218話・映画鑑賞

このお話は、絢ちゃんが神界に行けるようになってすぐのお話です。

途中から『』←これで話すのは絢ちゃんとキリィ―だけです、「」←これで話す人には聞こえてません。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「やあやあ、キミにしては遅いじゃないか」


「すみません、色々とありまして時間ギリギリになってしまいました」


 そもそも、今こんなところにいる時間はないのだから仕方ない、それでも私がここに来ているのはもし今キリィ―の機嫌を損なえば、また違った方向で面倒くさい要求をされるからである……別に無視してもいいのだが、その時はさらに面倒くさくなるに決まっている、それを考えれば今聞いたほうが楽なのだ。

 それで、今回キリィ―には何かの動画を観るとやらで呼び出されていた。


「それで、何を観るんですか?」


「キミがいなくなった後のキミの家族」


「はあ……は?」


「僕だけ楽しむなんて卑怯だろ、だからキミと一緒に見るために時間を止めてたんだよ」


「はあ……で、どうしたらいいんですか?」


「今準備するからここで待っててね~」


 そう言ったキリィ―は部屋の奥から近代的な映写機を持ってきた。


 そのまま魔法で部屋を暗くし、これまたどこからか取り出したリモコンで映写機の電源を付ける、そして壁に投影されたのは私の地球での家、その食堂だが全ての窓がカーテンで閉じられいかにも重々しい雰囲気を醸し出していた……。


◆◇◆◇◆◇◆◇


「よくみんな集まってくれた」


「今からする話は……」


「そうだのあの子の話だ」


「そうですね、絢があの程度で死ぬわけがない」


『ねえ、キミって家族からなんだと思われてるの?』


『少なくとも人間だと思われてるはずです』


『え……人間に対してこの反応……?』


「とはいえ、あの子が連れされられるとも思えないわよ」


「ああ、だから、あの子の研究内容に関連することなんじゃないかと考えている」


『研究内容って?』


『さあ、時間がかかるものなどもありますので色々と掛け持ちしてましたからわかりません』


「【異世界、及び並行世界への移動方】絢はこの実験の失敗をしたんじゃないだろうか」


『キミそんなことやってたの?』


『まあ、はい、なんだかありそうだったので』


『で、実際にあってどうだった?』


『感動も何もありませんでしたよ』

『……。』


「研究内容は把握しているのか?」


「はい、絢の資料を見ると進捗は9割ほどだそうです」


「残りの1割は……」


「建設用の土地が足りなかったようです」


「今すぐ作れるか?」


「まずはあの子の考えを理解するところから始めないといけないのでそれなりに時間はかかるかと……」


『まさかこの人たちこっちに来る気?』


『まあ、来るでしょうね』


『え~……』


 さて、あの人たちはいつ来るのでしょうか……

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

絢ちゃんとは違った方向でチートの家族たち

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