男、普通の賭けではなかった。
「依頼は受諾する。 雇う人数は当然…」
「もちろん!チーム、アブソリュート·ソリュション全員雇用だ。 私たちはケチなことはしないよう?」
「…いいぜ。」
プロフェッサーは気に入ったかのようにくすくす笑った.
すると、背を向けたデュエル·キングも向かい合って微笑んで、
「今日は本当にラッキーな日だね…そうじゃないか?普段ならいつも敵として出くわす仲だったのにさ。」
「…あなたとは対峙したくないけどね。」
プロフェッサーは本気で彼と対峙したくなかった。
何か一つずつ小細工や同僚の力を借りる他のネームド・ユーザーたちとウェストウッドは根本的に違った。
本当に純粋に極限まで完成したガンマン。
それがまさにデュアル·キング、ウエストウッド。
彼と対峙する度にプロフェッサー自身も自分の限界を試されることになるわけだった。
「一つ確認したいんだけど、いいのか?」
「いくらでも!」
「もしかして今回の依頼、君も運送に参加するのか?」
「もちろん!」
プロフェッサーは首を横に振りながらため息をついた.
デュアル·キングという大げさな耳鳴りを持っても彼の名声が思ったより低いのは、彼もやはりプロフェッサーのように公式戦をはじめとする大規模PVPには絶対に足を踏み入れないためだった。
徹底的にフィールドでの1:1デュアルや小規模抗争でのみ実力を発揮するユニークなプレー方式を固守してきたのだ。
そのため、同じようにフィールドでのPVPを主にしていたプロフェッサーと何度も出会った。
「それなら妙だね、襲撃があったとしても君の実力なら…」
「それは前もって謝るよ。 ミスター·プロフェッサー、ミーのクラシックな銃器がコスモ·スポーンによく効くかどうか分からないと、上の人たちがあなたを雇うように言ったんだ。」
「あ。」
プロフェッサーは、彼が今まで現代銃器や未来銃器に全く触れない骨髄クラシック・ユーザーであることを思い出し、くすくす笑った。
「あなたのその頑固さに敬意を表する、ミスター·ウェストウッド。」
「それはこちらが言いたいことだ、 プロフェッサー。」
お互いを意味深長に見つめていた2人は、すぐにウェストウッドが振り向いて対面を終えた。
「それでは運送行列は4日後に宇宙ステーション前に到着する予定なので、そこで会おう!」
「…ああ。」
そのようにデュアルキングが消えた後、プロフェッサーは握っていた拳を解きながらため息をついた。
非武装だったにもかかわらず、彼が吐き出す投機は彼を緊張させたのだ。
「プロフェッサーがここまで緊張するのは初めて見ました。」
「そう、あの男がそんなにすごいの?」
「へえ…」
女性陣が不思議そうにそんな彼を眺めると、プロフェッサーは首を横に振った。
「彼は今までずっとクラシック兵器だけを使ってきた。 それで数多くの先端装備で身を包んだユーザーたちを1:1で500回以上倒している。」
「うそ…!」
「俺が仕事をしながら彼と出会ったのは計3回…”
「戦績は…?」
乾いた唾を飲み込んだプロフェッサーが口を開いた。
「…3戦、2敗。」
「……!」
「当然ながら、二度の敗北ともヘルメットに一発以上殴られたんだ。」
「でも、さっきデュエル・キングはそれは勝ったわけではないと…」
「フッ、デュエルに負けたけど、依頼は必ず完遂したんだ。 彼はそれが気に入らないんだろ。」
「……」
「彼が守っていた要人を俺が暗殺したことになるから。」
「あ!」
理解したかのようにシャドウの目が光った。
「彼の自尊心を傷つけましたね!」
「そう、とても大きなスクラッチができたはずだ。 だから俺に執着するのだろう。 俺としては大変厄介なことだが…」
困ったように首を横に振ったプロフェッサーが直ちにキューティクルを呼び出した。
「どうしたのー?」
「レーザー・ラインへの補給品の運送依頼だ。 4日後に宇宙空港に行かなければならないから準備しておけ。」
「分かった!」
指示を終えた後、プロフェッサーは直ちにスクリーンに現在のレーザー・ラインの状況を示す様々な放送と地図などを載せながら情報収集に入った。
*
4日が過ぎた。
宇宙空港にはすでに多くのクランが準備した補給品を積んだ貨物車両と機甲装備が並んでいた。
「すごいですね…」
「うん、かなり待たなければならないよ。」
「やはり…参加クランが連合して運送することにしたのか。」
プロフェッサーは情報通りであることを確認し、前のフロンティアの先導車両でデュアル・キングが手を振るのを見て、ちぇっと舌打ちした。
確かに厄介な作者だったが、味方なら彼より心強い男は少なかった。
「…何事もなければいいんだけど。」
「何があっても大丈夫、私がいますから。」
完成したばかりのエネルギー・ワキザシを使うつもりでドキドキしているのか、シャドウの目つきがキラキラしていた。
残念ながらグレーブのプラズマ機関銃はまだ製作中で持ち込めなかったが、すでに見本品があったエナジー・ブレードは早く完成したもの。
宇宙船のハッチを通じて貨物車が列をなして入り、しばらく視野が暗転して到着したという放送が聞こえると、貨物車がゆっくりと下車を始めた。
プロフェッサー・チームの車両はデュアル・キングの車両と一緒に先に出てきて周辺を警戒し始めた。
「ミスター・プロフェッサー! 君はどう思う?」
「…何を?」
「その…コスモ何たらが襲ってくるかどうかだな!」
「……」
プロフェッサーは黙って空を見つめた後、3本の指を上げた。
「……?」
「3…2…」
ブアッという音と共に空間跳躍で登場するコスモ・スポーンの輸送船5基。
「ちぇっ、思ったより早い。」
「ガッ・デム・ヘル!」
眉をひそめたデュアル・キングが車から降りて、胸の中からレバーア・クション・ライフルを取り出して準備した。
「プロフェッサー!仕事だぞ!?”
「知っている。」
車の屋上に上がったプロフェッサーも狙撃銃を持って輸送船をにらんだ。
まもなくハッチが開き、ジェット・パックを装着した兵士たちがあふれ出る直、目についた兵士の頭を撃って落とした。
狙撃しながら他の車両の天井を踏んで走り回ると、プロフェッサー・チームの装甲車両の砲塔に機関銃を置いたグレーブが目を輝かせながら対空射撃を実施した。
「このひらひらする臆病者ども! アスファルトの味見をさせてやる!」
「うわっ!何だ、何だ?! 対空射撃?!」
驚いたジェット・パック兵士たちが散らばったが、突然特に豪快な銃声が鳴り、一人の兵士の腕が丸ごと落ちていった。
「クアアアアッ!?」
想像以上の破壊力あふれる弾丸に当たったその兵士が、びっくりして自分を撃った者が誰なのかを調べれば…
カシャカシャ。
殺気たっぷりの笑みを浮かべたカウボーイの服装をした男が、銃の取っ手レバーを引っ張ったり緩めたりしながら、再び自分を照準していた。
「あ、だめ!」
「グッーバイ、フライボーイ。」
パアン!
「く、くそ!今の弾丸は何?!」
「メ、マグナム弾だ! みんな気をつけろ! あの変な服装の男、旧式の大口径マグナム弾を撃っている!」
-つつく-
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