第26話 研究所浸透2

結局、一行を制圧するのは難しいと判断した兵士たちがそろそろ後退し始めた。

あっという間に兵士たちの半分が顔を壊して床に横になったためだった。


「ち、ちくしょ! 普通の用兵じゃないじゃん!?」

「おい!重歩兵を呼べ! 私たちでは手に負えないぞ?!」


そんな彼らを見守っていたグレイブは舌打ちして殺到した。


「臆病者どもがーっ!」

「ひー、ひーっ?!」


発悪するように剣を振り回した兵士をかすめるように通り過ぎ、後方の拳で顔を陥没させて倒すと、プロフェッサーがフックと前に飛び出した。


「プロフェッサー?」

「見たところ奴らも我々と同じことを狙っているようだから…迅速に進めよう。」


駆け付けたプロフェッサーを突くために剣を突き出した兵士。

プロフェッサーはずうずうしく横向きに体をひねり、わずかな差でかわした後、兵士の汚点を蹴飛ばして姿勢を崩した。


「うわぁ?!」

「さあ、こちらだ。」


倒れる姿勢のまま、彼が少し前に踏み出した膝に頭を打たれ、転がる兵士を見たグレイブは舌を巻いた。


「あなた、一体どこで何を学んだの? そんな技術見たこともないって?」

「フッ。そうだろうね。 半分は亜流だから。」

「亜流?じゃあ残りの半分は?」

「…テッキョンだ。」


軽く答えたプロフェッサーが見もせず走ってきた兵士の足首を蹴りながら手の甲で後頭部を殴り、床に投げつけた。


「うわぁ!?」

「行こう、時間がもったいない。」

「知ってるよ!」


決心して前進してくるプロフェッサーの一行の勢いに押された兵士たちが最初から背中を見せて逃げ出した。

プロフェッサーはゆっくりと彼らを追いかけながら周囲を見回した.


「奴らはここを吹き飛ばすことまでは考えていないようだ。」

「ああ、私たちのように爆弾を設置しているわけではないんだ?」

「そう、やつらはデータだけを取って逃げるつもりらしい。」

「それこそ泥棒たちだ。」


グレイブが気に入らないように歯ぎしりをした。

彼女はしばしばこのような感情的な態度を見せたものだった。

プロフェッサーはそれを良く見ていなかったが。


「感情は殺せ、これはビジネスだ。」

「知っていると!」


不平を言っていた彼女は、兵士たちが閉めた出入り口を見つけ、拳を上げた。


どっしりとした音が何度か鳴り、金属製シャッターのドアがそのままへこんではがれた。


「ひー、ひーっ?!」


門の前を守っていた兵士たちがその姿におびえて逃げ出した。

グレイブはそんな彼を追いかけようとしたが、プロフェッサーが足を強く踏み入れて制止した。


「グレイブ。」

「あ、またどうした?!」

「ここからは慎重に行く。」

「……」


彼が慎重に行こうと言った時は、必ず何か危険なことが待っていたことを経験として知っている彼女は、怒りを抑えながら足を調節した。

彼の非人間的な態度は大嫌いだったが、彼の洞察は本物だった。


案の定だろうか。

各種電子機器と実験器具が混ざった先端装備実験室と見られる空間で登場したのは、礼の重歩兵4人だった。


「生意気な侵入者め! 暴れるのはここまでだ! おとなしく帰れ!」

「フヘヘヘ!お前らが狙っているものが何なのかは分からないが、銃も撃てないここで我々の強化シールドと防護服を傷つけることができるだろうか?」


彼らもやはりここでは火気が使えないようで、電気が流れる鞭のようなものを手首の甲冑から差し出していた。


「近くに来ない方がいいと思うよ?! 電気マッサージを受けたくないならね…!」

「それは困るな。 俺たちは君たちの後ろにある階段に用事があるんだ。」


プロフェッサーの発言に重甲歩兵の気配が変わった。

プロフェッサーの一行が何を望んでいるのか直感的に気づいた模様。


「きっさまら!まさかサーバー室に行こうとしているんじゃないだろうね…?」

「まさか、そこはもう私たちの区域だぞ?」

「そう、それでは先にお前らを倒せばいいのか。」


特有の無味乾燥な機械音で挑発するように話すプロフェッサーの姿に重歩兵たちは沈黙した。


ここまで来て笑わせようとあんなことを言う奴はいない。

あの生意気なヘルメットはきっと自分たちを脅かすほどの自信があるからあんなことを言っているのだろう。


「よし…やってみろ!絶望のどん底に蹴飛ばしてやる、生意気なやろ…!」

「全員!階段を死守する!」


鞭を威嚇的に地面に振り回して接近を阻む姿に、プロフェッサーはくすくす笑って見せた。

彼らはまだプロフェッサーのフランチャイズを知らなかった。


がっくり。


腰の後ろに収納しておいた突撃小銃を取り出して装填するのを見た重歩兵たちは目を疑った。

ここは火がつくと大爆発を起こす物質も多数転がる生化学研究所だった。

そのため、自分たちも銃器類を排除した装備を持ってきたのだ。

ところであのやろが…銃を持っているじゃないか?


「えっ、おい!ちょっと待って、お前まさかそれを撃つとか、狂った考えをしているんじゃないよね?!」

「私たちはシールドと防護服で保護されている! 爆発が起きたら死ぬのはどっちが先だと思う!?」


手を振って制止する彼らを見たプロフェッサーは、再び微笑んだ。


「そう、お前らの生存率が俺よりは高いだろう。 ところで…」

「……?!」

「3階のサーバー室さ、耐爆設計はできていたのかけ?」

「……!」


プロフェッサーが狙うのが大規模爆発によるサーバー室の完全破壊であることに気づいた重歩兵たちが焦った。


「こ、この狂人め?!お、おい!今すぐあいつを制圧しろ!今すぐ!」

「うわぁ、やめろ、このろくでなしめー!」


驚いて駆けつける敵兵たちを見て、プロフェッサーは会心の笑みを浮かべた。


「…固い陣形が消えたな。」

「そうだね。」


後ろにいたグレイブが前に出て敵兵2人を拳でシールドを打って押し付け、他の2人は影を通じて現れたシャドウにバックパックの重要部位を攻撃されシールドが消えた。


「何、何?! この女は!?」

「シ、シールドが!?」

「ふん!」


鞭を振り回して反撃をすると、再び影に飛び込んで消えるシャドウ。

自分たちが今夢を見ているのか混乱していた重歩兵たちは、走ってくるプロフェッサーを見て鞭を振り回し、研究空間の中央にあったコンソールを鞭で殴り飛ばした。


「しまった!」

「ふん!」


すぐに奴のくぼみを蹴ったプロフェッサーが倒れた重歩兵のヘルメットの後ろに隠されたスイッチに触れてヘルメットを剥がした。


「……?!」

「やっぱり、脱ぎやすいようにいい位置にスイッチがあるじゃねか。」

「お前、どうやってそれを…?!」

「俺もヘルメットをかぶっているからね。 よく知っているんだ。」


慌てて起き上がろうとする彼の首の後ろに銃剣を刷り下ろしたプロフェッサー。

背後から駆けつけた別の敵兵が彼を捕まえて制圧しようとすると、片足を後ろに蹴り上げて急所の近くを蹴飛ばした。


「うっ?この野郎!稚拙に!」

「…プロは手段を選ばないものなんだ。」

「よくもそんな詭弁を!」


そのままプロフェッサーのヘルメットを捕まえて無理やり剥がそうとする彼を、プロフェッサーは銃剣を上に撮って彼の目のあるゴーグル部分に正確に刺した。


防弾性能は堅固なゴーグルだったが、特殊材質で作られたプロフェッサーの銃剣は防げなかったのか、恐ろしい悲鳴とともに深く刺さった銃剣。


「クアアアー! 俺の目!目が!」

「さあ、別れの贈り物だ。」


銃剣を抜こうとして発悪し、プロフェッサーから落ちた瞬間、すぐ後ろ蹴りで犬の頭板を蹴り、さらに深く差し込むプロフェッサー。


「!!!」

「…ぐっすり寝てもいいだろう、これからは。」


防護服の内側から血が流れ落ちてくる重歩兵。

他の2人もグレーブとシャドウの狭攻に倒れた。


状況を整理した一行がちょうど3階に行く階段に行こうとした瞬間、研究棟内部に赤い光が輝き警告音が鳴り始めた。


「何?」

「…?」

「……」


プロフェッサーはすぐに、先ほど格闘中に敵兵の鞭に当たったコンソールの方を振り返った。


案の定、研究棟中央の床に隠されていた六角形の巨大なガラス管がゆっくりと上がってきていた。


[実験体の鎮静剤投与が中断されました。 研究者は、すぐに鎮静剤を投与するシークエンスを再開してください。]


「何言ってるの?」

「…あいつが目覚めると頭が痛くなるらしいね。」


大きな試験管の中に入ったのは恐竜に似た生物だった。

恐竜にしては皮膚のあちこちが腫瘍のようなもので汚れていて、瞳も死んでいる鳥肌の立つ見た目をしていましたが。


「早く何とかしなきゃ!」

「知っている。」


プロフェッサーが近づいて例のコンソールを確認してみたが、すでに鞭のショックで焦げて半分粉々になっていた。

ボタンのアイコンを見て、大まかに鎮静剤投与に似たボタンを押してみたが、特に反応はなかった。


[実験体の鎮静剤投与が中断されました。 研究者たちはすぐに…]


「…シャドー、キース!」

「うん?」


プロフェッサーはすぐに胸の中からデータを取り出すための装備が入ったポーチを取り出してキースに投げた。

「行ってデータを取り出して来い。俺とグレーブはあいつが起きたら適当に処理しなければならないようだから。」

「大丈夫?」

「プロの仕事の処理をしなければならないのではないか。 どうせ脱出する時は爆破させるけど…仕事の邪魔になりそうだから。」


シャドウとキースが慌てて階段を上っていくと、プロフェッサーは突撃小銃を試験管に向けたまま歯を食いしばった。

グレイブもキューティクルから自分の機関銃を受け取った後、緊張した表情で前に出た。


「あの、プロフェッサー…あれ何だかすごく気分悪く見えるんだけど…」

「生物兵器というか、きっとあなたが見た通り嫌な何かだろう。」

「……」


慰労の言葉程度でも言ってほしかった彼女だったが、プロフェッサーはやはりそのようなことを気遣ってくれる人ではなかった。


「ちぇっ、知ってるって。 そんなことは。」

「…慰労の意味でシャワーを一緒に浴びようとかは聖職者のあなたに失礼になるはずだ。」

「…!な、何言ってるの?!」

「…冗談だ。」

「だからこんな状況でそんな冗談をいきなり持ち出すなって?!」


少し赤くなったグレイブはぶつぶつ言いながら前に集中した.

すぐに試験管の中でぷかぷか浮いていた生き物がビクッと動き出した。

いや、狂奔して暴れていた。


「あれ…すごく乱暴に見えるね。」

「ああ。」


腫瘍のようなものから触手が飛び出して試験管のあちこちを叩きながらひびが入るのを見たグレイブの表情が限りなく歪んだ。

いくらSFジャンルだとしても合成触手モンスターとは…


とうとう鋭い音とともに割れた試験管。

次の光景を見たグレイブは吐き気を催すところだった。

試験管の保存液があふれ始めると、内部からゴロゴロと音を立て始めた恐竜の形のそれが、スライムのように形を歪めながら割れた部分から飛び出した後、触手を伸ばして天井にぶら下がった後、そのまま天井に風船ガムのように垂れ下がっていたのだ。


「うぅ…あれ、すごく嫌なんだけど…やっぱりあのまま逃げたほうがいいんじゃない?」

「…あいつが出入り口を塞いだら脱出はどうするつもりだ?」

「……ううっ。」


しばらくゴロゴロと天井から広く広がっていたそれは、すぐに触手をむやみに伸ばして床に倒れ死んでいる重歩兵たちに向かった。


「まさか…!」

「…グレーブ。」

「うん?」


プロフェッサーは彼女の肩に軽く触れた後,親指で階段を指差した。

上がれという意味。


「なんで?あなた一人でどうするの?!」

「別に。逃走路を少し変えなければならないようだ。」

「え?」

「早く上がるように。時間がない。」

「あ、わかったって!」


そうでなくても嫌なことを相手にしなければならなかったので不便だったが、幸いだと思った彼女が慌ててキューティクルと一緒に階段を駆け上がり、プロフェッサーはゆっくりと周囲を見回した。


撃つと爆発しそうなものをざっと確認したプロフェッサーはため息をついた。


「まさかこいつがここにいるとは思わなかったのにさ…」


ぎょろぎょろする音を出しながら変な角度で関節をひねりながら徐々に起きる敵兵の死体を見ながら、プロフェッサーは骸骨マークが付いている金属製カプセルを照準した。


-つつく-

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