牢の中

「ねぇ君は知ってる」


「なにかしら」


「ぼく達の正しい呼び方」


「さぁ」


月魄人げっぱくじんって言うの」


「そう」


「知ってた?」


「いいえ。けど月魄人でも白変種でも正直どっちでもいいわ」


「よくないよ。だって月魄人の『じん』はきっと人間って意味だもん」


「貴方、文字読めるの」


「読めないけど…言ってたよ月魄人って」


「それで」


「だから『じん』は人間って事なの!」


「なら、どうして、人間扱いされてないのかしら」


「此処を出れば人間になれるよ」


「本当にそうかしら」


「そうだよ! きっと!!」


「貴方なにも知らないのね」


「え?」


「わたし元々は商品だったの。主人もあったわ。けど教育がなっていない――という理由で返品されたわ」


「どういう事…?」


「この場所に戻されたって事」


「けど」


「貴方、此処がどういう所か理解してる?」


「…」


「此処はね白変種を教育する施設なの」


「人間なる為に」


「違うわ。従わせる為に教育されるの。奴隷ね。まあ、わたしは再教育らしいけど」


「――お前に再教育の価値はねぇよ」


「やめ」


「抵抗するな白変種」


「ごめんなさい次は」


「お前の次は既に決まっている」


「い嫌だ。行きたくない離して」


 ――

 ――

「ぼくは白変種だ。しっかり隷属しよう」

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