215話・最大最後の激突

この後に続く閑話を抜けば次回が最終回

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 ヤミリシアの全力を知るために1対1に持って行った直後、私たちは右足で地面を叩きそれを起点としてビル群が生えるように創られて行き、私たちのちょうど中間でそれがぶつかる。


「ヤミリシア、貴女の魔法はおもしろいですね、可能性を絶対にする……「もしもを起こす」と言った方がいいでしょうか」


「そう言うあなたの魔法は何ですか?

 魔力刃を使っているわけでもないのに手を振っただけで物を切断したり、切っても切断できなかったり……「不可能を起こす」なんて魔法だったりします?」


「そんな奇想天外な魔法ではないですよ」


 そう、私の魔法はかなり簡単だ、原理が分かれば誰でも想像できる、つまりは誰でも使える魔法だ……。

 二人はそんなことを喋り考えながら戦っているが普通であればそんなことはできない、二人の魔法によって上空に作られた隕石が雨のように落下しそれを避けながら互いの斬撃を避ける、その避けた斬撃によって切断されたビルを相手に向かってぶつける、さらには音速の何倍もの速度でレーザーのようにすら見える魔法の応酬をしている、ただ、絢は思考速度を引き上げる系統の魔法を使っていない、つまりは通常の思考速度でそれらのタスクをこなしている。


「スローでじっくりと見るのもいいですが、等倍で見るのもいいですね」


「……!?

 思考加速使ってないんですか!?」


「使う必要ありますか?」


 今の状況は予定よりも均衡している戦況に焦るヤミリシアとヤミリシアが放つ魔法と自分の魔法の威力を確認して楽しむ絢の戦い、そして互いに奥の手は出していないとは言え、それでも圧倒的に戦場の余裕は絢に軍配が上がっていた。


「あの怪物を楽しませるのは癪ですが、あれを……」


「何か見せてくれるんですか?」


「ええ、貴女を楽しませることになるのは本当に癪ですが、ここまで拮抗していては勝ち目もないので……」


 そう言ったヤミリシアが空中から取り出したのはいつぞやの大会の時に絢が作ったゴーレムに瓜二つの搭乗操作型の戦闘用ゴーレムである。


「まさか、自分が乗った自分で作ったゴーレムに乗ることになるとは……楽しみです」


「……、自分が?自分で?

 何を言ってるんですか?」


「フフフ、そうですね」


 そう言った二人の顔は笑っていたがその笑顔を見たものはどこか不気味なものを感じるだろう。

 絢からしたら楽しい楽しい魔法の応酬、眩しく輝く光の線が飛び交い空が虹に光る、ヤミリシアからしたら早く終わらせたい大砲の打ち合い、巨大な火球や岩、ウォーターカッターが互いの身へと襲い掛かる。

 その最中、ヤミリシアが乗る機体は設計上の髪にあたる部分を全身に巻き付け防御する、その防御は限界こそあるものの、全ての魔力を吸収、物理的な攻撃もそのエネルギーを魔力に変換して搭乗者へ還元する、搭乗者の魔力を使用して物質を引き延ばし全身へと展開するその防御はその限界も搭乗者に依存する。

 それに対して、絢はその純白の魔力を迸らせその魔力の質を高めていく、通常魔力は各々の資質によって魔力の色が変わり、その本人の魔力量によって色が濃くなっていく……だか、絢の魔力は今も密度を高めているにもかかわらずその白が薄くなり反対に透明へとなっていく、絢は魔力をそれぞれの分体へと均等に分配していた、その分体が数十存在しそれぞれが400桁近くの魔力を保有していた、それら全ての魔力をヤミリシアと戦っている分体へと集中させ、その密度質量共にその数値を天文学的な数値にまで上げていく。


「ヤミリシア、貴女は耐えてくださいね」


 そういった直後、絢が構えていた拳をヤミリシアと彼女の機体に向けて突き出す、その拳から放たれる衝撃波は前方の全てを破壊していく、ヤミリシアの魔法も絢の魔力循環の妨害のやり返しによりまともに機能せず、機体の防御限界を超えて破壊しそこから還元された魔力は全て障壁へとまわしたヤミリシアはその障壁も破壊されながらもなんとかその命を引き延ばすことに成功した。


「何とか手加減も成功しましたね」


 ここまでやってもまだ本気ではなかった絢を前にして、ヤミリシアは自らの計画の失敗を悟ったのだった。

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あれ?

終わらし方適当になっちゃった?

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