神父様とわたし
修飾され煌やかになった塑像に神父様は、身を捧げます。わたしもそれに続きます。
五体投地すると、灯明のゆらゆらが影の具合で、変なお化けに見えるのは内緒です。きっと怒られます。
一通り終わると神父様は食事に行かれます。わたしもそれに続きます。ですが食せないので雰囲気だけ味わいます。
対座して談笑するのはとても幸せな時間の一つです――。
「つけものは順調か」
つけものとは日記の事です。
「はい。神父様のおかげで文字を書くのが楽しいです」
「そうかそうか。識字力は大切だから、これからも続けなさい」
「はい。ところで。あの」
「なんだい。なんでも言ってみなさい」
「よ、読みますか」
「ははははっ――」
「…神父様?」
笑いながら、でも真剣に神父様は、
「つけものはね、貴方の記録です。誰かに見せるものではなく、貴方が振り返るもの」
「ごめんなさい」
「謝る必要はありません。うーん、そうですね――手紙など交換してみましょうか」
「本当ですか! 早速しましょう神父様!」
「これっ、今は食事時ですよ」
「うぅ〜」
「後にしなさい」
「はーい。神父様」
幸せでした。
けれど突然不幸になりました。
「神様を手入れした者です」
そう言って知らない人達が侵入して来て、神父様は殺されました。
身体中が痛いです。でも心の方が痛い。
もう五体投地できねぇな――と言う声が今も頭から離れません。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます