第22話 レーザー•ライン4

同門に向かったクランの中で目立つ勢力は3ヵ所。


対空戦車2台を筆頭に多くの人員が参加したガイア・リージョン。


機甲装備は持ってこなかったが、その代わり公式戦に参戦したユーザーたちに加え、実力に自信のあるユーザーは手当たり次第に掻いてきた君臨者。


そしてゲームを楽しむと同時に、報酬に飢えている飢えた虎、黒虎連盟まで。


プロフェッサーは自然に黒虎連盟の側面で行進していた。


「よし。それなら先頭は君臨者の方々に任せよう。 異見がある人?」


各勢力の幹部たちは中央に集まって陣形について話を終えた後だった。


前面に軍林者の部隊を広く展開し敵の兵站基地を包囲しながら、空中兵力は中央のリージョンユーザーたちと対空戦車が、敵が逆襲をしてくる場合など有事の際の対応には遊撃戦を得意とする黒虎連盟のユーザーたちが両方に分散して対応することとした。


プロフェッサーのチームには後方警戒を任せようとしたが、


「…うちのチームは自分で合わせて動くから、別に気にしないでほしいな。」

「おい!いくらなんでもそれは違うぞ! みんな同じ方じゃん。」


すぐに君臨者ユーザーから糾弾が出ると、プロフェッサーも仕方ないようにうなずいた。


「…わかった。後方は任せろ。」


意見を交わした後、ゆっくりと戦列を整えた彼らは再び行軍を始め、まもなく目的地である東門地区が見え始めた。


コスモ・スポーンが張っておいた堅固に見えるバリケード板が道路を塞いでおり、遠くの真ん中には一見しても8本の柱のようなものから火花が散っていた。


「あれ、レッカー砲かな?」

「…いや、自走砲だ。 あの足…多足歩行自走砲だ!」

「くそ、予想以上に難しい戦闘になりそうだな…」


予想通りコスモ・スポーンの侵攻軍本陣はこちらのようだった。

自走砲と見られる鋼鉄の柱が、道合8基が道路と低い商店街の建物の上に位置し、周期的に火花を散らしていた。


「ここから対戦車兵器を持ってきたユーザーはいるのか?」


一見堅固に見えるきれいな装甲板を巻いた自走砲を破壊するためには、ユーザーが持ち歩く小銃や拳銃のようなものでは足りなかった。


バズーカや対戦車地雷くらいはなければならない状況だったのだ。

幸い、君臨者側から一部のユーザーが対戦車砲と無反動砲を取り出した。


「自走砲は私たちが担当するよ。」

「ほう。」


公式戦に参戦したユーザーたちをそのまま連れてきただけに、対戦車装備を運用するユーザーたちまでそのまま連れてきたようだった。


突撃を開始しようとした瞬間、コスモ・スポーンの兵士が彼らを見つけ、警報を鳴らした。


うるさい警報音とともに、商店街の建物やコンテナなどから兵士が殺到した。


「侵入者だ!立ち去れ!」

「撃て!奴らに熱い味を見せろ!」


予想とは少し違ったが、ユーザーたちは少しも慌てなかった。

公式戦でこのようなことはうんざりするほど経験したことだ。

余裕のある笑みを浮かべながら、君臨者の指揮官ユーザーが口を開いた。


「全軍!快速突撃!」

「尊命!」


指令が下されるやいなや特殊金属を重ねた盾と機関短銃を持ったユーザーたちが最先頭から突撃し、その後を突撃小銃と機関銃を持ったユーザーたちが追いついた。


まるで一身のように一糸乱れぬいて入ってくる姿に、コスモ・スポーンの兵士たちが慌てた。


「おい、こいつら! 熟練度が半端ないじゃない?! 本当に烏合志卒の用兵たちなのか?」

「こ、このままでは押される! 数が多すぎる!”

「支援を要請せよ! 今すぐ!」


慌ただしくなった彼らだったが、時はもう遅れていた。

あっという間に駆けつけた軍林者の盾兵たちが文字通り力で敵兵士たちを押しながら兵站基地に押し込んできた。


「どすこいー!」

「おっとっと!潰れ!」

「グググググ…!お、押される!」

「こらー!押されるな! 後ろには自走砲もある! 前線を死守せよ!」


後ろで指揮しながら避けつつけていたコスモ·スポーンのNPCは一瞬、冷たい死の気配を感じ、びくっとした。


「何、何だ?! この寒気は…!」


彼の予想は的中した。

次の瞬間、彼のテンプㇽに大口径小銃弾が刺さって彼を黙らせてしまった。


「大、大将が狙撃された!?」

「え?!どんなやつが撃ったの?!」

「と、通信兵はどこに行ったの?! 早く支援を要請しないと! ああっ!」


公式戦に出入りするユーザーたちらしく、君臨者のユーザーたちは盾で押す中、後ろからついてきた突撃小銃を持ったユーザーたちの射撃でコスモ・スポーンの兵士たちを簡単に狩っていた。

撃たれて倒れる彼らの遺体は前進し、その後ろに待機していた君臨者ユーザーたちによって裸になっていた。


アイテムをありのままに全部剥がして食べているのだ。

君臨者は黒虎連盟と共にゲーム内で貪欲としては3本の指の中に入ることで悪名高いクランらしく、本当にパンツ一枚だけを残して全部脱がせていた。


後を追って推し進めていたリージョンユーザーたちは首を横に振りながら飽きた表情で君臨者の突進を眺めていた。


一方、プロフェッサーのチームも動いていた。

指揮官を狙撃したプロフェッサーはすぐにシャドウを呼び出した。


「シャドー。」

「うん?何ですか?」


後部座席から顔を出したシャドウに指で自走砲を指して見せるプロフェッサー。


「あれら、あなたが潜入して無力化できるかな?」

「うーん…」


全面戦争が真っ最中の現場を突き抜けて潜入することは、それほど容易なことではなかった。

入るのはさておき、後に離脱する時が困難になるのが大きな問題だった。


しばらく悩んでいた彼女は、結局うなずいた。


「少し難しいかもしれませんが、可能です。」

「…別に故障させろというわけではない。 キューティクル。」

「うん?」


トランクに座っていたキューティクルが顔を出すと、プロフェッサーはシャドウに礼儀の物を渡すよう指示した。


「念のため準備しておいたものをシャドウに。」

「ああ、あれ?」


すぐにキューティクルがトランクから取り出したのは、時限装置付き四角形の粘着式爆発物だった。

「…それで吹き飛ばせ。 使い方はこの前習ったよね?」

「…へえ。面白そうですね。」


興味深い彼女はすぐに爆発物をたくさん受け取り、肩に担いでいるカバンに詰め込んだ。


「じゃあ、行ってきますよ?」

「ああ。」


天井のカバーを開けて飛び出すシャドウ。


グレイブは自分は何かないかというように、指で自分を指差しながらプロフェッサーを見つめる。

「……」

「…私は何をすればいいの?」

「砲塔に上がって準備しろ。」

「なんで?」

「…まもなく敵の空中講習が始まるからだ。」

「……!」


プロフェッサーの予測は的中した。

空中に光が輝き、リージョン・クランの真上の空中に12機の輸送船が突然登場した。


初めて見た輸送船とは異なり、今回はきちんと防御用砲塔まで装着された武装輸送船だった。


「何?!お前ら準備しろ! 奴らが逆襲をかけてきた!」

「対空射撃ー!! 全部落としてしまえ!」


ユーザーたちは慌てずに対空砲を中心に射撃を始め、輸送船側でも今回は装着された砲塔を利用してユーザー側に砲撃を加え始めた。


「くあっ!くそたれが!」

「20mm機関砲だ! 気をつけろ!シールド・モジュールも一発で爆発する!」

「散らばるな! 散らばると奴らに角逐派される!」


輸送船から降下してくるジェット・パック兵士のせいで乱戦が始まった。

コスモ・スポーンの兵士たちは、最初の戦闘の時のことで学んだことがあるのか、リージョンユーザーたちの対空戦車を執拗に攻撃していた。


「あの対空車両を最優先に破壊せよ!」

「怖がるな! 我々の技術力が奴らを圧倒している!」


状況がこうなると、リージョン・ユーザーたちも忙しくなり始めた。


「対空戦車を守れ! 絶対に失ってはいけない!」

「対戦車砲を持ったやつを真っ先に落とせ! 絶対に見逃すな!」


必死に攻防を続けていた頃、ついにバズーカ砲を持ったコスモ・スポーン兵士がジェット・パックを上手に使って回避機動をした末にバズーカを発射した。

目標は当然ながら対空戦車。

リージョンの指揮官ユーザーは歯を食いしばった。


高いお金をかけてここまで引っ張ってきた大切な戦車だが、1台くらいは壊れると予想していた。

その時期がこんなに早くて虚しいとは思わなかったけど。


「ちくしょう!直撃コースか! 回避機動だ! ダメージコントロールを…!」

「ダメ-!」


タアン!


豪快な銃声とともにバズーカ砲弾が貫通され空中で爆発し、砲弾を貫通しても勢いが衰えていない大口径銃弾はそのままバズーカを撃ったジェット・パック兵士の額を突き抜けて通り過ぎた。


「こ、これは?」


驚いたリージョンの指揮官が後ろを振り向くと、3階建ての屋上で対物狙撃銃を狙ったまま立っているプロフェッサーを見ることができた。


「…ちくしょ、相変わらず鳥肌が立つやろなんだから。」


まさか一度の射撃で砲弾と砲兵を一挙に見抜くとは。

プロフェッサーの射撃の腕前が噂以上であることを確認したリージョン・ユーザーは乾いた唾を飲み込んだ。


「みんな見たな?! 私たちの後ろには成功率100%の男が守っている! 何も恐れるな! 押せー!」

「ウラアアアアアアアアアアアアアアア!」

「あのジェット・パックの馬鹿たちを落とせ! ジェット・パックを鹵獲するのだ!」


優秀な狙撃手の存在は、それ自体だけでもユーザー側の戦気を高めるのに十分だった。

そのユーザーが敵狙撃手の弾丸を狙撃して迎撃してしまう狂った実力を持った最高の請負業者ならなおさらだ。


後ろから聞こえてくる歓声に元気が出た君臨者ユーザーたちも目に火花が立ち始めた。


「みんな歯を食いしばって! ここで押される臆病者は帰ったら地獄訓練に打ち込んでやるぞ!」

「ひけ、このビニール袋め!」


コスモ・スポーンの兵士たちの服装がまるでビニールのようにテカリしているのを見た君臨者ユーザーたちの間では、すでにこの兵士たちは恐ろしい敵軍ではなく、ただのビニール服を着たアホに過ぎなかった。


「ああっ!あっ!」

「く、くそー!このくそ盾をどうにかしてみろ!」


悪に支えられたコスモ・スポーンの兵士たちが銃をむやみに撃ってみるが、対戦車砲並みの武器でなければびくともしない盾だった。

本当に主力戦車に使われる装甲板を切って加工した盾だったからだ。


「ええい、公中攻撃までしたのに、こいつらはどうして止まらないんだ?」

「おい!バズーカだ! バズーカじゃないとこいつら止められない!」


慌ててある新兵がコンテナからバズーカ砲を取り出して走ってきたが、これを逃す君臨者ユーザーたちではなかった。


「くそが!あいつがバズーカ砲を持っているぞ!」

「撃て!蜂の巣を作れ!」


「?!」


直ちに盾の間から飛び出した小銃が火を噴き出し、あっという間にバズーカ砲を持ってきた兵士たちは文字通り蜂の巣になって床に横にならなければならなかった。


「だ、ダメ! このままでは押される! 火力、火力が必要だ! なんとか…!」


慌てたコスモ・スポン兵士たちを見た君臨者ユーザーたちが機会を捉え、もう一度大きく押し付けた。


「今だー!潰しちゃえー!」

「奴らの補給品が入ったコンテナがあの先だ! もっと押して!」


結局、むやみに押し出され始めたコスモ・スポーン兵士たちが選んだのは、銃剣で何とか盾の間を突くことだった。


「もう!死ね!このよそ者たち!」

「強制退去だ!」


予想外の悪に支えた反撃に君臨者ユーザー数人が重傷を負って退いたが、それでも突撃は止まらなかった。


「ハハハハ!そうだ、これが戦争だ! もっと押して! 奴らを奴らの自走砲と我々の盾の間にギュッと挟んでパンケーキを作ってしまえ!」


- つつく-

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