俺の友はどこにいる

夕日ゆうや

VRMMORPG

 神殿の前に食虫植物型のモンスターが居座っている。

 俺は火炎魔法を使い、火球を吹き放つ。

 燃えるモンスター。

 塵芥ちりあくたに成り果てた神殿を見やり、俺は中に入る。

 ソロプレイを始めて一年。あの子はどうしているのだろうか?

 ゲームで通じた女友達。

 優しくて、暖かな彼女は突如としてゲーム世界から姿をくらました。

 クスリと笑う仕草。おとがいに指をあてて思案する顔。食事でピーマンだけをよけていた。

 そんな他愛もない日常が、今は愛おしい。

 俺は彼女が帰ってきても、すぐにメンバーになれるよう、ソロを貫いている。

 けど、

「これが10層か。キツいな……」

 すでに体力も魔力も限界を迎えようとしている。

 他のメンバーならすぐにでも立ち向かえるが、やはり一人では太刀打ちできない。

 少し休もう。

「ログアウト」

 疲れた様子でVRヘッドセットを外す。

 VRMMORPG。

 多人数同時参加型VRヴァーチャルリアリティゲーム。

 グルメ・ファンタジー・オンライン。略してGFO。

 その完成度の高さやグラフィックの繊細さ、緻密なストーリー。膨大な情報量への処理能力の高さ。味覚の再現度。

 どれをとっても最高のゲームだ。

 だが、このゲームもすぐに飽きられ、今や一部のコアなユーザーにしか遊んでもらっていない。

 外を見ると一面の雪景色。銀世界。

 寒い訳だ。

 俺は一階に降りていくと、暖かいココアを飲みながら一息つく。

 GFOにチャットが届いたとスマホが教えてくれる。

 俺は急いで二階にあるパソコンに向き合う。

 俺のチャットIDを知っている者は一人だけだ。

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俺の友はどこにいる 夕日ゆうや @PT03wing

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