61話・商談と王子処分

20代が老体に見えるほどの老け度って何があったんでしょうね

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 この王様まさか20代だとは思わなかった、見た目はどう見ても60代以降である、何をどうしたらここまで老けるのだろうか、もしあの王子が原因なら多分しばらくしたら若返るのだろう。

 一旦仕切り直して、改めて話し合いを始める、話し合いと言っても、今回するのは、一国と一商会との商談だ、この国は内政のステータスを運送と小売業に6割振って残り4割を治安と防衛に充てているような国で、本当に商業以外はからっきし、そしてここに商会は通り道としては愛するものの殆どほとんど常駐しない、腕の立つ生産職の人達は他の国へと出ていくが最高の商品が外から流れてくる、サービスは最悪で宿も最低限しかない、その中でたった数ヶ月で最高の評判を得た商会が、最高のサービスを持ってやってきた、しかも常駐して国を活性化させてくれている、もしかしたらもう少し手を貸してほしいと考えるのは当たり前だろう、実際私も手を貸そうとしていた、あの王子に出会うまでは。


「何度も言うが、うちの愚息がすまなかった、

 聞いてもらえるとは思っていないが、どうか俺たちと技術協力をしてもらえんか」


「聞いてもらえないと思っていても、そういうことは言わない方がいいですよ、

 協力自体はやってもいいのですが、これから何時かあの王子がこの国をつぐんですよね、私はあれと協力できる気がしません、そこをどうにかしていただけない限りは無理ですね」


「その心配はない、今回の商談が結果がどうであろうと、あいつがやったことは大罪だ、内の国は信用第一、定住するのにも偏った思考が無いかチェックする、その国の中であんなことを言ったんだ、正式な発表は後日になるだろうが、あいつの廃嫡処分は確実だ。

 本来であれば死罪でもおかしくねーんだが……やはり俺も人の親なんだな。どれだけ愚かでも、自分の息子を殺す事は出来ねーわ」


「その言葉を聞いて安心しました、もし殺すと言えば私はこの商談を蹴ってましたよ、身内を簡単に切れる人を信用するつもりはありませんからね」


「……で、今回の商談の内容なんだが……まず始めに、技術的な問題なんだが、うちは何にも作れねぇ、農業すらできねぇから全部他国からの輸入で済ませている、しかし量がギリギリなせいで、お前らに何か交換ということもできねぇ……」


 商談の内容についてはとても興味深いのだがそれ以外にもとても気になることがある。


「ちょっといいですか?」


「なんだ?」


「私は別に不満もないのでいいんですが、貴方喋り方とか大丈夫なんですか?

 さっきからずっと右後ろの宰相さんが睨んでますけど」


 宰相さんはすごい形相で睨んでいた、まるで鬼のようだ、私の発言を聞いてベンタール王は最小さんの方を見るが振り返ると同時にニコニコ顔になり、ベンタール王が顔を前に戻すとまた鬼の形相になる。


「なんだ何もねぇじゃねえか」


 国王はそういったが、頭の半分で商談を進めながらも、もう半分では宰相さんのことが気になってしまう、その状況は、ベンタール王が一つの提案をするまで続くのだった。

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次回、国王の驚きの提案とは!!

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