第19話 レーザー•ライン1
大量の素材を手に入れたプロフェッサーチームは装備改良に熱を上げていた。
公式戦がまだ進行中であるため、安心して装備に集中することができた。
「まず、当初改良する予定だったミスト・シャドウの装備一切を私のスタイルにリファインしました。」
「おぉ!」
従来の日本伝統のくノ一スタイルから、体にフィットするボディスーツスタイルに変わった服装を見て、シャドウは顔を少し赤らめた。
「ちょ、ちょっと待ってください。 確かに動くのはいいのですが…これはあまりにも…」
「大丈夫です。各部にモジュール式手袋板を重ねる形式ですから。」
「い、いやそれでも…」
次からはデザインについても話しておこうと思いながら、武器の方に視線を移した。
「一応…その、日本刀の製作に関することは私がよく知らないので…」
「あ。」
確かに彼女が以前使っていた脇差とは違う、事実上カッターに近い直刀2本が鞘に持ったまま置かれていた。
たとえデザインは残念だったが、こっそり手に取ってみると、事実上最上級の装備を意味する宝物等級を意味する金色の光彩がほのかに流れ出る。
「注文通り、剣身全体をシールドも装甲板もバーターを切るようにしてしまうレアメタル材質で鋳造しました。」
「それはとてもいいですね…!」
これまでシールド処理問題で苦労してきた彼女には朗報だった。
その横に置かれた6つの刃を持つ手裏剣に触れてみると、消耗品であるにもかかわらず宝物のすぐ下の等級である最高級品を意味する紫色の光彩が流れ出た。
「最高級品?!」
「そう、前に使っていたものは確かに…」
「高級品でしたね…」
消耗品である手裏剣の等級が高すぎると、ただでさえお金に困っていた彼女にとっては苦しいことだ。
しかし、中距離牽制兼攻撃手段である手裏剣の等級が低すぎても、彼女の技術を発揮することは難しかった。
「価格は前に使っていたものと同じレベルですから、あまり心配しないでください。」
「そ、それでも…!」
「手裏剣に毒をつけると自然に刃の部分に行くようにデザインを改良しました。」
「……!」
「ただ、刀剣と違ってシールドや装甲板には詰まる平凡な材質ですから。」
中距離からシールドを外すのに機関短銃を使う側に変えたシャドウとしても不満はなかった。
機関短銃でシールドを外し、もう一方の手で手裏剣を投げて毒を飲ませればいい。
次はシスター・グレーブの装備番だった。
「ちょっと、キューティクル。 どうして修道女服のスカートにこんなことを…!」
「それが、どう考えても修道女服の長いスカートではなくても重機のグレイブの機動性の妨げになると思って…!」
「ううっ…!」
グレーブが見下ろしている修道女服のスカートが、膝の上まで覆う長さに、ほぼお尻のあたりまで両側に開きができていた。
シャドウの服装を見ながらも思ったがこの作者、装備に自分好みを反映しているのではないか。
疑いの目を向けるグレイブの気配に冷や汗を流しながらキューティクルが説明を続けた。
「一応、既存の機関銃の下部に直接弾帯箱を装着して撃つ方式は命中率に良くないと思いました。」
「確かに、それはちょっとね。」
機関銃の弾帯をどのように整理してよく使うかという彼女の主な悩みの一つだった。
キューティクルはそこで修道女服の上に置かれた、丈夫そうなベルトを持ち上げて見せた。
「このベルトは強力な磁性コーティングが施されているので、腰の両側に機関銃の弾筒をつけて取り付けることができます。 もちろん、手榴弾や他の簡単な装具類も軽く貼れます。”
「へえ、それは気に入ったんだけど?」
次にグレイブが手にしたのは、彼女が使っていたZK社の大口径機関銃だった。
いきなり金色の光彩を撒く機関銃にびくっと落とすと、
「驚くことはありません。 私の腕前はプロフェッサーも認めた腕前ですから。」
確かに、ちょっと気難しい彼をプロフェッサーは平気で雇って連れている。
ということは実力は本物という意味だろう。
グレイブはうなずきながら機関銃をもう一度手にして見て,ぎょっとした。
「銃列が…6個?」
「はい。グレーブの生命線は圧倒的な連射力を生かした持続火力と戦線維持能力にあります。 それを生かすために改造しました。」
「動力はどうやって?」
「犬の頭板に核融合バッテリーを内蔵しているので、よほどでは止まらないでしょう。」
6つの重い銃列を眺めていたグレイブの目から火花が散った。
「…いかすぜ、これは!」
機関銃に酔っていた彼女の前に、今度はキューティクルが新しいブーツを差し出した。
「このブーツは他に何をしたの?」
「床を見てください。」
思わず拾い上げて床を確認した瞬間気づいた。
「これ…航空機のタイヤ用のあれでしょ?」
「はい。内部に緩衝及び冷却用ジェルを注入した3ミリ厚の宇宙船ランディング・ギア用タイヤ・ゴムでソールを作りました。」
「本当に手加減とかはないんだ…」
感嘆する彼女の前でキューティクルはまだいるらしく、ブーツの反対側を手に取り、かなり強くかかとをテーブルに叩きつけた。
「何してるの?!」
「よく見てください。」
かかとに衝撃が加えられた瞬間、スパッツという音とともにブーツの前から短剣が飛び出した。
「……!?」
「いくらなんでも両手に機関銃を持って戦っていると、肉弾戦の街に敵が飛びついた時の対処が困難になりますからね。」
「…これで蹴っちゃえってこと?」
「まさにそれです。」
満足げな笑みを浮かべるグレーブを後にして、今度はウィスーキスに近づいた。
「キースさんには…」
「…注文したタイヤ、来た?」
彼女が注文した装甲車に使われる防弾防剣効果が適用された大型ホイールがよく来たかどうかから確認した。
「もちろん来ていますよ。 後で一緒に交換します。」
「へへ。それでは…」
キューティクルが背中につけていたレバー・アクション散弾銃をキースに握らせた。
「ほ、本当にこれでよろしいですか?」
「うん。私レバー・アクション好きだから。」
犬の頭板のないソード・オフ状の、カーボン材質の黒いボディが印象的なそれを見たシャドウが首をかしげると、
「これはもともとプロフェッサーが数年前まで副武装として持ち歩いていたものです。」
「え、本当ですか?!」
「キースさんが護身用の武器が必要だと言うので、プロフェッサーがこれを使ってみろと言ってくれることにしたんです。」
キューティクルの説明にシャドウは思わず自分の腰に装着されたシールドモジュールをいじった。
プロフェッサーのスペアとはいえ、彼と同じものをもらった彼女だった。
彼女たちの視線はすぐにプロフェッサーに向けられた。
一緒に仕事をする時もあったが、それでも彼がどんな装備を使っているかについてはほとんど知らない。
「プロフェッサー、新しいライフルはどう?」
「…….」
新しく用意された黒いライフルをしばらく握って少しずつ目を通したプロフェッサーが下した結論は、
「…引き金の圧力が少し緩いね。」
「どのくらい?」
「うーん…」
何度かカチと引き金を確認したプロフェッサーは、すぐに指4本を立てて見せた。
「…4グラムぐらい、かな。」
「分かった、調整しておくよ。」
「几帳面すぎじゃない?」
グレイブが理解できないかのように首をかしげながら質問すると、プロフェッサーはくすくす笑って見せた。
「あなたと違って狙撃は本当に非常に微細な差が激しいと数メートルの誤差を作る。 あなたを援護していて、その誤差にかかってあなたのお尻に銃弾が刺さることもあるかもしれないんだ。」
「な、何?!」
「…冗談だ。」
「くぬぬ!?」
顔が熱くなったグレイブは彼の胸ぐらをつかもうとしたが我慢した。
最近気づいた事実だが、彼はグレイブが拳で報復しても特有の性格を直そうとしなかったのだ。
「装弾数は従来通り10発。照準鏡倍率は5倍率から12倍率まで調整可能な特製品だよ。”
「ふむ…」
銃身の前の両脚を広げてテーブルに置き、角度と接地を確認する几帳面な姿。
そのようにしばらく隅々まで見回した後、ようやくうなずけるプロフェッサーだった。
「引き金の圧力だけもう一度直せばいいだろう。」
「チェックしておくね。」
そのように装備ブリーフィングが終わる頃、シャドウが手を上げた。
「質問があります!」
「…何だろう。」
「プロフェッサーはいつもそのヘルメットだけをかぶるんですか?」
「プッ!」
シャドウの唐突な質問に、他の2人の女性が爆笑した。
くすくす笑う彼女たちの前で、しばらくヘルメットをいじったプロフェッサーが指を弾いた。
「キューティクル、見せて。」
「…大丈夫?」
「チーム員だから、とりあえず。」
「分かった。」
キューティクルが彼女たちを連れて行ったのは、男性専用のシャワールームだった。
うずうずしながら入ってきた彼女たちが向き合ったのは、片方の壁面がスライドして上がり、露出した棚にずらりと並んだ様々なデザインのヘルメットだった。
「ああ、こんなに…!」
「多いね…」
「へえ…」
驚く彼女たちの前でプロフェッサーは無味乾燥なトーンで、
「もう満足してるかな? お嬢さんたち。」
そうだと答えようとしたシャドウは一瞬止まった。
もしかしてこれはチャンス?
すぐに彼女は大胆な作戦を実行に移した。
「せっかくだから、別のヘルメットをかぶるのが見たいです!」
「そうだね、装備も一新したからたまには気分転換してみろよ!」
シャドウの考えに気づいたキューティクルが何か言おうとしたが、プロフェッサーはしばらく沈黙していたが、くすくす笑って見せ棚に近づいた。
「プ、プロフェッサー?」
「気にするな。 あなたも何度も見てきた光景を見せればいいんじゃないか?」
「そ、それでも…困るんじゃないの?」
「言ったんじゃないか。 彼女たちはチーム・メンバーだ」
「……」
話を終えたプロフェッサーは彼女たちに背を向けて指を上げた。
「せっかくだからリクエストを受けるようにしよう。 それぞれ気に入ったデザインを選んでみるように。」
「本当ですか?」
「へえ…どうしたの?」
「あれ!あれです!」
ウィスーキスはすぐ内心気に入った、戦代シリーズのようなデザインのヘルメットを指で指差した。
シャドウはしばらく棚を見回した後、耳の方に翼なのかアンテナなのか分からない装飾がついたものを選んだ。
グレイブは悩んだ末、中世の騎士に似たデザインを指差した。
「悩ませるね。3人とも違うデザインを選ぶとは。」
「……」
彼女たちはなぜか彼のヘルメットが何に変わるかに集中していた。
プロフェッサーはしばらく彼女たちが選んだヘルメット3つを別に取り出して見守った後、決めたようにその中の一つに手を伸ばした。
彼が選んだのはシャドウが選んだものだった。
「…あ」
「ウウウ。」
「……」
目に見えて表情が暗くなる他の2人の女性。
シャドウはドキドキする胸に手を当てて、これから起こることを楽しみにしていた。
「ふっ、まさか素顔が見られるだろうと期待したのか?」
「……!」
ぎょっとしたシャドウが視線を避けると、プロフェッサーはくすくす笑った後、背中を見せて立ってかぶっていたヘルメットの耳の後ろのボタンを押してヘルメットを着脱可能な状態に展開させた。
がっちりと展開されたヘルメットを脱いで現れた彼の後ろ姿は、黒髪のくせ毛を勝手に伸ばした、どこか野性的な後頭部だった。
そっと足を運んで彼の横顔でも確かめようとすると、プロフェッサーが手を上げて指を弾いた。
「シャドー、責任を持てない事をするな。”
「……!」
ヘルメットをかぶっているときと明らかに違う、どこか無邪気で柔らかい低音の声。
その音声にしばらくボーっとしている間、プロフェッサーは彼女が選んだヘルメットをかぶって耳の後ろに触れて完全に装着してしまった。
「さあ、これでいいよね?」
くるっと振り向いてバイザー部分で眼光を輝かせながら特有の機械音混じりの無味乾燥なトーンで戻ってしまった彼を見て、シャドウは残念だという目つきを隠さなかった。
「プロフェッサー。」
「うむ?」
「…プロフェッサー生の声の方がずっと聞きやすいですね。」
「……」
「そのボイスチェンジャーでも 消して過ごしたらダメなんですか?」
シャドウの言葉にグレイブとキースも首を横に振る。
少しの間ではあったが、聞こえた彼の本当の声はそれほど魅力的だった。
「…考慮はしてみよう。」
「……!」
「プロフェッサー?!」
キューティクルが以前話した時は沈黙で黙殺したプロフェッサーが意外に肯定的な答えを出すと、キューティクルが悔しいようにプロフェッサーの裾をつかんで垂れた。
「プロフェッサーもやっぱり男ってこと?!」
「別に、それがチーム員に心理的に役に立つなら、考慮する価値はあると判断しただけだ。」
「ううっ…!」
妙な雰囲気になってしまった場内で、プロフェッサーは指を上げて注目を集めた。
「もう一つ。 気になると思って事前に教えてあげるんだけど….」
「……?」
自分のヘルメットをトントン叩きながら、プロフェッサーは衝撃的な事実を口にした。
「ヘルメットをかぶっているときの俺の性格は、請負業のために作ったキャラクターだ。」
「それは、本当の性格は全然違うという…?」
「そう、必要に応じてこんな性格にしているのだ。 だからボイスチェンジャーも使っているんだし。」
-つつく-
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