60話・国王との会合ー1

クソ王子一旦次回でフェードアウトしますがまだ出番があります

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 商業王国、正式名称をベンタール王国といい、別名の通りこの国は周りに接する帝国、王国、共和国の3国と、他の大陸や、海に触れているいくつかの国の流通の中心となっている国だ、私は一度も見たことがないが此処に商業ギルドの総本部もあるらしい、恐らく魔法で隠しているか、人から離れた場所に置かれているのだろう。

 この国が優れているのは運輸業と小売業のみで、それ以外について全くダメなのだ、それ故に、この国はサービス業という一大産業を全て私に任せている状態で、今回私を呼んだ理由は私のご機嫌取り、出来れば友好的な交流を取りたいというものだろう、しかし、私達の起源は最悪その上メイドたちに至ってはそれを顔に出してしまっている、それゆえの国王の挨拶なのだが、私はそれをぶった切り本題を要求した、国王は顔を真っ青にしているがそんなことは関係ない、今私は此処からすぐにでも出たいのだ。


「ベンタール王、もし私にこのまま友好を要求するようであれば、私達は、自分の利害にかかわらずこの国の一切から撤退します」


「な、何故だ、この国に何か不手際があったのなら謝る、どうか考え直してはくれないか」


 なんだ、この国王の慌てぶりは、何なのだろうか、今までも十分国として成り立っていたのだから私が撤退したところでどうこうはならないだろう。


「まあ、私も少し言い過ぎたかもしれません、しかし確実にこのままだとあなた方と友好を結ぶのは不可能です、理由は此処の王子にでも聞いてください」


 私がそう言うと直ぐに国王は出口付近の兵士に王子の捜索を命じた、その後しばらく国王のため息と沈黙が続いたが、30分ほどで兵士たちが王子を連れてきた、結構早かった、王子が部屋に連れてこられてすぐに何かわめいていたが何も聞こえない、消音魔法を解くのを忘れていたことを思い出した、そして国王はその姿を見てより深いため息をついた、このまま何か誤解されても嫌なので、消音魔法を解除する、幻影魔法は私の視界から消しただけなのでその他の感覚を利用すれば見えない存在の感知くらいは簡単にできるのだ。

 解除した瞬間に入城の時と同じような雑音が大音量で流れだす、私はそれを聞き流し、バルドルフとレイエスは笑顔を深い物にしていき、メイドの二人からは怒りではなく殺意が漏れだし、国王が大きく深いため息をついた、商業王国のように種族関係なく活躍できる国では、種族差別というのは法に触れることが多い、それはこの国も同じである、そしてこいつは一国の王族でありながら国の法に触れたのだ、文字どうりの大問題である。


「お前は、なんということを言ってしまったのだ……」


「私が何をしたというのですか!!」


「子供の教育はきちんとするべきですよ、老体で無理をしろというのは無茶だと思いますが、法律と道徳くらいは教えておかないとああいう『謎の泣き声を上げる呪われた王子』のようになりますから」


 私はそういいながら『謎の泣き声を上げる呪われた王子』を指さす、そうすると何を思っての物か、国王が再び大きくため息をつく。


「もうよい、少し黙れわが子よ」


 その言葉に国王の雰囲気が変わり、その雰囲気に王子が押し黙った、王子の処分を告げる。


「貴様はこの話し合いが終わるまで自室にて謹慎、その後の処分は追って伝える、

 ヤミリシア嬢、この度は申し訳なかった、あれには相応の処分をおわせる、どうか許してくれないだろうか……」


「……」


 その顔を見て少し信用してもいいかと思い、そのまま話を聞くことにした。


「いいですよ、話だけは聞いてあげます、実際どうするかはその後です」


 その言葉を聞くと国王は少し安堵した顔をしてその後今日一番驚いた言葉を発した。


「そう言えば……だが、先ほど老体と言われたが、俺はまだ20代だ」

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老体に見える20代の男性、その内若返りがあるかもしれません

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