216話・チートでもいいでしょう?

さて本編最終回です、どうしてもこの題名を持ってきたくて何度作り直したことか……。

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 ヤミリシアは防御に使用した自身の出力限界を超える魔力量と絢の攻撃による魔力の逆流により魔力を出力する器官が壊れ魔力が垂れ流し、空を飛ぶ魔法すら自由に使うことができず地面に向けて自由落下していた、その状況で……、その状況だからこそ、自らの計画が失敗したからこそ



「やり直す前に、貴女だけは正していきます」


 通常魔力を調節できなくなった場合それを治療するのに本人が魔法を使用するのは普通ではない、オーバーヒートした冷却器を冷却するためにその冷却器を稼働するように、自ら魔法で治療するのはむしろマイナス行為であるのだが……、ヤミリシアは、彼女は自らを記録している、自分の通常を記録している、ゲームのセーブデータをロードするようにその記録を読み込めばいい。


「今まで何度かチートと言われたことがありますが、魔法の障害を魔法で治すなんて、貴女のほうがよっぽどチートしてますよ」


「それは貴方もでしょう」


 それはその通りである、絢はあくまでもをから魔力を回収しただけなのだ。

 さすがの絢といえどもある程度……、の倫理は持ち合わせている自分以外に対して人体実験は行えない、ならば自分にすればいい、複数の種族の因子を併せ持つ絢だからこそできる実験、それぞれの種族因子の割合を変更しながらどの割合で混ぜた種族がどんなことに適性を持つのか、その実験によって作成された分体の数は絢の魔力数値をはるかに上回る。


「全く倫理というものがないですよね、貴女……、まあいいですとりあえず」


「ええそうですね」


「絶対貴方を手に入れる」

「絶対貴方を消す」


 そこから始まる第2ラウンド、初手を制したのは……


「……!?」


 絢がヤミリシアと共に作った白色刀を振る、身体強化は先ほどと同じ分量の強化を行っている、その膂力によって世界を踏む目の前の全てを削り取りながら絢の魔力を含んだ斬撃が飛んでいく。

 魔力を含んだ斬撃を止めるには魔力を含んだ斬撃をぶつけるのが最も簡単、ヤミリシアも絢と作った黒色の刀に自らの全ての魔力を込めその斬撃を破壊する。


「魔力空っぽにしちゃって大丈夫なんですか?」


「うるさいです!!」


 そういったヤミリシアは少し深く息を吸い込み周囲の空気と共に大量の魔素を吸い込み、それを体内に回さず直接肺で魔力へと練り上げる。


「その手際初めてじゃないですね、ますますあなたのことが知りたくなりました!!」


 そんなことを考えている絢に対し純粋に絢の排除を考えているヤミリシアは超高温の火と凍らないギリギリまで温度を下げた水のレーザーを絢に向ける、ただそれを直接充てることはなく、絢の直前でそれらをぶつけ簡易的な水蒸気爆発を引き起こす、その威力は絢を倒すには全くと言っていいほど足りない、それでも目隠しには使用できる視界を塞ぎ音によって耳をつぶし、魔力に敏感すぎる絢は魔力によって作られたその水蒸気によって魔力探知を鈍らせる……、たとえ空気中を舞う水蒸気がアルミニウムの粉末に変わろうと……。


「もう終わりです」


 そして空気中を舞うアルミニウムの粉末に着火する……魔力を含んだ高熱高圧と爆風による衝撃、核兵器に次ぐサーモバリック爆薬を簡易的に再現した準備時間から考えれば最大の攻撃……それでも爆炎が明けてから見える光景は絶望を誘う。


「こんなことするよりも直接来た方が勝ち目ありますよ」


「そんなことしたらすぐに負けますよ、それにしても……」


 短時間で極限まで攻撃力を高めた一撃を生身で受け止め空中で停止する絢の姿が……。


「貴女いったいどんな体してるんですか?」


 ヤミリシアの強みは魔法が使える限りの絶対回避と必中……だがそれは魔力の攪乱によって防御された、それ以外ならば壊れた魔力器官の自力治療だが絢もできないとは限らない。

 その直後絢の唐突なヤミリシアへの何かを構え直進、それを振りぬく


「鎌!?」


 絢が握っていたのは白色の鎌、明らかに絢の魔力で作ったものである色である。

 今までやってきた攻撃が本当に攻撃なのかと問いたくなるほどの圧倒的なステータスさ、全てで出力限界を超える攻撃をすれば倒せると思っていた自らの愚かさ、それら全てを絢は叩き潰す。


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 絢が攻撃をやめたとき、周囲には文字通りの平たい台地のみが残され、ヤミリシアはそこに倒れるいくら戻せると言えども精神の疲労はそうはいかない。


「私は貴方を殺そうとしたんですよ、殺したらどうなんですか?」


「そんなことをする理由私にありますか?

 それよりも、この世界は何回目なんですか?」


「さあ、100より上は数えてませんよ、途中でこんな化け物が出るとわかっていたら数えていたかもしれませんが……」


 ヤミリシアは一つ大きなため息をつき。


「私は主人公じゃなかったんですかね」


「人生の主人公は……」


「そんな話は聞いてないですよ……、まあ、こんな状況になっているのなら私は主人公じゃないんでしょうね」


 いつぞやに先生が言っていた言葉をそのまま吐き出そうとする絢をヤミリシアは静止しそのまま自分の考えを吐き出す。


「貴女ほんとにチートですね、この世界で叶う人間なんていないんじゃないですか?」


「別に、チートでもいいでしょう?

 たとえ世界を揺るがすほどの力を持っていたとしても、人間動く理由がなければ動きませんし……」


「そうですか……どうあっても私は死なせないみたいですし、この状況から勝つ手段も無い、完全に負けですね」


 そういい雰囲気?になっているところ二人はまだ知らない、この戦闘の後片付けがの持っていることを……。

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そこまで大規模にはさせなかったとはいえ、周囲を更地にして空には空間の罅だらけ、二人の終戦処理がこの後後日談の最初ですね。

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