神父様とわたし

 修飾され煌やかになった塑像に神父様は、身を捧げます。わたしもそれに続きます。

 

 五体投地すると、灯明のが影の具合で、変なお化けに見えるのは内緒です。きっと怒られます。

 

 一通り終わると神父様は食事に行かれます。わたしもそれに続きます。ですが食せないので雰囲気だけ味わいます。

 

 対座して談笑するのはとても幸せな時間の一つです――。


「つけものは順調か」

  

 つけものとは日記の事です。


「はい。神父様のおかげで文字を書くのが楽しいです」

「そうかそうか。識字力は大切だから、これからも続けなさい」

「はい。ところで。あの」

「なんだい。なんでも言ってみなさい」

「よ、読みますか」

「ははははっ――」

「…神父様?」


  笑いながら、でも真剣に神父様は、


「つけものはね、貴方の記録です。誰かに見せるものではなく、貴方が振り返るもの」

「ごめんなさい」

「謝る必要はありません。うーん、そうですね――手紙など交換してみましょうか」

「本当ですか! 早速しましょう神父様!」

「これっ、今は食事時ですよ」

「うぅ〜」

「後にしなさい」

「はーい。神父様」


 幸せでした。

 けれど突然不幸になりました。


「神様を手入れした者です」


  そう言って知らない人達が侵入して来て、神父様は殺されました。

 

 身体中が痛いです。でも心の方が痛い。

 

 もう五体投地できねぇな――と言う声が今も頭から離れません。

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