パチンコは仲間が来ると基本熱い

 Pブレイブサザンクロス2黄金帝覚醒というパチンコ台はそこそこの人気があるそこそこのパチンコ台である。大当たり確率319分の1確変突入50%、継続率81%大当たり振り分けはオール1500発というスペックを持つ台である。

 分かりやすく言うと、319分の1で当たってその50%の当たりが良い当たり、良いあたりの方を取ると81%の確率で1500発の出玉を取ることができる台である。大体のパチンコを打つ人はスペック・熱い演出しか見ないが転生するとなると別だ。

 この台はパチンコが原作であり、主人公のベンが世界を救うために仲間と協力して冒険をするというなんの捻りもないストーリーである。というか、打ってるほとんどの奴がストーリー気にしてないから捻る必要もないのだが。

 問題はこのPブレイブサザンクロス2の主人公であるベンである。この男はパチンコを打っている人からボロクソ言われており、強敵との戦いにおいて武器を捨て「お互い拳のみで決着しよう!!」と言ったあげく負ける。黒幕であるカイザー相手には85%の確率で勝てるのに、その辺の盗賊に99%の確率で負ける。戦いの最中に仲間が全然参戦しない。勝った時にする当然といった顔がうざいなどなど、行動の一つ一つがとにかく腹がたつ男であり、パチンカーからはベンジョ、人望なし、コスプレ一般人など様々なあだ名というか悪口がつけられている。

 

 まあ、今目の前にいるのがそいつなんだけれども。


 「どういたしまして。」


挨拶はそこそこに狼の化け物の集団をベンと二人で倒した俺たちはひとまず農民の方へ向かった。幸いケガはなさそうだ。


 「ありがとうございます。お二方がいらっしゃらなければ危ないところでした。」


農民はこれでもかというほど頭を下げまくった。


 「いえいえ、困っている人を助けるのは当然ですから。」


ベンはフンと鼻息を鳴らしながら誇らしそうにしている。切り株につまづいてこけている姿を何百回もパチンコの演出で見ている俺は無性に腹が立った。


 今回の事で分かった事は、強敵が相手でないリーチなどは俺が関与する事で当たりを強引に引く事ができるという事だ。となると、問題は強敵とのリーチである。強敵とのリーチは基本熱く、チャンスアップがなくとも30%を超えてくるものが多いが、逆に言うと、強敵が相手だと、俺が関与する事でで大きく敵にダメージを与え、今回のように強引に大当たりを引く事が難しいという事である。そのためチャンスアップの要因が欲しい。ブレイブサザンクロスのチャンスアップの種類としては、お馴染みの赤テロップ、赤タイトル、あとはリーチの途中でおこるベンが何故か金色に輝くオーラを纏い強くなる黄金覚醒、あとは仲間であるハンマー使いのハゲルと暗殺者サシャの参戦である。黄金覚醒は誰も原理が分かっていないため、ハゲルとサシャとの合流が第一だな・・さて、どうしよう。


 「あのー!すいません!!聞こえてますか!!」


ベンの声でハッと気がつく。


 「いや、すまんすまん。少し考えごとをしていてな。」


「いえ、何回呼んでも返事をしなかったので、大きな声を出してしまってすいません。農民の方がお礼をしたいと言っているのですが、あなたも行きますか?」


 まあ、まずはベンの仲間になる事が先決だな。

 

 「ああ、せっかくだから行くぞ。名乗り遅れたが、俺の名前はサキヨミと言う、よろしく頼む。」


「僕は、ベンって言います。よろしくお願いします!」


 「私は農民のアレクサンドロスです。よろしくお願いします。」


農民、お前には聞いてないし、あと無駄に名前カッコいいな。


その後俺とベンは、農民の家に行き、おもてなしを受けることになった。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 3日後・・・・・・・。


 「それでその娼婦が手でしか、俺の世話をしなかったわけよ!!!!」


「おう。」


「はいはい。」


「これがホントの手抜きってな!!!!!」


「「ギャハハハハハ!!!!!!」」


 この農民、めちゃくちゃ話が面白い。


 俺とベンは農民、アレクサンドロスの家に行き、ひたすら酒を交わしながらくだらない話を3日間も続けていた。3日間もいるつもりはなかったが、アレクサンドロスの話はめちゃくちゃ面白く、馬が合い仲良くなってしまいそのままずるずると時間が過ぎていった。


 「アレちゃん、あなたの話は本当に面白いですね。」


ベンも最初は遠慮して緊張していたが、今はアレクサンドロスと肩を組みながらものすごい笑顔で足をバタバタさせている。パチンコでは一回も見た事がない姿である。


 「だろ!!!村で一番面白いって呼ばれてるからな!!」


アレクサンドロスもとんでもない笑顔でベンと肩を組んでいる。俺もずっとここにいたい気分だが、そろそろ行かなければ。


 さらに2日後・・・・・。


 「そろそろ出発だな!!」


「はい!」「おう。」


大きな鞄をもった。アレクサンドロスが、俺たちの戦闘に立ち、鍬を振り上げながら士気を高める。どうしてこうなった。


 時を遡るとアレクサンドロスの家で3日間豪遊した俺はそろそろ行こうとベンに提案したが、ベンとアレクサンドロスに無理やり飲まされ、更なる滞在をする事となった。そして、飲んでる間にベンが自身の夢を語り始め、それに感動したアレクサンドロスがベンと同じ目標をもち、一緒に旅をする事となった。俺も強制的に仲間になった。まあ、ベンと一緒に旅ができるからいいけど。


 「近頃盗賊団が近くの街で暴れていると聞いていたので、まずそこに向かいましょうか。」


ベンは暴れている盗賊団を合計5日も放置したのか。


 「許せねえぜ!!!」


アレクサンドロスが怒りを露わにする。お前がいなけりゃもうとっくに解決していたよ。街の人たちがお前を許さねえよ。


 そして、俺たちは盗賊が蔓延っている街に向かうことにした。


 









 

 

 

 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る