第28話 ママローグ(※注「極微エロ?」)
※人によりますが、少しエッチなシーンがあるかもしれないかもしれません。
あの後、時間も遅いので大宮を家まで送って行こうと思った家も知っているから。だから提案をしてみたんだ。
『んん。今日は気分がいいから少し夜風に当たってから帰るよ。君は気にせず帰っていいよ。あ、明日から攻めるから。よろしく』
そう言うと早足で夜の街に消えていく。
本当は女の子が一人で夜の街は危ないから止めようとも思ったけど、あの顔で言われたらね……。
大宮の顔は誰が言おうと真っ赤であった。そして、とても幸せそうな顔をしていた。
「――今日も相変わらず色々あったなぁ。あ、そういえば美春さんが今日も家に来るとか――」
思い出しスマホを取り出したところで、小宮の意識は途切れる。
◇◇◇
「ん、んん。僕は、それにここは……」
ベットらしき場所に寝かされていたようでかけられていた布団を剥ぎ、起き上がる。
周りを見渡しつつ記憶を探る。しかし思い出せず、今いる場所が何処かも分からない。
周りは少しファンシーなピンク色が目立つ家具が多いものここが「ホテルの一室」だということは分かった。
「……確か、大宮に告白をされて……そうだ。最寄駅までいつものように歩いてたら……どうしたんだっけ?」
額に手を当てどうにか思い出そうと普段使わない脳を回転させ、考える。
キィー
するとお風呂場とトイレがある場所から誰かがドアを開けたような音が聞こえた。
「……」
そこで自分が勘違いをしていたことに気づいた。
待て。いつから「一人」だと思っていた。自分以外の誰かが、いる――
その事実に言い表せない不安と恐怖が押し寄せる。
記憶にない。思い出せない。もし、もしも自分をここに連れてきた人が「誘拐」目的でとてもおっかない人物とかなら……ッ!!
そこまで考え、すぐに「逃げなくては」と悟った。逃げるのは簡単だ。幸い身ぐるみは剥がされていないからこのまま廊下に出て誰か……フロントに事情を説明すればいい。
その人物が自分が目を覚ましたことを察知する前に行動に移す。
なるべく、できるだけ足音を立てずにドアまで早足で向かう。
「……っ!?」
ドアノブを手に取り回すもドアは開かない。特に鍵がかかっている様子はない。でも、開かない。そこである物が目に入る。
な、なんだと……「料金システム」?
ドアの右奥の壁に小型のモニターがついており、そこに「料金システム」という蛍光色のプレートと「¥8.500」の表示が。
「!」
どうやら今回は冴えているようだ。
その「金額?」を見て瞬時に悟った。
それはホテル代。
すなわち今いる「ラブホ」の代金だと。
小宮自身「ラブホ」。通称、「ラブホテル」と名のつく大人の「ホテル」に入ったことなどないが、聞いたことがある。それは「兄」である蓮二から。
『いいか。慎也くん。君は元々の体質なのか人を引き寄せる体質みたいや。それは「善人」から「悪人」まで様々。その中でも「女性」率が高いときた。ただ、「女性」と言っても安心してはダメや。君はその容姿から元々「大人」の女性からモテるやろ。だから姉貴も……そんな話は今はいらんな。ま、用心しときな。それと、「ラブホ」の「料金システム」は気いつけな。そこに君を連れ込んだ奴は……大方、君の「体」目的や』
「――ッ」
過去に交わした蓮二との会話が鮮明に思い浮かぶ。
あ、お金。お金はいくら持っていたかな。
冷静にズボンのポケットに入れていたお財布を取り出し、確認をする。
「あっ」
そこで焦ってお財布を落としてしまう。
チャリン、チャリンとやけに大きく聞こえる小銭がフローリングの床に転がる音。
「――」
内心、「終わった」と思い、さっきから感じていた誰かの視線を背後に感じながらゆっくりと、本当にゆっくりと顔を向ける――
「――慎也君、どこに行くの?」
そこには、ニコニコ笑顔の美春の姿が。
「み、美春さん……?」
知り合いの顔を見て安堵し、安心するも「なぜ」という疑問が生まれる。
なぜ、大宮の母親である美春が「ラブホ」なんかにいるのか。
なぜ、美春は「バスローブ姿」なのか……。
「……ッ」
そのあられもない姿を直視してはダメだと思いすぐに顔を逸らす。
お、お団子頭って言うのかな……とても似合っている。でも、それ以上に……美春さんの姿は……過激すぎて、大胆すぎる。
その状況に立たされた小宮の頭の中にはすでに蓮二の注意警報などない。
あるのは美春の姿を直視してはダメだという理性のみ。
「ねぇ、慎也君」
「――ッ」
自分の理性と戦っていると、いきなり背中に触れる柔らかく大きな二つの魅惑な塊。
耳元に吐息とともにかけられる自分の名を呼ぶ優しい声音。
「震えてる。寒い?」
「え、いや。あの……」
「一緒に、お風呂入って温まろっか?」
「い――」
その言葉を最後に思考が停止。
・
・
・
気づいたら小宮は腰にタオルを巻くというほぼ裸の状態でやけに広いピンクが主張しているお風呂の椅子に腰をかけていた。
覚えているのは思考が停止した直後、放心状態の小宮を美春が抱え、脱衣所に連れて行き洋服を脱がせて――
『あら、あらあら。まあまあ。慎也君のここ、素敵……ね♡』
お、おわっーーーーーー!!?!?!!
その事実を思い出し、思考が回復するとともに声にならない叫びをあげる。
み、見ら、見られた。「僕」の「僕」を……最悪だ……。
頭を抱えてしまう。
そも、あの状況で反応しない方が「男」としておかしい。
若いとか若くないとか関係ない。
あの最高に整ったプロポーションを見れば誰として刺激が強く……負ける。
「――ブッ!」
運が悪いことに今になって状況に追いついた脳が美春の「バスローブ姿」から覗く谷間を思い出し、無様に鼻血が噴き出る。
「あら、慎也君大丈夫?」
鼻を抑え、涙目になっていると背後から美春の声が。
「だ、大丈夫ですから! あの、僕の持病です!!」
嘘でもいいからこの話を逸らし逃げたいと思い適当なことを。
「そう? もしかして……私に反応してくれていると思ったけど……」
「ですから、持病と……」
絶対に後ろを振り向かず、目の前の鏡を見ないで目を瞑る。
背後には「バスローブ姿」の美春さんが……馬鹿。思い出すな。煩悩退散、煩悩退散……。そうだ、こういう時は素数を……素数ってなんだっけ……僕の、馬鹿……。
「残念。慎也君はこれじゃダメか。なら「バスローブ」……脱いじゃおっかなぁ〜」
「ごめんなさい。許してください。反応しました。もう、本当に勘弁してください!」
無意識に許しを請うていた。
「保身」を守ることなど捨てた。流石にこれ以上はヤバイ。
「嬉しいな。ふふ。今回はこれぐらいにしてあげるわぁ」
「あ、ありがとうございます?」
「でも、最後に湯船に浸かろうね?」
「……うす」
無駄な抵抗はやめたよ。ゴネてこれ以上のことを催促されたらたまったものではない。
・
・
・
湯船に浸かり
「気持ちいいわねぇ」
「で、ですね」
大人が五人は入れそうな湯船なのに一番端っこで小宮と美春は背中合わせでくっつくようにお風呂を堪能……小宮に至っては緊張と動揺でお風呂の堪能などそっちのけだが。
「ね。慎也君。辛くない?」
「? 別に、辛くないですよ?」
「……ならいいけど。君が本当にどうしようもなくなった時はすぐに助けるからね」
「は、はぁ?」
美春の言いたいことがいまいち理解はできなかった。でも、適当なことを言う人ではないとこの数日間で分かっている。
きっと何か自分が分からないようなことを知っていて、こちらの心配をしてくれているのだろうと思うことにした。
「あの、つかぬことをお聞きしますが……なぜ、このようなことを?」
「んー、慎也君をお世話したかったからかなぁ。それに裸の付き合いと言うじゃない?」
「……そうですか」
「いやだった?」
「いやでは、ないですけど……こんな拉致みたいなやり方じゃなくて普通に……」
「え、普通に頼めば慎也君は一緒にお風呂に入ってくれるの!?」
「ぃぃ!?」
突然、美春に抱きつかれて変な声が口から出てしまう。
「ね、ね。慎也君。どうなの?」
「……そ、その時によります。「健全」が前提ですけど」
「健全かぁ。そっか。でも、慎也君は忘れているよね。ここが「普通」の「ホテル」じゃなくて脱出するには私の手助けがいると」
「……脱出希望です」
もう、その不穏な雰囲気でなんとなくは自分も理解していた。でも、信じていた。
「んー、支払いは?」
「……お金は手元にあの、ないので……また今度とか……」
「ふふふ。お金なんてとらないよぉ〜もっと身近で簡単な物があるよねぇ?」
「い、いやー、分かりませんねぇ。僕、馬鹿ですから」
「またまた〜」
「い、いやはや〜」
二人は両者「あはは」「うふふ」と笑い合う。
「「体」、があるじゃない?」
「――いやーっ!?」
その一言に小宮は発狂し、湯船から飛び出していた。
「うふふ、うふふふっ」
慌てふためく小宮を楽しそうに黒い笑みを携えて見張るように眺める美春。
「――や、ヤられる! 喰われる、捕食されるぅぅぅぅ!!?」
なんとか湯船から脱出できた小宮は無我夢中に出口まで走る。
「小宮君、助けに来たよ!」
「先輩! 無事ですか!!」
そうこうしているとドアが押し開けられる音、その後に聞き覚えのある声が。
「ふ、二人とも! 僕はここにいるよぉ!」
自分の格好を忘れ救援者に呼びかけ走る。
「お風呂場だね!」
「お、お風呂……慎也先輩!!」
そして、二人も小宮の格好を知らずに浴槽のドアを開け――
「た、助かっ――るぇ?」
床に落ちていたタオルに足が取られ、そのまま前方に倒れ込む。
「きゃぁ!」
「きゃっ!」
ちょうど目の前にはこちらに向かっていた大宮と文の姿があり、二人を押し倒すように倒れ込み……。
「い、いっつつつ。は! 二人とも大丈夫!?」
『……』
すぐに二人から退き、安否を確認するも反応はなし。
ただ、二人の視線がなぜか下方に向いてるような……。
「……oh」
腰に巻いていたはずのタオルが取れ、お約束と言わんばかりに――二人に見せつけるように自分の足をM字開脚し、産まれたままの姿の
「……おっ、き……」
「は、はわわ。先輩が……」
大宮は小宮の小宮をガン見し、文は顔を両手で隠すも、大胆に開けた指の隙間から覗き見、顔を真っ赤にしている。
「わ、忘れてくれェェェェッ!?」
ようやく股を閉じて、落ちていたタオルで隠す小宮は奇声を発した。
幸いなのがかの「ラッキースケベ」と呼ばれる行為、「女性の胸を揉む」ということをしなかったこと。
もう、本当にいやだ……死にたい。
こうして「生きる」意味を見出した少年は「死ぬ」選択を模索するのだった。
その後は美春も交えて話し合いになる。
各自、秘密にするのはフェアじゃないと共有するかのように全て打ち明ける。
美春は小宮を拉致&お風呂、大宮は接吻、文は小宮とのデートに加えて膝枕。
三人は三者三様に驚くもの、今後は平等でいて抜け駆けのないよう約束を取り付けた。
蚊帳の外の小宮君は三人の話し合いを直に聞き今後に怯え、どうか警察沙汰の「修羅場」になりませんようにと切に願う。
ママ活アプリにノリで登録したところ同級生のママが釣れました……ママはママでもママじゃない「
一つだけ言おう。「ママ活」だけは本当にやめとけ……飛ぶぞ、「人生」が。
◇◇◇
「あらあら。私は美咲とした「キス」を「
若者達が騒いでいる中、美春は一人自由気ままに「愛しい少年」の今後を憂う。
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