序章・第3話 神の遊戯-ランダム・ダイス
「ん〜、やっぱりこっちの姿のほうが落ち着くなぁ」
俺の目の前にいる猫だった猫耳少女は腕をぐーんとチカラいっぱい伸ばすと再び俺のほうを見てきた。
「えっと、ニャスターレ?だっけ?あんたはいったいなんなんだ?」
とりあえず真っ先に思い浮かんだことを聞いてみた。
「ボクかい?ボクはね〜
さっきも言ったけどただの妖精さ!」
「そ・れ・よ・り!なんできみは付いてきちゃったのかなぁ…危ないじゃないか!」
何故か唐突にこの猫耳少女に説教をされた…
なんでだ?
「付いてきたって言うよりあの時あんたが橋から落ちたからそれを助けようと…」
「なるほどなるほど〜
まぁ、べつに気にしてるわけでもないし、オーケーオーケー」
「軽いな…」
なんなんだこの猫耳少女は。
自分から説教たれたことを言ったかと思えばそれに対して別に気にしていないだと…
もともとあんたが橋から落ちようとしなければ俺はこんな所に連れてこられずに済んだんだぞ!悪びれが無いし、それにさっきから軽い対応ばかり…
「そんなこと言われても困るなぁ。ボクはあの時帰ろうとしてただけだし、でもなんであんな所から帰ろうとしたのかはボクも分かってないんだよなぁ」
「……は?なんで、口にもだしてないのに伝わってるんだ?というよりなんで分かったんだ?」
「うーんとね〜
ボクだけに限らず妖精種族には心を見ることができるんだ〜
だからきみが思ったこと全部分かってるよ」
理解が追いつかない…
そんなファンタジー世界様々の要素が起きてていいのか?まぁすでに猫から少女に変わっているだけで充分にそれこそファンタジーだ…
だが、まだにわかに俺は信じれずにいた。
当然だ、いきなりこんなよく分からない場所に連れてこられて更にはファンタジー世界限定の猫耳少女まで出てきてそして今、心まで分かるとまできた…
これが全て夢なら俺は間違いなく信じるだろう。だが、これは現実ということは流石に理解できる。
「またそうやって考えこんでさぁ…
せっかく話せるんだからもっと話そうよー
ボクに答えられることならなんでも答えるよ」
「なら、ここは何処なんだ?」
まぁ、ずっと思ってたことならこれが1番だな。
「そうだねー
簡単に言っちゃうとここはアニマ!たくさんのマナが満ちた世界さ!マナっていうのはきみが思うように魔法を使う資源力みたいなものだね。それと、本来きみのような人はこの世界には来られないんだよ」
「ちょっと待て、普通じゃ来られない場所なのか?」
「そうそう!だってきみ魔力持ってないじゃん、この世界!アニマには魔力を持ってない人は普通存在すらできないんだ。」
「なら、魔力を持たない人はこの世界に来たらどうなるんだ?」
さっきからこの会話の内容について考える暇なんか全くもってない。ありえないことだらけの出来事に不安を覚えてしまっているからだ…
そしてその中にうっすらと期待を胸に気持ちが昂っている自分がいることにも気づいていた…
「…消滅する」
「はあ!」
「消滅するって言っても姿だけが消滅するんじゃなくて概念そのものが消滅するんだ。もっと細かく言うと概念、つまり最初からきみという人はいなかったってことになっちゃうんだ〜」
「それが本当ならあんたはそれを知った上で連れてきたんだな…」
「そのことに関してはきみが勝手に付いてきちゃったからじゃん。でも不思議だね〜
普通ならそのまま消滅するはずなのに今もピンピンしてるっ!とんでもないイレギュラーだね。」
それに関しては俺もずっと疑問を持っていた。それもそのはず、これがたまたま起きたということならまだ納得はしないが理解はしただろう。だが、俺は至って普通だ。これならきみは本来この世界の人間だ!なんて言ってもらったほうがまだマシなほうだ。
「でも手違いで連れてきちゃったのもまた事実、お詫びにきみにとってもいいものをあげるよ!」
「良いもの?それってなんなんだ?」
「…魔法」
「魔法?それって俺も使えるやつなのか?」
待て、魔法だと…
そんなこと本当にできるのか?そもそも俺は魔力すら持っていない。どうするつもりなんだこの猫は…
「魔法と言ってもきみにあげるのは魔力そのもの…
これはボクたち妖精族が使える特別な魔法…
そして成功する確率がとても低い。」
コイツは俺をなにかの実験動物だとでも思っているのか?
だが、確かに一度は憧れたことがあるであろう魔法の世界。そんな世界で魔法を使うことができるチャンスでもある。
「なぁ1つ聞いていいか?その魔法を使えば俺は魔力と魔法を手に入れることができるんだな?」
「確率は低いけどきみのようなイレギュラーなら得られる可能性は高いとボクは思ってるよ。それに…」
それに?
「1番大事なのはその覚悟があるかどうか…
それをいま一度きみに聞く!きみにチカラを得る覚悟はあるかい?」
「……こんな馬鹿げたことが連続で起きていて、挙げ句の果てに魔法まででてくる…
本当、ぶっ飛んでることだらけだ。だが、もし、仮にもし憧れだったものを手に入れることができるのならそれは変わることができるチャンスだ!だから俺の答えは覚悟はある!だ。」
「オーケー!なら契約成立だね!じゃあ儀式の準備を始めようか…」
「俺はなにをしたらいいんだ?」
「んー、とりあえず名前教えてもらっていい?儀式に1番必要だからね」
「分かった。俺は…」
そこで俺は迷ってしまった。普通ならここで名前をだして儀式に移るんだろうけど、物語はそう簡単に始まるわけではないのだ。だから考えた結果俺の口からでてきたのは…
「俺はケイトだ!」
自分の名前に嘘をついたのだ…
「うん!わかったケイト…
オーケー!じゃ、儀式を始めていきますか〜」
そしてその一瞬の間に俺の周りに不思議な円、いや陣が浮かんできた。
「魔法陣がでてきたなら1段階目はクリア!次にケイトは心と頭の中で強くなりたいものを浮かべてっ!」
「えっと、こうでいいか?」
と俺は言われた通り陣の中で目を閉じ深く頭の中を思い描いた。俺がなりたいもの…
それはいったいなんだろうか。そんな雑念などが籠ったりした状態で俺は強く思い描いた。
「オーケー!準備万全!」
「汝、万物の世界に君臨するものよ。その者のチカラを解放したまえ!そしてその者にチカラを分け与えたまえ!」
「
「与える者は我が身、ニャスターレ。与えられる者はケイト…
コネクトリンク集束!」
俺の周りはとてつもなく風が至るところから舞っている。少しだけだが、感じるものも確かにある。
「ッ!うっ、、、
頭がっ!」
そして俺は痛みに耐えきれず、再び意識が途切れたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます