92話・分身と思考

絢ちゃんが持つ才能は「神から与えられた才能」訳して【神才】

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 翌日起きると、珍しくバルドルフが今日するべきことを書いたリストを持ってきた、そこに書かれている内容はどれも私しかできないことで、他の人が出来ることは全て省かれていたものの、どうしても一人ではできない量で、この中からいくつか選んでくれという話だった。


「どうしても選ばないといけないですか?」


「ダメです、それらは今日中にしなければならない分です、絢様が仕事を増やされたせいで全体での仕事が増え続けております、」


 ……何故、私の体は一つなのかしら、もう一つあればこれを全て終わらすことが出来るのに……。

 そのままの事を少し想像すると、一気に魔力が無くなる感覚が体に走る、少しくらっとしたが、何とか立て直す、その状態でバルドルフを見ると、なんだか驚いた顔をしていた。


「「バルドルフ……どうかしましたか?」」


 何かおかしな感覚がする、私の声が二重になっているような気がする、しかも、なぜかいつもより視界が広い、何故か嫌な予感がし、右を向いてみると、なぜか見える景色が重なり、真ん中に向こうを向いた少女が見える、そのまま何度か体を動かしてみて、片方だけ体を動かさないという事を会得した、するとどこからか声が聞こえる。


《【並列思考×2】を習得しました。

 【神才】が解放されました》


「!!、バルドルフ、何か言いましたか?」


「……いえ、何も言っていませんが……もしかして新しいスキルを?」


 そう言われて自信を鑑定すると、【並列思考×2】と【神才】が追加されていた。


「【並列思考×2】と【神才】が追加されています」


「……絢様は、今までに天の声を聴いたことはありますか?」


「天の声……多分ですがないと思います」


「天の声はスキルを新しく得るときや、スキルの進化、称号の取得時などに声がします、恐らく絢様は、スキルを自力で作っていたので聞こえなかったのでしょう……、それよりも、それはどうするのですか?」


「30分待ってください、どうにか両方の体を動かせるようにします、全てのスケジュールを調整していただけますか?」


「分かりました」


 バルドルフはそのまま部屋を出て行った。


 さて……、30分で動かせるようにすると入ったものの、さてどうしようか……、取りあえず【並列思考】を試してみる、体を片方動かすことで【並列思考】を手に入れたのだから、どうにかしてもう一つの体を動かすことも可能なはずだ……。

 そのまま何度か練習した結果、ガタガタだが二つの体を同時に動かすことが可能になった、だが、あまりにもぎこちなさ過ぎる、今の状態を例えるのなら、指一本でタイピングをしているようなもので、思考速度を数で割ったような感じになっており、二つとも体がうまく動かせない、その解決策として【思考加速】を出来るだけ最大、512倍速の物を作り出した、そのおかげで二つの体の操作がかなり楽になり、むしろ体が思考に追いつかない、せっかくなので体を増やしてみる、倍の四つに増やすと大体いい感じになった、その代わりとして魔力はごっそりと持っていかれたが……。


 そのまま暫く四つの体で組み手をしていると、バルドルフが部屋に入ってきた。


「どうなりました?」


「……はあ、たったこの30分で何があったんですか?

 まあいいです、では今日の予定ですが……」


 そのまま予定を教えてもらい、今日の忙しい一日が始まった。

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絢ちゃんの体が4つになって、その体をどこにしまおうか……

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