詩ら 命削って歌うなら:R2

仲仁へび(旧:離久)

第1話



「寿命が縮んだって

 かまうもんか……」


 出し尽くせ

 最後まで

 後悔を残すな

 腹の底から絞り出せ


 全力で

 歌い上げろ


 全身で

 作り上げろ


 この世に二つとない

 最高のステージを


「これが最後の大舞台」


「後には何も残らない」


「残さないつもりで挑みかかるんだ」


 俺達の舞台は戦いだ

 準備をして

 装備も整えて

 体調も万全にしなければ


 敵は強大で

 全く読み切れない


 曖昧で

 判然としない

 形のないもの


 観客の心を掴め!

 雰囲気を支配しろ!


 空気を逃すな

 全てを読み取れ


「命を削って

 歌うんだから」


「それに見合ったもんを

 作り上げたいって考えるのは」


「至極ふつうの

 ことだろう?」




「ストーリー」

 余命半年?

 冗談じゃない。

 俺達のステージはまだまだこれからだったってのに。

 チャンスはたった、あと一度しかないのかよ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

詩ら 命削って歌うなら:R2 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ