第21話、ジンライ
赤い顔をした、二人がうつむき気味に桟橋を歩く。
桟橋に敷き詰められた玉石が、シャリザリと音を立てた。
「た、玉石の踏む音って雨の落ちる音を意味するんだって~」
「う、うん、雨ごいの意味があるんだっけ」
「海水の製水機なんてどこにでもあるのにね~」
メグミがにっこり笑いかけた。
「ふふ。そうだね」
ナンバがほっとしたように笑い返した。
一礼してから艦の入口にある”鳥居”をくぐった。
入ってすぐの所にある社務所で、拝艦料”1万円”を払った後、古いお守りを渡す。
新しいお守りと、”こんぴら八幡宮”の写真集が渡された。(この写真集がかっこいいんだよ~)
メグミは、ほくほくした顔で受け取った。
二人で”手水をとった”あとなるべく真ん中を避けて歩く。
「こんぴらさんの階段は”785段”あるんだよ~」
長く続く階段を上がりながら言った。
二人は、どちらからと言わず、手をつないで上って行った。
”御本宮”の前で、お賽銭をいれたあと”二礼、二拍手、一礼”してお参りする。
(来年も一緒に来れますように)
◆
帰り道の途中にある食堂で、名物の”うどん”を食べる。
食堂の窓ガラスの向こうには、46センチ4連装砲、2基を見下ろすことが出来た。
少し離れたところに”いづも大社”も見える。
「少し硬いんだよね~うどん」
「このうどん、艦内で栽培してるらしいよ」
「本当~」
ナンバが、うどんの出汁で作ったおでんを食べようとしたとき、艦内放送がなった。
「参拝の皆様に、連絡があります」
「現在、”いづも”沖に”メガシャーク”の群れの接近が確認されました」
「艦砲射撃を行います」
「艦砲射撃の際には、大きな音と艦が大きく揺れる恐れがあります」
「その際には、近くにあるベンチか椅子にお座りくださいますよう、お願いします」
「アテンション、プリーズ、・・・・・」
英語の案内が続く。
”いづも大社”のスキージャンプ型のカタパルトから、白と赤に塗られた飛行艇が、スクランブル発進していく。
「
「かっこいい~、艦砲射撃の測距に上がってるんだね」
◆
飛行艇搭載空母型神社、”いづも大社”所属飛行艇、”
双発、海水酸素水素分離式ジェット搭載の高性能機。
フロート部分は、離着水の時以外引き込まれ、胴体と一体化するようにデザインされている。
”いづも大社”のエースパイロットである神官や巫女は、”
◆
「小さい時、海で遭難してね」
「もう駄目だ~って思ったときに、颯爽と飛行艇が下りて来てね」
「どっかの神社の飛行艇だったと思う。巫女服がかっこよくて~」
メグミは、この時の体験から、飛行艇乗りになることを誓う。
「ん。主砲が回った」
1番砲塔が回転し、砲が角度をつける。
「只今より、砲弾を2発、発射いたします」
「最寄りのベンチか椅子に、お座りくださいますようお願いいたします」
「アテンション、プリーズ・・・(英語)」
「発射」
ドーーーーーーン
一瞬、辺りがオレンジ色に染まり、振動と共に大きく揺れた。
「2射目、発射」
ドーーーーーーン
1射目の煙に大きく穴を空けながら、46センチ砲弾が飛び去った。
「ご協力ありがとうございました」
「”文福茶釜”の30センチ砲弾とは大きさがちがうね~」
変な所に感心するメグミである。
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